庭の梅が咲き始めました。家のなかからは、足場とネットがあってよく見えません。あと数日で工事が完了しそうです。屋根、外壁のみならず、物置、縁台、外塀、門扉まで塗っていただいています。

さて本日は「HAPPY VALLEY」につきまして。

子供(ライアン)を産んで間もなく自殺した娘(ベッキー)の母である巡査部長キャサリン。亡き娘の遺したライアン(キャサリンからすると孫)と暮らしています。職務上のひょんなことから、亡き娘の子供の父親であるサイコパス(トミー)を追うこととなり、個人的執着ならびに任務により、憎きトミーを刑務所にブチ込むのですが…。

という話であることを前にも書きました。巡査部長キャサリンにはダニエルという息子もいます。母キャサリンの言動等により心が深く傷つき、彼は家を離れ、シーズン1では疎遠な関係にあります。キャサリンにはかつて夫がいましたが、彼(夫)は娘ベッキーの息子ライアンと共にいることが耐えられず、それを理由に離婚しています。

  自殺したベッキーの周辺に関する認識
キャサリンの視点

・「娘はトミーにレイプされて、その子供を産んだ」

・「トミーはサイコパス」

・ベッキーが自殺したとき、息子のダニエルに対し「お前が代わりに死ねばよかったのに」と言う。その言動により深く傷ついたと涙ながらに訴えるダニエルに対し「あのとき、私は混乱していた」と説明する

・ベッキーの生んだライアンには罪はない、ライアンの半分はベッキーだという理由から、彼の面倒を見ている

キャサリンの息子ダニエルの視点

・「ベッキーは遊び人の自己中な女でアバズレだった。いつもトミー達とつるんで遊んでいて、トミーに憧れていた。レイプではなく、自ら望んで彼に抱かれたんだ」

・「トミーはサイコパスなんかじゃない。愛されなくてひねくれただけだ」

・母キャサリンはベッキーとその死を美化しすぎ、現実を冷静に見るべき、と考えている

・ダニエル自身は、親からよい成績を収めることを期待され、そのままの彼を愛されることがなく、常に叱責されてきた、それに対し、ベッキーは甘やかされて育ったと認識している

・(母キャサリンと再び暮らすようになった後)ライアンの遊び相手を務めたりと、それなりに彼を可愛がっている

別れた夫の視点

・娘ベッキーの自殺現場(遺体)の第一発見者

・ベッキーの産んだライアンを自分の孫と認めることができず、キャサリンと離婚

キャサリンの妹クレアの視点

・姉キャサリンが、娘ベッキーの自殺の件や孫ライアンの父であるトミーに執着し過ぎていると感じている。姉の気持ちがベッキーとトミーから離れることを歓迎するところもあり「トミーのことを忘れていたから、忙しくなっていたのはよかったわ」等とキャサリンに言う

・姉のことを思って何かするけれど、姉の顰蹙を買うことが多い

(どうでもよいことだけれど、クレア役は「ダウントン・アビー」でオブライエン役だった人)

上の表を見ると「ベッキーの自殺」という出来事やその周辺の人物に関し、それぞれが異なる見方をしていることが分かります。巡査部長キャサリンに感情移入すると「愛する娘ベッキーの仇を打つため憎きサイコパス、トミーの(社会的な)息の根を止めるべき」というふうにドラマを鑑賞するかもしれません。

一方で息子ダニエルの立場から見ると、たとえ混乱していても「ベッキーの代わりにお前が死ねばよかった」とは言わないのが普通の母親で、「ベッキーの血を引いているから」という理由でライアンを手元に置いていることからも、キャサリンは息子ダニエルよりも娘のベッキーに “執着や情(思い入れ)” が過多であるようにも感じられます。

いち視聴者の私は、上の表に整理される情報から「キャサリン⇒ベッキーに甘い」「ベッキー⇒勉強が好きなタイプではなく自由奔放で、不良のトミーに憧れていたが、実際に肉体関係をもつと彼の異常性に気づき(ひょっとしたらレイプだったのかもしれない)、彼の子を産んだことを通じてもろもろに絶望した」というふうに、自分の視点に基づいて補正し解釈します。

一応の解釈はできますが、正しいか正しくないかで言えば、誰の解釈も正しくはないのです。判断材料を増やし、より真実に近いストーリーを作り上げることはできるけれど、“真実” は “解釈” とは異なるのみならず、“解釈” からまったく独立して存在しています。“解釈” が “真実” を正面から把握することはありません。コトの当事者であっても、自分にまつわる “解釈” を試みたところで、自分の “真実” を知ることは相当難しいと言えます。

それが「広義での認知の歪み」です。人間として生きている以上、認知は歪みます(だから簡単なように見える『内観』も実は難しいのです)。たとえばサイコパスのトミーは、自分の過去の事情や今の状況についていろんな解釈や説明を加えることができるでしょうが、彼のマインドが彼の真実を知ることはありません。なお反社会性人格として、サイコパス(精神病質)は先天的なもの、ソシオパス(社会病質)は環境要因によって作られた後天的なもの、と考えられているようです。しかしながら反社会性人格につながりやすい素地・素質、それらを助長する生育環境・生育歴という両者の兼ね合いから生まれるほうか自然なので、先天的なものと後天的なものを切り分けて分類・診断するのは難しいでしょう。

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