「ボッシュ:受け継がれるもの」シーズン3、エピソード9~10のあらすじ&感想

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「そういえば、そんな事件もあったよな」という回収しきれていない/終わったかのように見えていたトピックが再浮上するのが、本シリーズの特徴のひとつ。

本家はすべて視聴していますが、昔の話なので忘れてしまっている部分も多々あります。ときおり復習を必要とする「BOSCH/ボッシュ」シリーズなのでございます。意外なことに、本家最終シーズン(シーズン7)のハリーは、後に製作された「ボッシュ:受け継がれるもの」より、ずっと老けていて “おじいさん”。市警という組織に所属することによって老け込み、私立探偵として独立したことでストレスが減ったのかもしれません。

エピソード9(バッドランド)

ウンベルト・ソリーヨが住宅地の一軒家にやってきます。セキュリティカメラ(ライト?)の周波数を操作しているようです。その家は保安官補ジャック・ギャリティの住まいと推察されますが、彼は独り者なのでしょうか?家族の姿は見えません(テーブル上には “おっさんがやるようなものではない” ベースボールゲームがある)。ソリーヨはタバコを吸って、ギャリティ邸を後にします。

入れ替わるようにハリーがギャリティ邸に忍び込み、ロバートソン刑事殉職の落とし前をつけるよう汚職まみれの保安官補に迫ります。具体的には検事と取引して捜査協力すること、ソリーヨをおびき寄せて警察に引き渡すこと。

チャンドラー地方検事はロバートソン刑事殺害事件を担当するジェラルド・ウィリス刑事をハリーに引き合わせ、ハリーは保安官補の身柄を刑事らに引き渡します。

その後、ハリーらはウィリアム・ジャーゲンセン(「ブレイキング・バッド」の人消し屋みたいな仕事をしている人物)と取引。ケン・ガービズ、モーとともにフィンバー・マクシェーンを捕えようとメキシコに向かいます。ハリーに無謀&無慈悲な顔があることを知ったマディは、マクシェーンを殺さずに市警へ引き渡すことを父に約束させます。

メキシコにてソリーヨがDEAによって逮捕されたことを知ったハリー。マクシェーンの足取りを追います。計画が予定通りに進まなくなり、最終的に息の根を止めたのはガービズでした。殺さない約束をマディとしていたハリーでしたが「このタイミングで殺すしかない」という判断が元兵士ガービズにあり、隠された意味&結果としてアフガニスタン従軍時代の恩を返したカタチになったと私は解釈しています。

ヴァスケスは甥のアルバートを逮捕したことで、姉マリとの関係が悪化します。強盗を繰り返したアルバートが悪いのであって、ヴァスケスは職務をまっとうしただけ。逆恨みするほうがおかしいと思いますが、ヒスパニック系ファミリーの絆&情は理屈では割り切れないもののようです。ヴァスケスはアルバートに対し、取引による減刑を勧めます。

違法薬物を使用して男色に耽る市議会議員パトリック・カーリー。住居侵入の疑いで通行人によって通報され、指令を受けたマディ&ヴァスケスが現場へ急行します。

カーリー議員のケツモチ的なことをしている男性はビクター・デズモンドという名のようです。探偵か何かでしょうか。彼はカーリーにチャンドラーの秘密を手渡します。

チャンドラーたち検察側と市警本部長ヒューズはロバートソン刑事殉職事件の捜査や起訴に関して協調的とは言えない状況でした。同事件はチャンドラー&ウィリス刑事の手を離れ、市警本部長の采配で連邦検事局&FBIが引き継ぐことになります。

エピソード10(花の娘たち)

ステーキハウスでの娘マディとのディナーを終えたハリー。帰宅しようとする彼の車を尾行している不審車両に気づきます。モーが調べたところ、陸運局に登録がないことがわかりました。事務所に置いた銃を取りに行ったハリーの前に現れたのは市警強盗殺人課の刑事レネイ・バラード。盗んだ捜査資料(13年前に始まった「花の娘たち」殺人事件のケースファイル)の返却を迫ります。

