フリーターに多い3タイプ―「自己探求タイプ」「他者承認タイプ」「夢見がちタイプ」


「自己探求タイプ」「他者承認タイプ」「夢見がちタイプ」は、フリーター比率が高い。

【フリーター比率の高いタイプの特徴(アンケート調査より)】

タイプ名(全体に占める%) 特徴
自己探求タイプ(14.2%) 好奇心旺盛で活発に活動するフリーター。大学・大学院卒以上の未婚女性が多い
希望する暮らし方「エンジョイ指向」、希望する働き方「能力・技術開発雇用」、就職活動で困っていること「入りたい会社になかなか就職できない」「どの会社でやりたいことを実現できるかわからない」「やりたいことの社会での実現方法がわからない」
他者承認タイプ(11.8%) 自分なりの夢・目標のあるフリーター。女性がやや多く、専門学校・高校卒
希望する暮らし方「趣味+地位指向」、希望する働き方「才能・専門フリーランス」または「ホスピタリティビジネス現場」、就職活動で困っていること「能力に確信がもてない」「入りたい会社になかなか就職できない」「親や周囲が就職を強く勧める」
夢見がちタイプ(10.9%) 大学・大学院卒以上、男性比率が高い。生活変化欲求に乏しいフリーター。高年収の親をもち、可処分所得は多い
希望する暮らし方「経済指向」、希望する働き方「マイペース雇用」、就職活動で困っていること「どの会社でやりたいことを実現できるかわからない」

それぞれの特徴を、すべてのタイプの差異を明確に表しやすいものとして、因子のなかでも「仕事を通じての自己実現を重視―重視しない」「他者からの評価を重視―自由詩しない」「安定・社会保障を重視―重視しない」の3軸をもって、ポジショニングを規定した(ポジショニング図割愛)。

「趣味と実益タイプ」は、趣味と仕事の一致を目指す、いわゆる「夢追い型」だが、フリーター比率は高くない。ただし、趣味と仕事の一致を強く指向しているためか、「能力に確信がもてない」「社会でやりたいことを実現させる方法がわからない」「働く意味がわからない」「就職したくないが、親や周囲が強く勧める」「就職環境が厳しいため、活動する気が起こらない」といった項目への回答率が高い。

インタビューでは、「今の働き方・仕事」「遊び」「理想の働き方・仕事」について、思うことや、それをしているときの気分などを特に与件を設けずに羅列してもらった。

「遊び」と「理想の働き方・仕事」にかかわるキーワードとして、共通して挙がってきたのは「楽しい」「能力の活用(自分の個性・能力を生かす・自分にしかできないことをする)」「趣味・ライフスタイル=仕事」「充実・充足」。

行動への動機付けになるのは、自分が楽しいと感じたり、達成感や満足を得たり、自分の個性が生かされたと実感できることで、その状態として、誰もが具体的に思いつきやすいのが「趣味と仕事の合致」である。

「仕事として、やりたいことがわからない」人ほど、「趣味を仕事にしたい」という傾向もみられるが、“仕事として成立するレベルの趣味”をもつ人は多くない。したがって、幅広く「関心のあること」「好きなこと」「楽しんで無理なくできること」を自覚することが、行動の動機付けにつながると思われる。また「関心のあること」「好きなこと」を、実際にやってみて、職業としての照準をどこに合わせるかを考えていくプロセスも必要になる。

「理想の働き方・仕事」として、“高卒フリーター”では「自分に合っている」「自分のためになる」、“元フリーター正社員”では「能力が向上する」「他者から認められる」「常にポジティブな気持ちでいられる」といったキーワードが、多く挙がっている。「もっと働きたいと思えるようになりたい」「常に目標をもちつづけたい」と語る“元フリーター正社員”の願いを実現するには、振り返りの機会や具体的な中間目標を設定し、今自分がどこにいるのかをイメージできるようにしていくことも大切であろう。


 

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