本家「ツイン・ピークス」はさておき「リミテッド・イベント・シリーズ」を観る(7)

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エピソード1~12の続きです。

本家「ツイン・ピークス」はさておき「リミテッド・イベント・シリーズ」を観る(1)
視聴に先立って本家を見直すのはだるいので、本作を入口にして本家をつまみ食いしようと思います。
本家「ツイン・ピークス」はさておき「リミテッド・イベント・シリーズ」を観る(2)
エピソード3・4についてのまとめです。
本家「ツイン・ピークス」はさておき「リミテッド・イベント・シリーズ」を観る(3)
エピソード5・6についてのまとめです。
本家「ツイン・ピークス」はさておき「リミテッド・イベント・シリーズ」を観る(4)
エピソード7・8についてのまとめです。
本家「ツイン・ピークス」はさておき「リミテッド・イベント・シリーズ」を観る(5)
エピソード9・10についてのまとめです。
本家「ツイン・ピークス」はさておき「リミテッド・イベント・シリーズ」を観る(6)
エピソード11・12についてのまとめです。

各エピソードのまとめ

話が込み入ってきて “あらすじ” が、かなり長くなっています。

エピソード13(物語って何よ)

あらすじ

●ラッキー7保険のオフィス。“ミッチャム兄弟+女性3人組+ダギー” が踊りながらやってきます。アンソニー・シンクレアがそれに気づき、デスクの陰に隠れます。対照的に社長ブッシュネルは彼らのバカバカしい来訪とゴージャスな贈り物を喜んでいます(保険契約者からそんなものを受け取ってもいいのだろうか?)。

●騒動に驚いたシンクレアはダンカン・トッドに電話します。「最悪の事態」としながらも、トッドは「何をすべきかわかるだろう?」と返します。そういえば「ミッチャム兄弟がダギーを殺さなければ、お前が殺せ」とエピソード10で言われていました。1日の猶予を与えられたシンクレアは行動を起こさねばなりません。ダンカン・トッドはロジャーを呼びます。

●ランスロット・コートにあるダギーの赤いドアの家。ミッチャム兄弟からジョーンズ家へ、子ども用遊具セットが届きます。リボンの結ばれた白いBMWも贈られます。ジェイニーEは嬉しそうです。サニー・ジムは遊園地のような遊具で遊んでいます。

●モンタナ州西部。ガレージあるいは倉庫のようなところにロン毛クーパーの運転する黒いトラックが入ってきます。それをレイ・モンローらがスクリーンを通して見ています。「俺が殺したはずの奴だ」とレイは説明。

●「レイ、ここにいるんだろう?」とロン毛クーパーはカメラに語りかけます。レイが「奴を始末する」と言いますが、まずはボスのレンゾが “お手並拝見” のセレモニーを行うようです。ロン毛クーパーはレイの所属する組織と対峙します。レイの仲間マディがルールを説明。レンゾはアーム・レスリングの王者であり、勝負して負けた場合は彼の傘下に入らなければならない、逃げれば殺すとのこと。ロン毛クーパーは「俺が勝ったらレイをもらう」と言います。

●正直言って「大の大人がアームレスリングかよ!」なのですが、予想通りロン毛クーパーが勝利。彼は手下たちから携帯電話を受け取り、レイとふたりきりになります。レイは逃げようとして足を撃たれます。金庫番がやってきて「金は要りますか?」と尋ね、「要らない」とロン毛クーパーは答えます。

●ロン毛クーパーは「俺を殺すよう、お前を雇ったのは誰だ?」と尋ねます。「フィリップ・ジェフリーズって奴だ。そう名乗っていた。会ったことはない」とレイ。そして①フィリップはマーフィー刑務所長とグルであること、②彼らの欲しいものをロン毛クーパーが持っていることを口にします。ブリッグス少佐の話はしていなかったそうです。

●レイはポケットから指輪を取り出します。フィリップ・ジェフリーズから、ロン毛クーパーを殺した後、それを指にはめるよう言われたとのこと。指輪は独房を出てロン毛クーパーと脱獄する直前に、看守のような人物から手渡されたとレイは説明します。

