さて途上での観光を終え、ジョージア南西部の都市バトゥミにいよいよ向かいます。バトゥミはトルコ国境に近い黒海沿岸部に位置しています。人口は増加傾向にあり、首都トビリシに次いで2位。
アジャリア自治共和国の首都ともされています。この地方のジョージア人の多くがアジャール人と呼ばれるイスラム教スンニ派のエスニックグループであるため、歴史的経緯もあってジョージア国内で自治共和国を形成しています。しかし、国際的には独立国家として認められていません。
自治共和国であるため、その域内に入るにあたり、セキュリティ部門によって荷物の確認などが行われました。
車窓から見える家屋群には階段があり、2階に上ったところにあるバルコニーに玄関が設けられているタイプの設計が目立ちます。ガイドさんに尋ねたところ「地勢的に湿地帯であるため、かつては高床式の住居だったものが “2階にバルコニー+玄関” の家へと変化していった」とのことでした。
さてアジャリア自治共和国の首都は、アゼルバイジャンの首都バクーを田舎っぽくした感じでした。観光とカジノがウリの街らしいので、最終的にはアラブ首長国連邦のドバイ辺りを目指しているのかもしれません(ドバイは今のところギャンブル禁止ですが、お金持ちが集まる都市のモデルではあることでしょう)。


古い街に新しい息吹を吹き込もうとするとき、なぜか不思議な曲線やメタリックな素材感を多用した景観計画になりがちです。規則性に基づかない曲線を作り出すことは難易度が高く、高レベルのテクノロジーを活用することによって “最新性” や “先進性”、“革新的な斬新さ” を示唆しようとしているとも考えられます。
個人的には「現時点ではヘンテコ」と感じるのですが、建物や要素の数がまとまっていき、新たなトーン&マナーを構築することで街としての新境地が開拓されていくのかもしれません。
なお “黒海” とは黒味を帯びた海水に由来するそうです。天気がよくないため、黒く見えるのかと思っていました。

上の画像にある “ジョージアのアルファベットをらせん状にあしらった塔” と下にある “イスラム教徒のアゼルバイジャン人アリとキリスト教徒のジョージア人ニノの恋物語のオブジェ” は同じデザイナーによるものと聞きました。
海辺の観光スポットだからか、なんとなく “みなとみらい” や “横浜港大さん橋” 辺りのテイストに似たものも感じます。





ひとしきりの説明を聞いた頃、雨がパラパラと降り始め、やがて本降りとなりました。