バーミンガムへは行ったことがないので、アイキャッチ画像はバースのパルトニー橋です。バース市街は世界遺産に指定されているようです。18世紀後半に活躍した新古典主義建築の第一人者ロバート・アダムが設計したとのこと。バースへはロンドンからバスで行きましたが心和む街でした。
先に「ナルコス:メキシコ編」について書くつもりでした。しかしシーズン3がこの11月にリリースされるそうなので、それを観てから投稿することにしました。コロンビアが舞台の「ナルコス」については過去に書いたものがあります。
「ピーキー・ブラインダーズ」は、19世紀から20世紀初頭にかけてバーミンガムに実在した同名のギャングを題材としたドラマ。次男トーマス(キリアン・マーフィー)を中心としたシェルビー家は、ブックメーカーなどを生業とするギャングとして、バーミンガムから成りあがっていきます。後年アメリカにもビジネスの触手を伸ばします。イタリア系やユダヤ系のギャングとの抗争はもちろんのこと、共産主義者やIRAも「ピーキー・ブラインダーズ」と関わりをもちます。
映像と音楽が非常にオシャレです。当時の街並みや建物、インテリアや生活文化を音とビジュアルから堪能できるのも、このドラマの大きな魅力です。
シェルビー家はジプシーの血を引き個性豊か、非常に貧しい出自だったようです。長男アーサーと次男トーマスは第一次世界大戦に従軍しPTSDをもっています。三男ジョン(ジョー・コール)も従軍しましたが賢くなく直情的であり、ふたりの兄と異なり PTSDに悩まされてはいなかったようです。叔母のポリーを演じていたのがヘレン・マックローリー。残念ながら、今年の4月にガンで亡くなりました。
PTSDに苦しむトーマスは野心家かつ頭脳派で勇敢、非情な一方で義理堅いところがあります。交渉にも長けています。その長所をもってして裏社会でのし上がっていきます。キリアン・マーフィー演ずるトーマスは非常にかっこいいです。
吹き替えより字幕で観るほうがオススメ(私はもともと字幕のほうが好き)。長男アーサーの感情的な声の抑揚、次男トーマスの渋くクールな語り口、三男ジョンのアホっぱい話し方、ポリーの陰の指令官的な受け答えを楽しめます。
経済的に成功し、社会的にも一目置かれたところで裏社会から足を洗い、ファミリーごと実業へと転身しようとするところは、ビジネスに長けた大富豪の麻薬王であり、政治家としても成功しようとしたパブロ・エスコバル(ドラマ「ナルコス」)に通じるものがあります。大金を手にすると、きわどい稼業から離れ、社会へ貢献し尊敬される側へと “表の顔” をシフトしたくなるもののようです。
知恵と勇気を総動員して物事をよい方向へ向けようとするトーマスは、結婚しても究極には孤独であり、ときに混乱して死への誘惑にかられます。
ポリー役はお亡くなりになり、シーズン6で終了が発表されてもいる「ピーキー・ブラインダーズ」。オススメです。