●レイとロン毛クーパーのやり取りを、レンゾの手下たちはスクリーン越しに見つめています。

●ロン毛クーパーの指示により、レイは指輪を自分の左薬指にはめます。「俺が欲しいものは知っているな?」「ヘイスティングスの秘書から聞いた座標だろう。俺が本当の座標を教えると思うか?俺はあんたを知っている」という会話がなされ、レイはポケットに手を入れていいかと尋ねます。座標を書いたメモが入っているというのです。

●スクリーンを眺める男たちのなかにリチャード・ホーンが姿を現します。

●メモを手渡すレイ。「フィリップ・ジェフリーズはどこだ?」とロン毛クーパーは尋ねます。「最後の電話で “ダッチマン” という店にいると言っていたが、そんな店はない」と言ったところでレイは頭を撃ち抜かれます。「俺は知っている」とロン毛クーパーは言います。レイの左薬指にあった緑の指輪は消えていきます。

●緑の指輪が赤い部屋の床に転がり落ちます。

●監視カメラを見つめながら立ち去るロン毛クーパー。スクリーンに映っている様子をリチャードは凝視します。

●赤い部屋の床に頭部を撃ち抜かれたレイが横たわっています。“マイク” によってテーブルの上に緑の指輪が置かれます。

●ラスベガス市警。刑事たちは食事をしたり、プライベートな電話をしたり、くつろいでいます。別室で女性が暴れ出し、その物々しさに彼らの表情からは笑顔が消えます。

●フスコ刑事がやってきて、ダギーの指紋が “サウスダコタの刑務所を2日前に脱獄した男の指紋” と一致したことを伝えます。「しかも失踪中のFBI捜査官だ」とフスコが言うと「間違いにもほどがある」と笑いの渦が巻き起こります。フスコは鑑識結果の書類をまるめてゴミ箱に投げ入れます。

●そこへアンソニー・シンクレア保険調査員がクラーク刑事を訪ねてきます。裏口でタバコを吸っていると聞いて、そちらへ向かいます。

●「まったく何の用だ。ここには来るな」とクラーク刑事。ダーティーな野郎であることが窺えます。「バレずに人を殺せる毒薬を教えてくれ」とシンクレア。「アコニチンが一番バレにくい」とクラーク刑事。計画を守るためには毒殺が必要と訴えるシンクレアに「5000ドル払えば用意してやる」と刑事は言います。ふたりのやりとりを別の刑事が見ています。「今夜9時半、クローズリーの店の裏」とクラーク刑事は指示。シンクレアが去ってから、別の刑事がクラーク刑事に話しかけると「彼は誰かを毒殺したいらしい」と答えます。「トッドさんに知らせる」とクラークではないほうの刑事が言います。彼も汚職警官だったようです。

●夜のドライブ。車内にはシャンタルとハッチがいます。ユタ州とモルモン教について話しています。

●白いBMWのオープンカーが走ってきます。ジェイニーEがダギーを会社まで送ります。彼女は一連の出来事によって夫ダギーにますます惚れ込んでいるようです。建物の1Fロビーではアンソニー・シンクレアが待ち構えています。SZYMON’S FAMOUS COFFEES のコーヒーをシンクレアはダギーにご馳走します。

●ダギーがショーケースのチェリー・パイに引き寄せられている間に、シンクレアはダギーのコーヒーに毒物を混入させます。席に戻ってきたダギーはシンクレアのフケだらけの肩をツボ押しします。なぜかそこで改心するシンクレア。ダギー周辺の悪役は情にもろいのが特徴です。

●無心にチェリー・パイを食べるダギー。そんな彼にシンクレアは許しを乞います。

●RRカフェ(ダイナー)。シェリーの携帯電話に娘ベッキーから着信。彼女の夫スティーヴンが戻らなくて既に2日になるとのこと。シェリーは落ち込むベッキーに対し、店にやってくるよう言います。

