偶然と必然が絡み合うサスペンスドラマ「告白の代価」

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少し前にNetflixにて公開された韓国ドラマ「告白の代価」(英語タイトル:THE PRICE OF CONFESSION)が面白かったので書き残しておこうと思います。

若干疑問に感じるところ(後述します)があったものの12エピソードに亘って緊張感を維持。登場人物も多すぎず少なすぎず、物語には意外性が含まれており、私の関心を引き続けました。

ざっくりとした筋書き

一部にネタバレ要素(特にフェーズ6以降)があるので「知りたくない人」はひと通り視聴してから読むのがよいかもしれません。

フェーズ1:版画家の夫の殺害容疑で拘束されるアン・ユンス

2017年5月。芸術家のイ・ギデはアン・ユンスと結婚式を挙げます。ふたりの間に生まれた乳児の娘ソプもいます。

その約5年後。2022年4月の雷雨の夜。アトリエで夫のイ・ギデが首を刺されて倒れているのを妻のアン・ユンスが発見して通報します。彼の命は助かりませんでした。

凶器と思われる割れたワイン瓶と彫刻刀があり、周囲には版画用の腐食液が撒かれていました。

イ・ギデの殺害について警察は捜査を進めますが、夫を失ったはずの妻アン・ユンスの笑顔の多さ、不自然なまでの落ち着き、派手な服装などに刑事たちは違和感をもちます。アン・ユンスは芸術家肌のためか、ひとつひとつの発言も意外性に満ちていました。

やり手検事のペク・ドンフンが “イ・ギデ(版画家)殺害事件” を担当することになります。そして妻のアン・ユンスが容疑者として身柄を拘束されます。アン・ユンスは犯行を否認しますが、裁判の第1審で無期懲役を言い渡されます。

フェーズ2:歯科医師夫妻殺害犯のモ・ウンとアン・ユンスが接触

「自分は無実」を大声で訴える映像を含んだアン・ユンス裁判のニュースを見ていた人物がいました。歯科医夫妻を毒殺したモ・ウンです。

セキュリティカメラの映像を基に警察が現場に踏み込み、モ・ウンは逮捕されます。そして彼女は彼らの歯科医院で1年間、歯科助手をしていた/彼らにパワハラを受けていたと供述。

モ・ウンはアン・ユンスと同じ京畿北部拘置所に送致されます。

アン・ユンス、モ・ウンともに同房の先輩格と揉め事を起こし、懲罰房へと移されます。偶然、隣同士の房に入れられたふたりは壁越しに会話。「イ・ギデ殺害の罪を引き受ける、その代わりに “ある人物” を殺害して欲しい」という取引を、モ・ウンはアン・ユンスにもちかけます。

「自分のほかに身寄りのない娘ソプの近くにいて、守ってやりたい」という願いの強いアン・ユンスは、その提案を受け入れます。

フェーズ3:保釈となったアン・ユンスは代理殺人を迫られる

モ・ウンは短期で判決に至る裁判員裁判を希望。法廷で「もうひとつの殺人」を告白します。それによりアン・ユンスは一審の控訴審まで保釈の流れとなります。彼女はモ・ウンとの約束を遂行しなければならない状況に追い込まれます。

紆余曲折を経てアン・ユンスは無名のチャン・ジョング弁護士、モ・ウンはチン弁護士が担当することになります。

イ・ギデ殺害事件の真犯人であることについて、モ・ウンの供述内容に違和感をもったペク検事は彼女とアン・ユンスの間に何かやりとりがあったのではないかと疑います。

当局によりGPS内蔵足輪を付けて保釈されたアン・ユンスは取引に従って、モ・ウンがどうしても殺したくて殺せなかったコ・セフンをモ・ウンに成り代わって殺害しなければなりません。しかし殺人とはかけ離れた世界で生きてきたアン・ユンスは課せられたタスクとの間で葛藤に苦しみます。

行動制限を受けているアン・ユンスは、黒のフードにマスクを付けた謎の人物によって身辺を探られ、いっぽうのモ・ウンは拘置所から一時行方不明となり、重要な時間帯の監視記録がサーバーエラーによって失われるなど、イ・ギデ殺害事件の闇は深まるばかりです。

