届くはずの仕事の材料がまだ来ないので、またしても海外ドラマネタで書いてみようと思います。

私は刑事ドラマやサスペンスものも好き。しかし巷では人気があるらしい「シャーロック(ベネディクト・カンバーバッチが出ているもの)」や「メンタリスト」といった、「ボクはこんなことにも気づいてしまったのだ」的な、主人公による自説披露&解説ドラマは好きでなく、好きでないどころか退屈なこと極まりなく、意識を失って冬眠しそうになります。

そんな私にとって面白いサスペンスものとなると、イギリスの「ライン・オブ・デューティー汚職特捜班」を挙げずにはおれません。警察内部における逸脱行為を捜査する部署AC-12のお話(面白くなるのはシーズン2からですが、シーズン1から見るほうが分かりやすいです)。

細かな証拠を基に被疑者(警察内部の人)を追い込むAC-12(こちらも警察内部の人)。AC-12に求められての陳述の場で、隙を突いて切り返し、反対にAC-12を追い込む被疑者達。犯罪や法律に詳しい警察関係者同士の攻防が面白い。被疑者の背後に潜む巨悪の正体や全貌が明らかにならないなか、視聴者がAC-12視点での論証を確信していたところ、被疑者がそれを見事に翻すロジックを展開する、といった緊迫の場面が各シーズンに出てきます。AC-12がマス目の角を取ったと思ったら、被疑者が別の角を取り、一気に黒から白にひっくり返していくオセロゲームのようです。

追い込んだつもりが、逆に痛いところを突かれ、被疑者たちに煙に巻かれたときのAC-12(スティーブ・アーノット、ケイト・フレミング、テッド・ヘイスティング)の「やれやれ、まいった、まいった」の顔が、妙にリアルで好きです(笑)目立つイケメンでも、美女でも、少なくとも日本では超有名でもなく、コツコツと役者人生を歩んできました、みたいな “いぶし銀系俳優陣” の演技の底力もお楽しみのポイント。

さて人間のマインドは「白なら白」「黒なら黒」の見通しが立ち、安定した視点をもつことで落ち着きます。マインドは、辻褄が合わず、何だかよく分からない不安定な状態を好まないので、納得できる何らかの結論に至らんと、せっせと調査し、裏付けを取り、相互の関連を明らかにし、構造を把握しようと試みます。ドラマの中ではAC-12がそれを行ない、視聴者はそれを観て、自分達なりの仮説推論を構築していきます。

しかしながら、このドラマでは「黒にもっていきたい人達」と「白にもっていきたい人達」が、ギリギリのところで攻防するので、視聴者のマインドに落ち着く隙を与えません(そういった度重なるひっくり返しがないと、マインドの行なう仕事がないので、私の場合「シャーロック」や「メンタリスト」を観ているときのように冬眠してしまう)。

そして日常を鑑みるに、ひとりの人間のなかでも「ああでもない、こうでもない」と、分裂したマインド同士が攻防を続けています。そして重要な地点(マス目の角とか端とか)を確保した、マインドの一派閥がより大きな勢力を獲得し、それらを含めた勢力図を反映した形での選択や意思決定を行なっています。

このドラマには、ひとりの人間の思考のパターンとプロセスを、複数の人達のエゴ、善や悪というように、その役割やパーソナリティを細かく分担した形で繰り広げているようなところがあります。あたかも休むことを知らない人間のマインドの世界を観ているようだから、引きこまれるのだと思います(私の場合)。

人間はマインドの世界を放棄することはできないし、ある側面から言えば放棄する必要もありませんが、なぜマインドの作り出す “作り物の世界” に人間がのめり込むか(人間がマインドを司るのではなく、反対にマインドに支配されるのか)というと、自作自演のオセロゲームがある種の興奮と快感を脳内に生み出すからです。私たちは成長するにしたがい、存在としての充足感よりも脳内の快楽を、リアルな幸福の感覚として優先するように仕向けられてきた、と言えます。

「ライン・オブ・デューティー」と同じ人が制作に関わっているドラマとして「ボディガード―守るべきもの―」があります。「ボディガード」のイギリスでの視聴率は大変高かったようですが、私は「ライン・オブ・デューティー」のほうを高く評価します。理由はいろいろあるけれど、長くなるから止めておきます(笑)

「ゲーム・オブ・スローンズ(GOT)」でロブ・スターク役だったリチャード・マッデンが「ボディガード」の主役を務めています。GOTでは “優秀で万能、女性も憧れる長男(←ジョン・スノウ談)” という役どころで、比較的早くストーリーから退場したがゆえ、演技が上手いのかどうかが今ひとつよく分からなかったのですが(好青年って難しくない役どころと思うので)、「ボディガード」を観ると「細かな表現を演じ分けることができる、なかなかの役者」と感じました。

「ライン・オブ・デューティー」では、AC-12のスティーブ・アーノットが、なぜか “スケコマシ” 設定。イケメンかと言えば「?」だし、大柄な人達に混じるとチンチクリン(173センチ)ではあるのですが、スケッチで描写したような不思議な顔とは思います(独特というか持ち味のひとつでは)。スティーブ・アーノットを演じるマーティン・コムストンはスコットランド出身。マーティン・コムストンのプライベートでの結婚式。正装のキルトを着用しています。自分(スコットランド人)も嫁(アメリカ人)も好き勝手な格好をしました、でも幸せです、みたいな写真です。

https://www.irishexaminer.com/breakingnews/entertainment/line-of-duty-star-martin-compston-ties-the-knot-in-beautiful-scottish-ceremony-740813.html

「ボディガード」のリチャード・マッデンもスコットランド出身。GOTのジョン・スノウ役(キット・ハリントン)とイグリッド役(ローズ・レスリー)の結婚式にて。マーティンもリチャードもガマ口みたいなのを下げていますね。何が入っているのでしょう?

https://imagesvc.timeincapp.com/v3/mm/image?url=https%3A%2F%2Fpeopledotcom.files.wordpress.com%2F2018%2F06%2Fspl5005921_008.jpg&w=1100&q=85

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