リー・チャイルドによるジャック・リーチャー・シリーズのうち「Back luck and trouble」をベースにしています。
今シーズンはアメリカのいろんな街で物語が展開していきます。軍警察第110特別捜査部隊をかつて指揮していたリーチャーと彼の元部下が、仲間の死の真相に迫る物語です。第110特別捜査部隊時代のシーンを交えながら “再び共に闘う今” が描かれます。リーチャーたちは広域で動きます。シーズン1が、こじんまりとしたマーグレイヴ(架空の街)を主な舞台としていたのと対照的です。
本作品に関しては、私は「音声はオリジナル、日本語訳は字幕」で観ています。特にリーチャーは演じているアラン・リッチソンの声のほうがステキだと思いますし、ほかの登場人物もセリフの言い回しが自然なので、リラックスして聞いていられます。
導入部あらすじ
マンハッタンから北へ2時間のキャッツキルマウンテンズ。空中のヘリから人が落とされるシーンから始まります。
場面変わってアーカンソー州のマフリーズボロ。現金を引き出すためにATMへ向かったリーチャー(依然として放浪中)は、機械から出てきたレシートの数字がニーグリーによる暗号であることに気付きます。彼女からカルヴァン・フランツが殺されたことを聞いたリーチャーはニューヨークへ向かいます。
ブルックリン区ウィリアムズバーグでふたりは再会。マーグレイヴの事件以来、約3年ぶりです。ニーグリーによれば、探偵として活動していたカルヴァン・フランツは何か重要な情報を握っていたようです。
かつて軍の少佐だったリーチャーはヴァージニア州ロック・クリークで特別捜査官を招集。新たなチーム、すなわちを第110特別捜査部隊を指揮しました。カルヴァン・フランツはメンバーのひとりで、ニーグリーも同様でした。部隊は既に解散し、メンバーは散り散りになっています。
リーチャーとニーグリーはかつてのメンバーと連絡をとり、力を合わせてカルヴァン・フランツの死の真相に迫ることを決めます。
その様子をふたりの男が見張っていました。ひとりはスキンヘッド、もうひとりは顔に傷。そしてロサンゼルス空港では、ある男が偽造パスポートを使ってアメリカへ入国していました。
リーチャーとかつての部下たちはニュージャージー州アトランティックシティへと向かい、協力しようにも連絡のとれない元メンバー、ホルヘ・サンチェスとオロスコの行方を探ります。
主要な登場人物
[軍警察第110特別捜査部隊の元メンバー]
※ 元特別捜査官のためかリーチャーを除き、除隊後は探偵や調査員のような仕事に就いている
ジャック・リーチャー : 放浪者。かつて軍警察の第110特別捜査部隊のリーダーだった。シーズン1に引き続き、大柄で逞しく力がある男。頭脳明晰で推理や分析に長けている。かつての部下カルヴァン・フランツの死を知り、真相を掴むために旧メンバー(元特別捜査官たち)を集め、指揮を執る
フランセス・ニーグリー : 探偵事務所に所属する私立探偵。アーカンソー州にいたリーチャーを呼び寄せる
カルヴァン・フランツ:経営者や投資家を顧客とする私立探偵。何かを調べていたが、ある日失踪。その後、空中のヘリから落とされ遺体が発見される。妻はアンジェラ、息子はマイキー
デイヴィッド・オドネル:軽口を叩くことを好む。妻はリリー。息子はダニーとデイヴィー
カーラ・ディクソン:シーズン2では彼の恋の相手。“リーダーとメンバー” の間柄だったときは、互いに好意を持ちつつも先に進むことがなかった。招集がかかったとき、彼女は法廷会計士。数字に強い
ホルヘ・サンチェス : ニュージャージー州アトランティックシティで何かを調べていた。再招集したくとも連絡がつかない
オロスコ:サンチェスとともに動いていた。再招集したくとも連絡がつかない
トニー・スワン: ギターをかき鳴らして歌うのが得意。再招集したくとも連絡がつかない
スタンリー・ライリー : 射撃の名手。チーム解散後に交通事故死しており、招集のしようがなかった
[警察関係者]
ガイタノ・”ガイ”・ルッソ:ニューヨーク市警でカルヴァン・フランツ殺害事件を担当
オスカー・フィンリー:ボストン警察の警部補。シーズン1ではリーチャーと捜査にあたっていた
[巨悪とつながっている悪党たち]
トレヴァー・サロビアン : 顔に傷のある男。リーチャーら元第110特別捜査部隊のメンバーの殺害を指示されている
エイドリアン・マウント : 偽名を使っており “アンドリュー・マクブライド” や “アレハンドロ・メンデス” “アズハリ・マハムド” のように頭文字を “A.M” で統一する傾向にある。武器取引に関わっている
[ニュー・エイジ・テクノロジー社の関係者]
シェーン・ラングストン:警備部長
マーロ・バーンズ:業務部長。ジェーンという娘がいる
ブライアン・コリンズ:警備担当次長
マルコム・ラヴォイ上院議員:ニュー・エイジ・テクノロジー社を支援
ダニエル・ボイド:マルコム・ラヴォイ上院議員の立法担当官
[その他]
ライト : とあるカジノの責任者
ミレーナ : サンチェス&オロスコのアトランティックシティにおける知り合い
フィールズ中佐: リーチャーたちの軍警察時代の上司
マニュエル・エルゾグビー:整形外科医
オマール・カリム:国土安全保障省の人。リーチャーの死んだ兄の仲間
今シーズンのポイント
[優れているところ]
- 先のシーズンよりも、リーチャーに人間味を感じられる(吹き替えより元の音声のほうが伝わってくる)
- 軍警察第110特別捜査部隊の元メンバーたちの絆と動きの見事さが見ていて心地良い
- 元メンバーたちとの絡みからも、リーチャーの人となりが伝わってくる
- 結末をそれなりに予想できる(展開は王道)
- 「やっぱりそうなるよね」と思いつつ、プロセス随所にハラハラドキドキ要素が用意されている(どんでん返しが複数)
- アクションや戦闘シーンが本格的
- 主人公リーチャーにまつわるLOVEネタがくどくない。ちょうどよい。ラブシーン導入部の組体操のような体育会系の動きがよい。その先の描写がないのも大変よろしい
[微妙なところ]
- リーチャー側が負けるはずがない、という前提で物語を視聴してしまう
- 恋の相手役(カーラ・ディクソン)は大人系の美人であるが、角度によって微妙なときがある。日本の人はシーズン1のロスコー・コンクリンのビジュアルのほうが好きだと思う
[トリビア]
- 恋の相手役カーラ・ディクソンを演じたセリンダ・スワンはラブシーンでのヌードを承諾しなかった。ゆえにそのような内容になっている
- トニー・スワン役のシャノン・クック。見るからに東洋系。調べたら「南アフリカのヨハネスブルグで、中国系モーリシャス人の父とケープカラード系南アフリカ人の母の間に生まれた」とあった(モーリシャス → アフリカの多民族国家。ケープカラード → 主にアフリカ、アジア、ヨーロッパの混血の人々で構成される南アフリカの民族分類)。モーリシャスの大半はインド系住民らしい。占める割合は高くないが中国人もいる。シャノン・クックは後年、中国系移民の多いカナダへ移住し、そこで演技を学んだ
- 上記を踏まえての単なる感想だが、ポリコレへの配慮からか、登場する人種のバランスが “やけに” とれている気がする(それぞれの人数・配役・重要度)
- シーズン3の脚本が書かれつつあるそうだ