フェーズ4:アン・ユンスとモ・ウンの取引に確信を強める検事

ギ・イデの母校ホンソ大学で彼の追悼展示会が行われることになります。アトリエを訪れたアン・ユンスは、彼の作品に自分の指紋を付けたこと、夫妻の仲を妬んでいた後輩のオ・ソウォンを思い出します。そして彼女に電話をかけますが、電話番号を変えて旅行に出た後でした。

ペク検事はアン・ユンスとモ・ウンの間には、明るみに出ていない何らかのやりとりがあり、それが事件解決のカギとなると考え、両者とその周辺を洗っていきます。

ふたりの弁護士は、それぞれの立場から動きます。ときにふたりは協力します。

モ・ウンは拘置所や裁判の法廷から、取引を必ず遂行するようアン・ユンスに圧力をかけます。

フェーズ5:コ・セフン殺害。しかし謎が残る

アン・ユンスは取引を成し遂げるために歯科医師夫妻の息子コ・セフンの身辺を調べ、彼が保護観察中の身であることを知ります。アトリエの銅板から、女性ものの時計の跡を発見。チャン弁護士もそれを確認します。

モ・ウンは拘置所内のイジメから “太っちょ” の命を救い、彼女からの信頼を確かなものに。出所した “太っちょ” は恩人の指示に従って動き、アン・ユンスが約束を反故にしないよう圧力をかけます。

GPS付電子足輪の故障を装って外出したアン・ユンスは、歯科医師邸でゲーム三昧のコ・セフンの殺害に向かいます。後日、コ・セフン殺害の証拠写真が弁護士経由でモ・ウンに届き、彼女はその写真を眺めた後、それを破って飲み込みます。

祖父のコ・ドンウクにより、セフンの失踪届が警察に出されます。それを知ったモ・ウンは隠して貯めていた薬の服用によって意識を失います。マスコミは「自殺未遂」と報道しましたが「セフンの最期がどうだったか、会いに来て話すように」というモ・ウンからの合図であることを察したアン・ユンスは、医療関係者を装って入院中の彼女に会いにいきます。それが一連の取引の最後の接触となるはずでした。

しかしモ・ウンは、アン・ユンスは「彼を殺さなかった」と見抜きます。そして言います。「あの子は死にました」と。拘置所にいたはずのモ・ウンは、セフンが死んだとなぜ判ったのでしょうか。

フェーズ6:検事はコ・セフンの過去の犯罪がカギと考える

コ・セフンが殺害されたことにより、ペク検事は彼が加害者となった過去の事件を精査します。そしてモ・ウンとコ・セフンの起こした事件には関係があることを匿名でマスコミにリーク。

いっぽうのモ・ウンは、同房のク・ヒヨンに面会にやってきた若い男に目を留めます。ク・ヒヨンを暴力的に問い詰めたモ・ウンは独房に移されますが、ク・ヒヨンは刑務官の監視の隙を突いて衝動的に自殺を図ります。

コ・セフンの祖父ドンウクが「孫の死の真相を知りたい」とアン・ユンスの家を訪れます。身の危険を感じたアン・ユンスは車で逃走。街のデジタルサイネージのニュースで、コ・セフンの遺体発見現場から自分の髪の毛が発見されたことを知ります。その後、GPS付電子足輪を強引に外すことに成功し、逃走を続けます。

フェーズ7:コ・セフンの周辺人物に起きたこと/彼らの動向

2019~2020年、世界的に新型コロナウイルス感染症を観測。コ・セフンによって脅され、自殺したカン・ソマンと難民キャンプでコロナ感染症に対応していた姉のソヘに関する出来事が回想されます。

妹ソマンと父の身に起きた悲劇を知り、祖国の韓国へと駆け付けようとしたソヘですが、新型感染症拡大阻止のための行動規制によって身動きをとることができませんでした。

いっぽう、時は戻って今の京畿北部拘置所。衝動的な自殺行為によって一刻を争うまでに命が危険に晒されたク・ヒヨン。その様子を独房の格子越しに見ていたモ・ウンですが、緊急性を理解した刑務官により房から出され、応急処置をすることになります。

ペク検事、リュ刑事らは逃走したアン・ユンスの家で、彼女がコ・セフン殺害に関与した証拠を発見。チャン弁護士は「モ・ウンは私がコ・セフンを殺していないことを知っている。そして別の誰かに殺されたことも知っている」とアン・ユンスに電話で告げられます。

