瞑想歴の長さ
瞑想の教師が、ときどき使う言葉として
「瞑想歴」
というものがあります。
「○○さんは、瞑想歴が長いので、『空(くう)』も大きいですね」
というような、使い方をされることが多いようです。
「瞑想歴」と言うと
Aさん → 3カ月
Bさん → 1年
Cさん → 5年
Dさん → 10年
だとしたら
Dさんの瞑想歴が最も長いことになります。
私の感覚では
Aさんと、Bさんと、Cさんと、Dさんの瞑想歴を比較したところで、実は何の役にも立ちません。
喩えとして、適切かどうかは疑問ですが
Aさん → 時速100キロで走る車
Bさん → 時速200キロで走る車
Cさん → 時速30キロで走る車
Dさん → 時速10キロで走る車
だとしたら
「Dさんは、時速10キロで10年間走ってきました。だから、遠くに行くことについての達人です」
と言えないのに似ています。
ここ1年で比較すると
Dさんより
Bさんのほうが長距離走行を達成しているし
Dさんの1年よりも
Aさんの、走り始めて3カ月の走行距離のほうが長距離です。
ゆえに、人と人とを比較するのに「瞑想歴」を持ち出すのは、本質において不適切です。
(ただし、ひとつの指標として、「瞑想歴」を参考にすることはあります)
瞑想の進み方は
持っている “素質” と “センス” によって違いが生まれると思います。
“素質” や “センス” は
質的な部分が非常に大きいので
走行距離という
数量にフォーカスした説明は
あまり好ましくないですね。
さて
競争するために
瞑想をするわけではありませんし
自分がどの進度/境地にいるのかは
自覚しがたいものですし
“素質” や “センス” を気にする必要はありません。
「瞑想歴」と表現するとき
その個人における
過去から現在までを意味すると
私は考えています。
そして
Aさんにとっての瞑想歴1年と
Bさんにとっての瞑想歴1年は
その内容や意味が
違ってきます。
時間の経過は
その人、その人によって
主観的に異なっている、というのと似ています。