●ラッキー7保険。社長ブッシュネルにアンソニー・シンクレアが自身の犯した罪を告白。ダンカン・トッドのために長い間動いてきたことを伝えます。ダンカン・トッドや汚職警官2人に関して証言するなら情状酌量の余地があると、社長はシンクレアに交換条件を示します。

●RRカフェ(ダイナー)。ボビー・ブリッグスが来店し、シェリーの居所をノーマに聞きます。シェリーは既に帰宅したとのこと。ノーマはエド・ハーリーとともにボックス席にいます。エドはボビーに近況を尋ねます。「親父が残したものが今日見つかった」とボビー。ノーマとエドには親密さがあります。

●そこへウォルター・ローフォードがやってきます。ボビーとエドは席を移ります。ウォルターは経営コンサルタントか何かでしょうか。フランチャイズチェーンを展開しているRRカフェ(ダイナー)の本店が赤字なのは、パイにコストを掛け過ぎているからだとノーマに語ります。ノーマは、ほかの店舗のパイは味が劣るようだ、渡したレシピ通りに作っていないのではと疑問をぶつけます。ウォルターは「レシピ通りに作っているが、材料は店舗の裁量で決めている」と返します。ビジネス上の方針についてはともかく、ふたりの仲がよさそうなのを見て、エドは心中穏やかではありません。

●“RUN SILENT, RUN DRAPES(静かに走れ、カーテンを閉めろ)” という看板を掲げた建物。黒いカーテンが引かれていきます。ネイディーン・ハーリー(黒い眼帯の女性)はパソコンの前にいます。再び黒いカーテンが開いたところで、トラックがやってきます。

●戸口でブザーを鳴らす男がいます。「もう閉めたの」とネイディーンは応対しますが、訪ねてきたのが “ドクター・アンプ” ことジャコビー先生であることに驚きます。7年ぶりに再会したふたりは互いを称賛し合います。

●セーラ・ジュディス・パーマーの家。セーラは酒とつまみを嗜んでいます。ボクシングの試合はビデオテープでしょうか。同じ部分を繰り返し再生しているようにも見えます。

●オードリー・ホーンと夫のチャーリー。オードリーは、ティナが電話で何を言っていたのか問いただします。しかしチャーリーは「終わったこと」だと相手にしません。オードリーは精神的に混乱しているようです。

●バンバン・バー。司会者がジェームズ・ハーリーを紹介。“Just You” という曲を披露します。めっちゃよくないパフォーマンスと思います(個人の感想です)。声からしてダメです。しかしボックス席ではレニーが涙を流しながら、彼の歌声を聴いています。

●エド・ハーリーのガソリンスタンド。オフィスにはエドがいます。RRカフェ(ダイナー)からテイクアウトしたスープを飲んでいます。客のいない給油スペースを眺めています。マッチを擦って炎を見つめます。孤独がにじみ出ています。

登場人物メモ

※本家に登場している人は一部を除き、割愛しています。

[ワシントン州ツイン・ピークス関係者]

エド・ハーリー:演じるエベレット・マッギルは2000年以降、長い活動休止に入り、アリゾナ州で暮らしていた。2014年、2017年と「ツイン・ピークス」の続編に出演した後、再び活動休止。うらやましいほどの悠々自適っぷり

[バンバン・バー関係者]

レニー:ジェームズ・ハーリーのアニメ声のようなバラードに涙を流す珍しい女性客。演じるジェシカ・ゾールはいろんなTVシリーズに出演する女優。このところバンバン・バーのシーンには “それなり級” の女優が登場することが多い

結局、どういうことなの?

ミッチャム兄弟とダギー、ラッキー7保険の社長ブッシュネルは親しさを増します。その様子に危機感を覚えたアンソニー・シンクレアは、ダンカン・トッドの指示に従いダギーを殺そうとしますが、良心が発動し、自らの罪を社長に告白します。汚職警官たち、トッド・ダンカンらとシンクレアがつながっていたことを社長は以前から知っていました。真実を証言することでシンクレアの背信行為を不問に付すことを提示します。

ロン毛クーパーはモンタナ州の某所でレイ・モンローと再会します。そこにはリチャード・ホーンもいました。ロン毛クーパーは裏切者レイを倒しますが、彼に指示を出していたのがフィリップ・ジェフリーズであること、ロン毛クーパーの死体にはめるよう緑の指輪を渡されていたことを掴みます。