ク・ヒヨンが搬送された病院の待合室でチン弁護士は「真実を話すように」とモ・ウンを諭しますが、彼女はアン・ユンスの勘違いであるとして一顧だにしません。その行動には意味がありました。その後、モ・ウンは病院からの逃走を試みて騒動となります。

フェーズ8:モ・ウンとアン・ユンスの協力

モ・ウンは逃走騒ぎの後に刺され、命は取り留めたものの入院して安静に過ごすことになります。

彼女の手助けによって逃走を続けているアン・ユンスは、セフンの祖父ドンウクの家から「助けて」と緊急通報。アン・ユンスは見つかりませんでしたが、彼女の携帯電話が敷地内で発見されます。

セキュリティカメラの映像から、アン・ユンスが担当弁護士チャンの通っていた “テホジム” のコートを着ていたことが判明したため、ジムにも捜査が入ります。ジムのリングにはコ・セフンの殺害現場が描かれていました。

コ・ドンウクの敷地で発見されたアン・ユンスの携帯電話のSMSには「出所させてやったのに」という趣旨の、モ・ウンからと思われる拘置所から発信されたメッセージ。チャン弁護士、ペク検事の携帯電話にはアン・ユンスを盗撮したと思われる映像が届きましたが、誰が何のために行っているのかは謎のまま。

チャン弁護士とペク検事は入院中のモ・ウンに面会。真相を語るよう問い詰めます。しかし難攻不落な状況です。

フェーズ9:イ・ギデ追悼展で明らかになる事実

母校ホンソ大学で開催されたイ・ギデの追悼展示会にアン・ユンスが現れたという情報を得て、ペク検事は会場へ足を運びます。そこで新たに重要な事実を知ります。

そんなとき、アン・ユンスのYouTubeを使った告白動画(「夫を殺したのは自分だが、コ・セフンは殺していない」「自分ではない殺人犯の画像は捜査チームがもっていて隠匿している」等)が配信されます。

入院中のモ・ウンとク・ヒヨンは病室で再会。アン・ユンスの娘ソプはコ・ドンウクによって連れ去られます。保護観察官のペ・スンドクは、アン・ユンスからの頼まれごとの内容を明かします。

当然のことながら警察は捜査を継続します。そしてモ・ウン、アン・ユンスも真相(イ・ギデ殺害犯/コ・セフン殺害犯が誰か)を見極めようと勝負に出ます。

結末をお楽しみに!

登場人物

こちらも一部にネタバレ要素があるので「知りたくない人」はひと通り視聴してから目を通すほうがよいかもしれません。

イ・ギデ殺害事件関係者

  • イ・ギデ:芸術家(版画家)
  • アン・ユンス:イ・ギデの妻。彼とはホンソ大学の先輩と後輩の間柄。学校で美術教師をしている
  • ソプ:夫妻の娘
  • キム・ムンジュン:アン・ユンスの同僚で友人。ジュヌという子どもがいる
  • オ・ソウォン:ホンソ大学版画科時代の後輩。イ・ギデを慕っていた
  • チャン・ジョング:無名の弁護士。アン・ユンスの弁護を担当
  • ペ・スンドク:京畿北部保護観察所の主務官。保釈中のアン・ユンスの観察官

歯科医師夫妻殺害事件関係者

  • モ・ウン:歯科医師夫妻(コ・ビョンスイ・イェリム)の殺害犯。彼らの歯科助手だった。“魔女” の異名をとる
  • コ・セフン:歯科医師夫妻の息子の高校生。2020年に違法動画の撮影と拡散により保護観察処分となる
  • コ・ドンウク:セフンの祖父。元軍人。“将軍” という犬を飼っている
  • チン・ヨンイン:モ・ウンの国選弁護士。「妻の勧めで引き受けた」と語る。法学教授。妻はチェリストで名はチェ・スヨン

警察関係者

  • リュ・ジス:刑事
  • ナム:刑事
  • ペク・ドンフン:警察出身のやり手検事。ファン係長は部下。その下にシムがいる。上司はシン・ヨンソク部長検事
  • ソン:検事
  • :精神鑑定を行う犯罪心理学の教授

