ドイツのタイムスリップドラマ「ダーク」シーズン1

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ドイツのドラマ「ダーク」。どういうふうにまとめようかなと思案した結果、シーズンごとに書くのがよろしかろうとなりました。まずはシーズン1です。

このドラマは、タイムスリップした人が、その時代の自分と共存可能な仕様となっています。もうひとりの自分と話をすることもできます。ただしその時代の自分は、未来からきた人物を自分とは認識しません。未来の自分には、過去の自分であることがわかります。過去や未来へ行っているとき、自分の所属している時空間では「行方不明」となります。

過去、現在、未来の区別は幻想に過ぎない」というアインシュタインの言葉の引用がまずあり

時は直線状に流れるものだと言われている。乱れることなく、どこまでも進み続ける、果てしなく。とはいえ、過去と現在と未来を区別することは単なるまやかしだ。昨日と今日と明日は一列に並んでいない。終わりのないループでつながっているのだ。すべてはつながっている

冒頭のナレーションより

という言葉から、物語が始まります。

ある程度集中して観ていないと、後のストーリー展開の前提が理解できません。その点もボーっと観ていても何となく理解できるイギリスの「アウトランダー」とは異なります。

2019年、ある子どもの失踪から家族や地域社会の秘密の扉が開いていく物語。ですが、2019年が始まりなのかどうか…。「始まりは終わり」「終わりは始まり」「すべてはつながっている」ので。

後の前提となる出来事を簡単に整理すると以下の通り。大筋でのネタバレはないはず。

  • 2019年6月21日 ⇒ ミハエル・カーンヴァルト(主人公ヨナスの父)が「11月4日午後10時13分まで開けるな」と書かれた封筒に遺書を残して自殺
  • 11/4(当日)までの間 ⇒ ①ヨナスはPTSDのため精神科へ2カ月間入院、②10月20日頃にエリック・オベンドルフという少年が失踪
  • 2019年11月4日当日 ⇒ ヨナスの母はウルリッヒ・ニールセン(ヨナスが恋するマルタの父)と自宅で不倫。ヨナスは高校へ復帰。行方不明のエリックが隠しているマリファナを手に入れるため、ニールセン兄弟(マグナス、マルタ、ミッケル)、バルトシュ(ヴィンデン原発所長の息子)、ヨナスは夜のヴィンデン洞窟へ
  • 11/4午後10時13分過ぎ ⇒ ①自殺したミハエルの育ての母イネスが彼の遺書を開封、②ヴィンデン洞窟の異常事態に驚いて逃げ帰る際、ミッケル・ニールセン(当時11歳)が姿を消す
  • その後 ⇒ 森林で子どもの遺体が発見される(死後16時間程度/目に火傷/外耳道と内耳に損傷があり鼓膜が破れている)。ただし、エリックでもミッケルでもない

上記前提とは別に、記憶に留めておいたほうがよい情報は以下通り。

  • 33年ごとに月の周期と太陽の周期が合致し、星、惑星がぴったり同じ位置になる(月太陽周期)
  • 2052年(未来)、2019年(今)、1986年(過去―親の若い頃)、1953年(過去―祖父母の若い頃)という33年周期の年の間でタイムスリップする
  • 未来と過去は依存しあっていて「鶏と卵の関係」。どちらが先か分からない。未来から過去へと「鍵」を渡されることもある
  • 33年前の1986年に、ウルリッヒ・ニールセンの弟マッツ(当時11歳)が失踪
  • 1986年のヴィンデン洞窟付近で、アナログな装置を使ってタイムマシンの実験をしている人たちがいる(ミッケル、ヨナス、ウルリッヒ、謎のフードの男など、タイムマシンを使わなくても洞窟のドアからワームホールを通じてタイムスリップできているので、何のための開発努力なのかが謎)
  • ヴィンデン原子力発電所は、1953年の原子力発電計画からスタートし、政府による脱原発計画の一環として2020年の停止が決定。この原子力発電所が不可解な出来事に一枚噛んでいる
  • 謎めいた存在として「ノア」と呼ばれる司祭、フードを被った小きたなめのイイ男、やはりフードを被った正体不明の男、不思議な時計屋が登場する

キーとなる4家族、主要メンバーのプロフィール。シーズン1に関しては、とりあえずこの程度分かっていればOK。

【カーンヴァルト家】

  • ミハエル ⇒ 自殺したヨナスの父。謎めいた人だったらしい
  • ハンナ ⇒ ミハエルの妻だが、少女時代からニールセン家のウルリッヒが好きで不倫している。ミハエルの死後は経済面で困っている。可愛い顔をして悪知恵が働くタイプ
  • ヨナス ⇒ 父に自殺されPTSDに。入院している間に、好きだったマルタは友人バルトシュの彼女になってしまう。性悪なハンナに育てられたにも関わらず、青年期は真面目で頑固な印象が強い。ドラマのタイトル通りで「暗い」が諸事情を考えるとやむを得ない。彼のところには「フードを被った小きたなめのイイ男」が時々現れる