ロン毛クーパーは緑の指輪をレイの薬指にはめさせますが、レイが死んだことによって指輪は消失。レイの死体は赤い部屋に遷移します。緑の指輪は、この世と別次元をつなぐ乗り物のようなものなのでしょうか。

赤い部屋に遷移して金の玉になる人と、金の玉になるシーンのない人がいて両者は何が違うのでしょうか。

ダギーの指紋がロン毛クーパーの指紋と一致することが警察によって判明。しかしラスベガス警察の刑事たちは鑑識結果のほうがおかしいと一笑に付します。

ほかに描かれているのは、ツイン・ピークスの人たちの人間模様。ノーマとエド、ウォルターの三角関係。問題を抱えているブリッグス親子。セーラ・パーマーのイカれた暮らし。オードリー・ホーンのエキセントリックな人柄など。私が不要キャラと感じているジャコビー先生は、ネイディーン・ハーリーの救済のために残されているのかもしれません。

ダギー周辺の悪人キャラが善い人に変わるのは、ダギーが執着するのがコーヒーとチェリー・パイだけで、それを除けば人間臭いエゴや野心がないため、周囲に安心をもたらし自分を省みる鏡として機能するからだと思われます。

それも意図的なものなのだろうと思いますが、このドラマにはいろんなトラップが用意されていてストーリーが進むにつれて「誤解だった」と気づくことがしばしばあります。

エピソード14(私たちは夢見人のよう)

あらすじ

●サウスダコタ州バックホーン。FBIのゴードン・コール副支局長は電話をかけています。ツイン・ピークス保安官事務所のルーシーが受話器を取ります。彼女はトルーマン保安官につなぎます。

●フランク・トルーマン保安官が受話器を取ります。ゴードンは彼を弟のハリーと勘違いしていました。副所長ホークがローラ・パーマーの日記の失われたページを発見したこと、その記述によればクーパーは2人いるかもしれないことを保安官はゴードンに伝えます。

●アルバートはタミーに対し、発端となった事件について説明します。長いので箇条書きにします。

  • 1975年、ワシントン州オリンピアで捜査官2人が殺人事件を捜査。ロイス・ダフィという女を逮捕しにモーテルへ向かった
  • 銃声を聞いて中へ飛び込むと部屋には2人の女性がいた。ひとりは腹を撃たれて瀕死。もうひとは後ずさりしながら銃を取り落とした
  • 撃たれた女性はロイス・ダフィ。彼女の最期の言葉は「私は青いバラと同じ」。微笑みながら息を引き取った
  • 彼女の死体は捜査官の目の前で消えた
  • 部屋の隅で叫び声をあげている女性もロイス・ダフィだった。彼女に双子の姉妹はいない
  • 裁判を前に彼女は無実を訴え、自ら首を吊って死んだ
  • 2人の捜査官とはゴードン・コールとフィリップ・ジェフリーズである

●アルバートの事件説明を聞いたタミーは「“青いバラ” の意味するものは?」と問い、「自然界に青いバラはない」「不自然なものよ」「消えた女性は化身。トゥルパ」と自答します。そこへゴードンが入室。「コーヒータイムだ。すぐにダイアンが来る」と言ったところで、窓拭きの作業員が窓を擦る音を立て、不快な音が増幅されて聞こえるゴードンは補聴器を調整せねばならなくなります。

●ダイアンがやってきます。クーパー捜査官と会った最後の夜、彼がブリッグス少佐のことを言っていたかどうかをゴードンが尋ねます。ダイアンは「あの夜のことは答えたくない」と一旦拒否しますが「少佐のことを話していた」と回答。

●少佐は25年前に火災で死亡したと思われていますが、数日前にサウスダコタ州バックホーンで遺体の一部が発見されています。その胃の中には “ダギーへ愛を込めて ジェイニーE” という指輪があったことがダイアンにも知らされます。