ハリーは自分の手元にあるのはコピーであり、原本はハリウッド署に保管されているはずだと告げます。「署に見当たらないから、ここに来た」とレネイは言います。彼は新たなアジア系女性殺人事件のケースファイルと引き換えに旧ファイルのコピーを渡すという取引をもちかけますが、レネイの上司であるリック・シールズ警部は渋い顔。粘るレネイに対し、捜査令状を持参することを条件に譲歩します。

若干の駆け引きの後、ハリーとレネイは「花の娘たち」殺人事件についての情報交換を始めます。この後のいくつかのシーンで、レネイがハリーに一目置く、または惹かれているとおぼしき描写があります。ハリーに対して警戒を怠らない一方で、ふたりの縁が今後も続いていくであろうことを示唆しています。

事件についてレネイの説明を借りると「女性たちはフィリピンで拉致され、アメリカでギャングに売り飛ばされ、ネット売春を強要される」という前提があり、ハリーによれば「連続殺人犯の客を部屋に招き入れたことによって殺されてしまう」。連続殺人事件には空白の期間があり、なぜ殺人が再開されたのかという謎も残っています。

ハリーは独自に調査を開始。ロサンゼルスのフィリピン風俗店にモーを潜入させようと考えます。しかしハリーの車に密かに追跡装置を付けていたレネイによって邪魔されます。

ハリーの価値観や人格の大部分は「愛する母は娼婦だった」「その母は殺された」というところを起点に形成されているので、娼婦をターゲットにした事件に対しては特段の思いがあるのです(本家から今に至るまで、その描写に相当の時間を費やしている)。

マディのサポートを得て捜査資料をあたっていたハリーは、彼女の指摘で少なくとも2件の死亡を確認した救急救命士がジェレミー・マッキーであることに気づきます。そして彼が12年前にアイダホへ移り、昨年ロサンゼルス(LA消防局32分署)へ戻ったことも判明。

レネイ刑事はバーでマッキーのDNAの付着したボトルを手に入れようとして失敗。思いのほか早く彼がバーから出てきたことで、モーは車のバッテリーに追跡装置をつなぐことができませんでした。マディはヴァスケスとともにハリーに協力。一時停止違反を理由にマッキーの車を停車させます。今シーズンも退職デカ2人組(「ビア樽」&「デカ箱」コンビ)がところどころで登場。お元気なようで何より。

モーはマッキーの部屋へ侵入し、そこで身元不明遺体に関する資料を発見。彼のデスクトップをハッキングすることにより、彼の居場所を特定。そこへハリー&レネイが踏み込み、マッキーは現行犯逮捕されます。

新たなスピンオフシリーズの可能性が浮上?!

…ということで「花の娘たち」殺人事件は一件落着ということでしょうか?

小説を原作とする「ボッシュ」シリーズは以上をもって完結らしいのですが、ドラマシリーズ全体がこれで終わりだとしたら非常に物足りないです。マディも「花の娘たち」殺人事件について捜査協力こそしましたが、一個人としてのキャリアやプライベートの今後の展望につながる描写はなく「こんなふうに進んでいこう/生きていこう」という未来への意思が感じられませんでした。ただ、なんとなく終わった印象を強く受けました。

地方検事チャンドラーと市警本部長ヒューズの軋轢のストーリーもここで終わり。ロバートソン刑事殉職事件も「FBIにもっていかれました」で終了。男色議員カーリーの悪行も暴かれず。もろもろが中途半端過ぎ。

もっとビシッと決着をつけると言いますか、各登場人物の道筋に納得できるような収まりをつけてほしいところ。…ということで「ボッシュ」シリーズの有終の美のためにも、さらに1シーズン付け加えてほしいと思いました。

「花の娘たち」事件を境にそれぞれの人生が仕切り直されて新たな物語が始まる、そんなドラマを観たかったのですが、残念ながらシーズン3で打ち切りが決定しているそうです。

ただし刑事レネイ・バラードを主人公としたスピンオフドラマのアイデアがあり「そこにハリーも登場するかも」とのこと。「ボッシュ」シリーズでの伏線がそちらで回収される可能性もあります。レネイ・バラード、嫌いじゃないですが好きでもないので微妙。でもリリースされたら観ます。

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