ドラマ「ありふれた家族」―父・母・娘が隠し通した3つの秘密

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マティアス・エドヴァルドソンの同名小説(“En helt vanlig familj”)を原作としています。大きな期待なく視聴したところ、意外に面白かったので取り上げます。小説ベースの作品は及第点以上の内容となることが多いような気がします。

エピソード6を除いて急ハンドルが切られるシーンはなく、全体にゆったりとしたペースで物語が進行します。

[作品のあらまし]

サンデル家はスウェーデン国教会所属の牧師アダム、弁護士ウルリカ、そしてふたりの間に生まれた娘のステラからなります。彼らはルンド郊外の洗練された住宅街で、一見完璧な生活を送っています。ある日、19歳のステラは殺人事件の容疑者となり、勾留されます。サンデル家のすべてが変わります。両親はどんな犠牲を払ってでも娘ステラを助けたいと思っています。3人は家族でありながら、互いの真実の姿を知りません。それぞれの思いによって、この問題を切り抜けようと試みます。

事件が起きるまでの「ありふれた家族」サンデル家

事件はステラが15歳と19歳の時点で起きます。15歳のとき、ハンドボールクラブの合宿で起きた事件が、19歳のときの別の事件発生時の家族関係に大きな影響を与えています。

娘ステラは父アダムにとって目の中に入れても痛くない存在。しかし思春期のステラは自分の求めているものや気持ちを、父親が理解してくれているとは感じていません。

ウルリカは理知的で理解のある母親ですが、ステラが寄り添って欲しいときに、その期待に応えているとは言えません。無意識の行動と思われますが、彼女の理性や知性がそうさせているのかもしれません。

アダムとウルリカは堅い職業をもっており、破たんのない夫婦生活を送っているように見えます。しかしウルリカは同業の弁護士ミカエル・ブロムベリと浮気をしており、夫のアダムもそのことに感づいています。そうなったのには理由や原因があるのでしょう。しかし、ふたりはそれらに向き合うことを避けています。

以上が「ありふれた家族」を取り巻く状況であり、ドラマはそれをベースに展開していきます。

ふたりの男性に対するステラの態度

ステラのひとつ目の事件にはアシスタントコーチのロビン・シュランダー、ふたつ目の事件には青年実業家(?)のクリストファー・オルセンという男性が絡みます。

どちらもステラが気に入って自分から接近。態度を見る限りでは彼女のほうから性的な誘いをした印象です。10代女性の思い描いたのはロマンティックな触れ合いと甘いキス程度だったのかもしれません。しかし男性を惑わせる行為だったように感じます。

そういう分別のなさ(あるいは現実認識の甘さ)が「若い」ということなのでしょう。男女間のトラブルで「女性側に隙があった」と言われがちなのは、女性がきっかけや原因を作っているという見方から生まれます。このドラマを観ると「そういう場合もなくはないよね」と思います。

日本にも露出度の高いセクシーな服装をする若い女性はいます。しかし彼女たちの願望は性的な暴行を受けることではなく、自分たちの抑え込めない魅力をアピールして承認されることなのです。

結局のところ、ステラは自分の振る舞いによって大きな痛手を負うことになります。一方で暴行やハラスメントにおいて女性は社会的弱者でもあります。この辺りの男女の感覚のギャップも印象に残りました。

「ありふれた家族」の“衝動”が生んだもの

実際には “衝動” ではなく “計算” による行動だったのかもしれません。父・母は(ある面で当事者の娘も)ふたつ目の事件の際、常識からかなり逸脱した行為に出ます。それぞれの立場からステラ(自身)を守るためです。ふたつ目の事件は、ひとつ目の事件への対処がうまく機能しなかったことによって引き起こされたとも言えます。

そしてふたつ目の事件に対してサンデル家の3名は、それぞれが新たな秘密を抱えることになります。父・母・娘は、それらの秘密を墓場までもっていくことになるのでしょう。そこには陰りを感じざるを得ません。

しかしその陰りが家族の基盤となり、新たな人生・偽りではない自立へのきっかけになったとしたら…。そんな物語です(後ろ暗いところや隠しごとは人生にないほうがよいと思いますけれどね)。

出演者について

ステラを演じたアレクサンドラ・カールソン・タイレフォルスは本作がデビュー作のようなもので、これといった情報がありません。化粧映えのする顔だちでスタイルも見事です。

ステラと絡むロビン・シュランダー役、クリストファー・オルセン役はどちらも顔が長いです。スウェーデンでは彼らのような “馬面系” がイケメンとされるのかもしれません。

父アダム役はビョルン・ベングトソン。本作では牧師を演じていますが、彼自身はノリの軽そうな男性。「ラスト・キングダム」に出演しているらしいです。

母ウルリカ役はロー・カウッピ。私は彼女の顔が好みではありません。なのであまり見たくありません。しかし、なかなかのキャリアをもっている人。美容師を目指してロンドンで修行。青春期に薬物問題を抱えていたようです。その後、演技の道へ入ります。社会派の顔をもち、監督や司会者も務めています。

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