【ニールセン家】

  • ウルリッヒ ⇒ 職業は警察官。1986年に弟マッツ、2019年に息子ミッケルが失踪。息子失踪まではヨナスの母ハンナ・カーンヴァルトと不倫していた。ハンナに甘い言葉を囁いていたが、不倫が妻にバレて180度態度を変えるという不倫テンプレ男。ただしマッツやミッケルの捜索に対しては執念をもって取り組んでいる
  • カタリーナ ⇒ 職業は学校長。ウルリッヒの妻で高校時代からの付き合い。学生時代はふたり揃って暴力的で素行不良。原子力発電所長の娘レジーナをイジメていた(それがなぜ地元で警察官と学校長に?という疑問が湧く。ドイツではそういうのは不自然ではないのか)。校長になってからも、レジーナに鉄拳制裁を加え、息子マグナスに止められる
  • マグナス ⇒ ニールセン夫妻の長男。父ウルリッヒに比べればマトモな青年に見える
  • マルタ ⇒ ニールセン夫妻の長女。ヨナスが入院している間にバルトシュと付き合い始めたが、ヨナスのことが忘れられない。演劇をやっていて文化系。武闘派の母には似ていない
  • ミッケル ⇒ ニールセン夫妻の次男。2019年11月4日に失踪。手品が得意な男の子

【ドップラー家】

  • シャルロッテ ⇒ 職業は警察官。ウルリッヒ・ニールセンとは同僚。仕事で忙しいのか、そもそもの性格からくるものか、夫婦仲がよろしくないためか、夫からの割と重要な頼みを即座に却下する。「不思議な時計屋」と何らかのつながりがある
  • ペーター ⇒ シャルロッテの夫。診療所で働くカウンセラーでPTSDのヨナスにアドバイスしている。肝心なときに妻に話を聞いてもらえない可哀想な人
  • ヘルゲ ⇒ ペーターの父。1986年当時は原子力発電所の従業員。2019年時点では療養中(「止めなければ」と言い続けているおじいさん)。冷たい母親に育てられた。父は1953年当時の原子力発電所のトップ

【ティーデマン家】

  • バルトシュ ⇒ ヨナスの友だち。マルタと付き合っている。病院帰りのヨナスを庇うなど性格は悪くない。ドラッグの売人と勘違いして「ノア」との接触が始まる
  • レジーナ ⇒ バルトシュの母親。クラウディアの娘。森のホテルの経営に行き詰っている(お金持ち設定のはずだが、実情は火の車?)。少女時代、ウルリッヒとカタリーナのカップルにイジメられていた
  • アレクサンダー ⇒ レジーナの夫。2019年時点の原子力発電所の所長
  • クラウディア ⇒ レジーナの母親。1986年当時の原子力発電所の所長

タイムスリップの概要は以下の通り。

[ミッケル]2019年⇒1986年へ。そこで未来の両親であるウルリッヒ、カテリーナに邪険にされます。自分たちの未来の子どもに何ということを!ウルリッヒとカテリーナ、後に人間的に成長したのかもしれませんが、高校生の頃はクズなカップルに見えます。

[ヨナス]亡き父の残した地図と「フードを被った小きたなめのイイ男」の誘導により2019年から1986年へ。ミッケルを見つけて1986年から2019年へ連れ戻そうと考えますが「フードを被った小きたなめのイイ男」に「未来が変わってしまう。過去を変えてはいけない」と制止されます。再び 2019年⇒1986年へ。 そしてシーズン1の最終話で、殺伐とした雰囲気の漂う2052年(未来)へとタイムスリップします。

[ウルリッヒ]ミッケルを探しているうちに2019年から1953年へと迷い込み、若かりし頃の祖母と父に遭遇。マッツやミッケルの失踪を防ごうと、ある人物を殺して過去を変えるという「してはいけないこと」をしようとします。

周辺解説はこのくらいにします。

我々の人生はつながっている。1つの運命が別の運命に。すべての行為は前の行為への反応に過ぎない。原因と結果の連鎖。終わりのないダンスだよ。すべてはつながっている

ナレーションより

「ダーク」、とっても面白いので見てくださいね~。

このドラマ最大の謎 登場人物たちが土砂降りでも傘をさしません。ドイツの人たちがみなそうなのか、このドラマの中でだけそうなのかは分かりません。びしょ濡れになるより、傘をさしたほうがいいと思いますけれどね。

ドイツのタイムスリップドラマ「ダーク」シーズン2
シーズン2の周辺情報です。話がより大きく複雑になっていきます。
ドイツのタイムスリップドラマ「ダーク」シーズン3
「ダーク」シーズン3についての解説です。全体に難しいドラマでした。物理学的発想と宗教(思想)的視点が一体化しているからかな。
海外ドラマ「ダーク」の出演者たち
「ダーク」出演者についての情報を整理しました。個人的に関心をもった人だけなので偏っています。
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