ドキュメンタリー「殺人鬼との対談 ジェフリー・ダーマーの場合」-世界から切り離された人がつながりを求めるとき

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ドラマ「ダーマー モンスター:ジェフリー・ダーマーの物語」についてはコチラ。

ミルウォーキーの連続殺人鬼-アメリカ社会の差別問題を含むドラマ「ダーマー」
「モンスター:ジェフリー・ダーマーの物語」が副題です。サイコソシオパスが生み出され、犠牲者が17人に上った実話。被害が大きくなった背景には、アメリカ社会がはらんでいるいくつかの問題がありました。

今回は、ジェフリー・ダーマーによる連続殺人事件のあらまし、彼や事件を間近で体験した人たちの証言、ダーマー自身のインタビュー記録などを基にしたドキュメンタリーを取り上げます。

この文章を読む人は事件の概要についてドラマなり、このドキュメンタリーなり、事件に関する記事なりでおおよそ知っているであろう、という前提で、事の次第の解説は省略し、ジェフリー・ダーマーの人物像、殺人や食人を通して何をしようとしていたのかを書きたいと思います。私見ですので、信ぴょう性を保証しません。

その人物像
  • ジェフリー・ダーマーは不仲で喧嘩の絶えない両親に育てられ、自分と世界が切り離されてしまった人。本来、最も親密であるべき親に人生初期に見捨てられて育った
  • 子どもの頃に、自分と世界が切り離されているので、自分を取り巻く世界(人を含む)は観察や実験の対象であり、大きく分類すれば “モノ” である。他者を “モノ” として知りたいと願う
  • 彼自身にも感情や快不快はあるが、人生の初期に世界から切り離されているため、自分自身も “モノ” 的に存在している。“自分が自分である感覚” が希薄であるため、内的な何かを揺り動かす肉体的刺激を通じて自分を確認したいという欲求が強い
  • 世界から切り離されているため、興味関心が偏執的になる。他者からの刺激や相互作用によって感覚が拡大したり、外側へ関心が向かったりすることがなく、視野狭窄となり自分の内的世界に執着する
  • そんな自分自身を理解できず、虚無感と苦しみのなかにいる

そして、歪んだかたちで世界から切り離された子どもが成長したとき、「自分を確認したい」という避けられない深い衝動に身を任せるとき、人間は原初的な感覚から道筋を見出そうとするのだと思います。あらかじめ知っている方法が、それしかないからです。原初的な感覚とは、いずれも世界と自分とのつながりを見出し、自分なりに世界や自分自身を定義づけるように働きます。何か別のものがないと、自分を確認できないように人間はできています。

原初的な感覚の一部が “性欲” と “食欲” です。“食欲” とは「お腹が空いたから食べたい」という狭義のそれというよりは、もっと象徴的な意味で「食べるという行為を通じて達成される何か」に対する欲求です。味わう、自分の内部に取り込む、自分の一部として継承する、取り込むことで新しい何かに変性する、自分を満たして不足感を消す、といったことが該当します。

“性欲” も対象との接近と一体化を潜在的に志向するものであり、“食欲” に通じます。“分離したもの” であるところから出発して “一(いつ)であること” の喜びを知ります。

ジェフリー・ダーマーの場合、殺した相手を解体したり、薬剤や工具で加工処理したり、調理したり、食べたりしていますが、それらは相手と自分を理解する手段でもあったと私は思います。いわゆる正常とされる人たちは、他者と自己の理解を別のやり方で行っていて、それが正常と異常を分けています。

彼は、誘って家に連れ込んだ男性たちを殺しても満たされることがなかったにも関わらず、殺人衝動が消えることはなかったと述べています。依存症ですね。ギャンブル、買い物、過食など、依存の対象はいろいろありますが、“ことを過剰に” 繰り返しても、最後にはいつも満たされない自分がいることに気付きます。事の大小には違いがありますが、大筋でジェフリー・ダーマーも同じだったということです。

彼を殺人へと突き動かしていたのは “支配欲(自分に従う者を側に置きたいという気持ち)” だったようです。人間という対象を “モノ化” しつつ、一方で血の通った肉体をもつ存在への異常な探求心が共存しています。ほかの正常とされる人たち同様に、彼も世界(人を含む)とのつながりを求めていたことに違いはなく、人生のごく初期に、人間としての機能を上手く発達させられなかったことが、この凄惨な事件の出発点と考えられます。

私は、サイコパスとソシオパスを分けて考えません(今までにも何度かそう書いた)。素因となる種子があって、それを開花させる環境(水・空気・温度)があった、そういうことだと思います。種子がなければ芽は出ません。環境条件が整わなければ、種があっても発芽しません。

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