シーズン4(パート1)についてはコチラ。
以下はパート2の新登場人物です。
[パート2に登場]
ニコレイ・アンドレス 海運会社の跡取りで独身。ケイトに接近する。
トム・ロックウッド ケイト・ガルヴィンの父。やり手の事業家で大富豪。辣腕を振るい、悪どいやり口が徹底している。普段はアメリカにいる。
まずは敵対するリース・モントローズ(ロンドン市長候補の小説家)とトム・ロックウッド(ケイトの父である悪辣な事業家)の間で、愛する人たち(ケイトとマリアン)を守ろうと右往左往するジョーに目が行きます。
しかしエピソード8あたりから、物語は思いも寄らぬ方向へと急展開を見せます。今まで明らかにされていなかったジョーの一面が詳らかにされていきます。
辛うじて正常とされる領域に片足だけ踏みとどまっているかのような錯覚を私に起こさせていたジョーが「やっぱり病気(あるいは障害)」というポジションにピンで留められた感じです。
このドラマは、病的な領域にも “正常さ” や “まっとうさ” が含まれていて、相対する要素がバランスを取ろうとすることで当事者に気付きを与える、というリアルな世界にも存在する事実を見せてくれます。
それが “顕在意識” と “潜在意識” です。これまでのシーズンのジョーの語りや、シーズン4パート1で視聴者が観ていたのはジョーの “顕在意識”。パート2では彼の “潜在意識” に焦点が向けられます。
ジョーは彼なりの正義と道理に基づく “顕在意識” を生きているつもりだったのですが、気づかぬところで “潜在意識” にまんまと操られていました。ドラマとしては、ふたつの意識のギャップを大きく設定することによって、視聴者目線でのインパクトの最大化が図られた感じです。
“潜在意識” は人間の意思決定や行動を背後から操ります。“潜在意識” には異常性も含まれますが “顕在意識” が合理化、正当化している『真実隠匿のからくり(自分についている嘘)』を知っています。ゆえに “顕在意識” は不都合な意識をさらに深い闇へと抑圧して “潜在意識” をさらに入り組んだものにしていきます。
それはどんな人にも起きることですが、“潜在意識” も自分の人格の一部、自己意識と連続している感覚があるのが一般的です。ジョーの意識には人格交代がみられるので正常域からの逸脱(解離性障害)と考えられます。
そして「愛する人を助けたい」「彼女を助けられるのは自分だけ」という妄想が元凶。他者との関係性に価値や意味を見出すのは自然なことですが、過ぎると当人も周囲も不幸になります。作中では妄想性障害のうち “被愛型 (erotomanic)” と説明されています。
一連の殺人を含む事件に関しては、ジョー(教授ジョナサン)の教え子ナディアが真相に迫り、ボーイフレンドのエドワードがそれをサポート。
一方、ジョー(顕在意識)は別人格(潜在意識)と対立しつつも協働し、ジョーを利用しようとした利己的で強欲な事業家トム・ロックウッドに迫ります。
別人格(潜在意識)はジョー(顕在意識)を愛していましたが、ジョー(顕在意識)は別人格(潜在意識)からの求愛を最終的に退けます。これも人間社会によくあること。人は愛する他者(実在)に愛されたがりますが、自分自身を愛することがとても苦手です。
その後、ジョーの人生は想像しなかった展開を迎えます。そして意外な方向へ人生が向かったのは彼だけではありませんでした。では作品をお楽しみください。