取り扱い注意のドキュメンタリー映画「SNS-少女たちの10日間-」

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このところ、趣味のDIYに没頭していて当ブログを更新していませんでした。

今回取り上げるのはチェコとスロバキアによるドキュメンタリー映画。舞台はチェコで、制作にスロバキアが加わっている感じだと思います。原題は “V síti” で「ネットでは」という意味です。英語のタイトルは “CAUGHT IN THE NET”。

内容はかなり強烈。12歳を装った3人の女優がSNSでアカウントを開設したところ、10日間(1日あたりの稼働は12時間)で2,458人の男性が彼女たちにオンラインや実際に会ってのコンタクトを求め、そのほとんどが小児性愛者だったという『ペドファイル・ホイホイ』の記録。WEBカメラに向かって男性器を晒したり、自慰行為を見せたりする人が続出し、画面には繰り返しボカシが入ります。

家族で視聴できる内容ではありません。ただしiMDbの評価は8.0と非常に高スコア(本日時点)。“小児性愛” と “SNS” という社会問題を正面から可視化した作品といえるかもしれません。チェコで年間興行収入トップを獲得した初のドキュメンタリー作品でもあります。

私は「50代女性」なので、オトコがいかに性的嗜好と性欲に支配された生きモノなのかが手に取るようにわかります。若い時分には見えなかったものが、意識せずとも透けて見えてしまうようになりました。女が歳をとるとは、そういうことです。

私は「50代女性」なので安心して暮らしていられますが、危険や脅威に晒される少女や若い女性ほど身の回りに潜む落とし穴に気づかないもの。それがSNSへの無防備な登録だったり、近づいてくる小児性愛者(ペドファイル)たちとの関わりだったりします。

設定は「12歳の少女」

バーラ(女性)とヴィート(男性)が監督を務める本作は『ネット上の児童虐待』がテーマ。その部分に関心のある人たちが集まったこともあるでしょうが、オーディションに参加した23人の女優のうち19人がネット上での児童虐待を経験していました。計算すると82.6%に相当します。

チェコ全体でいうと次のような調査結果があるようです。

【冒頭に示されたデータ】

  • 子どもの6割が親からの制限を受けずにインターネットを利用している
  • 41%の子どもが他人から性的な画像を送られた経験をもつ
  • 知らない人とネット上で会話する子どものうち5分の1は直接会うことに抵抗を示さない

「12~13歳に見える大人の女優」という条件のもと選ばれた人たちが「12歳の少女」を演じます。

彼女たちの部屋はスタジオに組み立てられたセットですが、それぞれの個性が反映されてキュートな「12歳の少女」らしいインテリアに仕上がっています。壁や家具のカラーコーディネートを見るのは楽しいです(私はDIYが好きなので)。

3人の「12歳の少女」たちはセットの部屋を拠点とし、SNS(Skype等)を通じてコンタクトを求めてくる男性たちと会話をします。

「12歳の少女」に群がる男たち

プロフィールや写真をSNSに登録した直後から、男性たちからの連絡が続々と舞い込みます。3人の「12歳の少女」たちは制作者が定めた次のようなルールに則って行動します。

  • 自分からは連絡せず対応するだけにする
  • 会話の序盤で必ず12歳だと強調する
  • こちらから誘惑や挑発はしない
  • 露骨な性的指示はやんわりと避ける
  • 何度も頼まれたときのみ裸の写真を送る(※実際に送る写真は首から上のみが当人)
  • こちらから会う約束をもちかけない
  • 撮影中は精神科医や弁護士などに相談する
  • FacebookやSkypeを利用する

メッセージを送ってきたのは10代から孫のいる男性まで。彼女たちに服を脱ぐ、裸の写真を送信する等を要求したり、男性器や自慰行為を見せて喜んだり、会って肉体関係を結ぶことを提案したり、エロサイト利用と同じ感覚で迫ります。彼女たちがお金のかからない素人なところがそそるのかもしれません(“小児性愛” はそもそも犯罪なのですが)。

コンタクトしてきた人物のなかには送信した裸の写真をネタに脅迫に及ぶ者、本作でメイクを担当していた女性の知人(子どもキャンプの運営者)もいました。「12歳の少女」たちは一部の男性たち(計21人)とカフェで会う約束をします。そこでは性行為の代償に小遣いを渡すといった提案も行われました。

バージョンは3つあるらしい

本作には3 つのバージョンがあり、私がAmazonプライムビデオで視聴したのは 15 歳以上向け(100 分)。学校向けに編集された12 歳以上向け(63 分)、18 歳以上向けの無修正版(ボカシなし)がほかにあるようです。

3つ目の無修正版は視聴するのがキツイのではないでしょうか(たぶん日本では観られません)。“ボカシ” が入っていたのは顔と局部。顔が晒されたのであれば小児性愛者たちへの社会的制裁につながったとも考えられます。

感想:とにかくグロテスクでショッキング

10日間に「12歳の少女」たちにコンタクトを試みたのは2,458人。なかには会話を楽しみたいだけの “掃き溜めに鶴” みたいな男性もいましたが、大半は変態カテゴリーの人。

調査によればチェコにおいて小児性愛者は全体の3~5%なのだそうです(母数は男性なのかな?)。チェコの男性人口は5,266,961人のようなので、間をとって4%で計算すると210,678人が小児性愛者。もちろん0歳児からを含んでいるので性的にアクティブな人口はもっと少ないことでしょう。それでも100人に1人は「12歳の少女」たちに連絡を取ったことになります(2,458人が「延べ人数」なのか「実人数」なのかは不明ですが、少なくとも計算上では)。

どんな人にとっても性癖とは抗いがたいものなのかもしれません。しかしあたかもモノのごとくに少女たちをターゲットにするのは気持ちが悪いですね。

ボカシの入った映像の連続、少女相手にエロトーク全開、人間のグロテスクでクズな部分がつまびらかにされていきます。本作が取り扱っているのは『ネット上の児童虐待』ですが、その他の性癖も含めて考えると世の中が変態ばかりであることが現実味を帯びてきてイヤ~な気分になります。

本作のリリースが契機となり、チェコ警察は撮影素材を基に刑事捜査を開始したそうです。2020年の作品です。

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