●ダイアンは「いやだ、嘘でしょ」とつぶやきます。ダイアンとジェイニーEは片親の違う姉妹であることが明かされます。ダイアンは妹の夫は確かにダグラス・ジョーンズであると証言。タミーはFBIラスベガス支部へ連絡します。

●FBIラスベガス支部。ゴードンからダギーとその妻についての情報提供を依頼されます。ランドール・ヘッドリー特別捜査官はウィルソン捜査官にダギー・ジョーンズ捜しを命じます。

●ダイアンは部屋から出ていきます。ゴードンはアルバートとタミーに、ツイン・ピークス保安官事務所のトルーマン保安官と話した内容(クーパーは2人いる説)を語ります。ゴードンは昨夜モニカ・ベルッチの夢を見たと言います。

●夢の内容は次のようなものでした。長いので箇条書きにします。

  • ゴードンは捜査でパリにおり、モニカから「カフェで会いたい」との誘いの電話を受けた
  • 約束のカフェで落ち合うとクーパーもそこにいた。しかし彼の顔は見えなかった
  • モニカは愛想がよかった。友だちを連れていて一緒にコーヒーを飲んだ
  • モニカは「私たちはみんな夢の中に生きる夢見人のようなもの」と言い、ゴードンが「わかる」と答えると「でも、その夢を見ているのは誰?」と問いかけた
  • ゴードンは強烈な不安感に襲われた。モニカがゴードンの背後を見て、そちらを見るよう目で合図してきた
  • 振り返ると昔のゴードン自身が見えた。旧フィラデルフィア支部にいた頃の自分である
  • 当時のゴードンは夢で見たことを案じているクーパー捜査官の話を聞いていた。「2月16日の午前10時10分。とうとう夢で見たときがやってきた」とクーパー。失踪していたフィリップ・ジェフリーズが事務所に現れ、いや、現れなかった日のことである。
  • クーパーは養成所でフィリップ・ジェフリーズのことを聞いていたが、会ったことはなかった。彼はクーパーを指さしてゴードンに尋ねた。「ここにいるのは誰だと思う?」

●「実に興味深い。もう一度考えてみるべきだ」とゴードン。「私も思い出してきました」とアルバート。

●ツイン・ピークス保安官事務所。会議室にホークとアンディがいます。そこへボビーがテイクアウトのファストフードを持って戻ってきます。トルーマン保安官がチャドを連れて入室。ホークはチャドに銃口を向けます。手錠をかけられたチャドは保安官バッジを没収され、収監されます。汚職保安官補であることはずっと以前からバレていたようです。

●ツイン・ピークス保安官事務所の車が林道を走ってきます。トルーマン保安官、ホーク、アンディ、ボビーが降りてきます。4人は山へ入っていきます。

●ボビーの案内で一行は歩きます。かつて父ブリッグス少佐の勤務する傍受基地があったけれど仕事の内容は最高機密であり、その基地は既にないとボビーは言っています。そして “ジャック・ラビットの宮殿” に辿り着きます。東に253ヤード進む前に、少佐の残したメモを思い出して彼らはポケットに土を入れます。

●4人は森の中をさらに歩いていきます。白いモヤが煙る場所に出くわします。葉のない白い木と円の水たまりのようなものがあり、そこで全裸の女性ナイドを発見。彼女は生きていました。言葉にならない声のようなものを発しています。トルーマン保安官は言います。「ちょうど2時53分だ」と。空中に渦状のルートができ、その向こうの世界とつながっていきます。

●地上からアンディ保安官補が消えます。彼は部屋のイスに腰掛けていました。向かい側に謎の男が座ります。「私は消防士だ」と言って右手を挙げます。するとアンディの両手にオブジェのようなものが出現。彼の周辺から上がった煙のようなものによって頭上には丸い天窓らしきものが現れます。

●天窓を見つめるアンディ。そこに人型エネルギー(エクスペリメント)が浮かび上がります。宙に伸びていく “へその緒のようなもの”、ガソリンスタンドの光の点滅、浮浪者風の男(ウッズマン)の「火はあるか?」、天使に守られたローラ・パーマー、地上に現れたナイド、2人のクーパー、電話機とルーシー、324810-6の電柱等のビジョンを見ます。この円形の天窓がエピソード10でマーガレット(丸太おばさん)が言っていた “円環” なのかもしれません。