京畿北部拘置所関係者

  • オム:主任刑務官
  • キム・ヨンスン:アン・ユンスが(後にモ・ウンも)入れられた雑居房におけるリーダー格
  • ジェニファー:雑居房の囚人のひとり
  • “太っちょ”:モ・ウンを慕っていた囚人。出所後はプジムベーカリーで働いている
  • ク・ヒヨン:17歳。賭博サイト運営事件により少年院へ送致されるはずが、収容余力がなく拘置所に収監される

マスコミ関係者

  • ホン・セヨン:カンアン日報の記者

コ・セフンの過去の事件の関係者

  • カン・ソマン:コ・セフンに脅されて自殺。当時は女子高生
  • カン・ソヘ:ソマンの姉。17歳で国費留学生としてドイツへ留学。医学を学ぶ。事件当時は医療支援NGOの医師としてタイ(チェンライ)の難民キャンプで活動していた
  • モモ:カン・ソヘが助けた若い韓国女性。身寄りがなく、カン・ソヘを慕ってボランティア活動を行う

感想・メモ:謎解きまでのひとつひとつが気を逸らさない

トータルでは高評価

あたかも突然起きたかのような版画家イ・ギデ殺害事件。誰が、何の動機で犯行に及んだのでしょうか。なにがしかの必然性あっての出来事(因があっての果)のはずです。

モ・ウンが歯科医夫妻を毒殺したのにも理由があり、因があっての果でした。

いっぽうで以下は、一連の物語における偶発的な出来事です。

  • 版画家イ・ギデ殺害事件の犯人として妻のアン・ユンスが起訴され、その裁判報道を歯科医師夫妻の殺害現場でモ・ウンが視聴する
  • 同じ拘置所の隣接した懲罰房に入れられるアン・ユンスとモ・ウン
  • 無罪となって一人娘と暮らすことが願いのアン・ユンスと取引することを思いつく、歯科医師夫妻の殺害犯のモ・ウン(モ・ウンは自らがし遺したことを代行してくれる人物を求めていた)

モ・ウンがもちかけた取引に応じたアン・ユンスが、コ・セフンを殺すことができなかったのは偶然のようにも見えますし、アン・ユンスの価値観や人柄を前提にすると必然だったようにも感じられます。それは「不確実性」というカテゴリーに分類することにします。

「必然」と「偶然」が縦糸と横糸のように織り込まれていきます。視聴者が事件の真相を推測しようと、物語のなかに「必然(因果)」を探していると、あたかもビリヤードのように「偶然」と「不確実性」がキューとなってボールを突き、予想外の方向への展開が余儀なくされます。

そういった玉突きのような流れが、非常に面白く感じられるドラマでした。

また、何を考えているのかわからない無表情で冷徹に見えるモ・ウン、娘と暮らしたい一心で取引に応じるアン・ユンス、ふたりの間に少しずつ生まれるシンパシーと心の結びつきもストーリーに厚みをもたらしています。

いくつかの疑問

非常に面白いサスペンスドラマでしたが、疑問も残されました。

  • 版画家イ・ギデ殺害事件の真犯人は、自分(たち)が事件に関与していることを隠し通せれば、それでよかったはず。なぜコ・セフンまでも殺さねばならなかったのか チン・ヨンインが国選弁護士を引き受けたのは、取引に則って、モ・ウンが法廷でイ・ギデ殺害を自白した後。したがって、あの告白が国選弁護士を引き受けるきっかけになったと思われる。アン・ユンスにイ・ギデ殺害の濡れ衣を着せられないとしたら、コ・セフンの殺人犯として確実に服役してもらわないと身の安全を確保できないと思ったということ?
  • 囚人が、携帯電話(スマホ)を拘置所で使うことは可能なのか アン・ユンスの携帯電話に脅しのショートメッセージを送ったのはモ・ウンであると、アン・ユンスやペク検事、チャン弁護士が思い込んでいたのが不思議(ペク検事やチャン弁護士は芝居を打っていたのかもしれないが)
  • アン・ユンスはイ・ギデの追悼展示会まで、なぜ真犯人のことを思い出さなかったのか パーティーという晴れの場で紹介されて印象に残っていそうなものになのに/しかも夫ギデを巡るプチトラブルの相手だったのに…
  • 物語の当初は芸術肌のエキセントリックなキャラ設定だったのに、どんどん普通の人になっていったアン・ユンス エキセントリックなままだったら、どんな物語になっていたのだろうという関心が残る

それでも秀作のサスペンスドラマだと思いました。オススメします。

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