●煙はアンディが持っていたオブジェに吸い込まれ、オブジェは消え、アンディも消えます。

●“ジャック・ラビットの宮殿” 付近を亡霊のように歩き回るトルーマン保安官、ホーク、ボビー。そこにナイドを抱きかかえたアンディが現れます。「重要人物であることだし、命を狙われている。ケガはない。留置所で保護しよう。あの場所なら安全だ」と彼は言います。トルーマン保安官は了承。アンディはナイドを匿っていることを口外せぬよう仲間たちに厳命します。山を探索した男たちは何かを体験しましたが、その記憶を失っていました。

●ツイン・ピークス保安官事務所。アンディとルーシーはナイドの身の回りの世話をしています。留置所にはチャド元保安官補が収監されており、アンディ保安官補に悪態をついています。留置所には酔っ払いの男も収容されています。その男はオウム返しに誰かの言葉を繰り返します。ナイドの動物の鳴き声のような奇声も真似します。

●グレート・ノーザン・ホテル。フレディ・サイクスとジェームズ・ハーリーは警備員として勤務中です。もう1件配達が来たら仕事をあがってロードハウスへ行こうと話しています。「レネーに会えるのを期待しているのか?でも人妻だ」とフレディ。レネーはジェームズの歌を聴いて涙していた女性と思われます。「今日は俺の誕生日なんだ」とジェームズ。

●ジェームズはフレディの右手にはめた手袋について知りたがります。フレディはロンドンのイーストエンドの出身(イーストエンドは移民が多いエリアで治安が悪いはず)。そこで彼が空気の渦でできた巨大なトンネルに吸い込まれた話をジェームズは神妙な顔つきで聴きます。フレディは渦の向こうで “消防士” を名乗る男に出会い、彼の指示に従って右手だけ手袋をしたら怪力になったと語ります。“消防士” が「手袋をはめたらアメリカのワシントン州の町ツイン・ピークスへ行け。そこでお前の運命が見つかる」と言ったため、フレディはイギリスからアメリカへ渡ってきたのでした。

●ジェームズはボイラーの見回りに行きます。そこで不思議な音を聴きます。オフィスでベンとビヴァリーが出どころを特定できなかった、あの音です。裸電球の向こうのドアを見つめます。

●“Elk’s Point #9 BAR” というネオンサインのプールバーにセーラ・パーマーが入っていきます。カウンター席に座ります。ブラッディ・マリーを注文します。あの歳になって酒とタバコに浸った生活を送れるとは、ずいぶん丈夫な体質なのだと思います。依存症かな。

●ひとりで飲んでいたロン毛を束ねた男(トラッカー)がセーラにちょっかいを出します。セーラは顔をお面のように外します。向こう側に黒い顔と白い歯が見えます。そして男を攻撃。彼女に倒された男は首がえぐれて血まみれになっています。セーラは無関係を主張。店は警察に通報します。

●バンバン・バー。ボックス席でミーガンとソフィーが話し込んでいます。ふたりとも品がよくありません。とはいえ、この店に上品な人が来ることはないでしょう。「ビリーを見かけた?」とソフィー。「2~3日見ていない」というミーガンに「ビリーを見かけたのはアンタが最後らしいよ」とソフィー。「ママとキッチンにいたら窓の外にビリーが見えた。裏口からキッチンに入ってきた。血まみれで、また裏口から飛び出していった」と言っていて、ママの名はやっぱりティナ(チャーリーが電話した女性)。ティナとビリーは一時期親密だったそうです。ミーガンは「あのとき、おじさんがいたかどうかは覚えていない」とうわ言のように言います。

●ゲストが紹介されます。Lissie がストラスキャスターを弾きながら歌います。いい声質ですね。プロとして成功にするには、とにもかくにも声がよくないとダメ。

登場人物メモ

※本家に登場している人は一部を除き、割愛しています。

[バンバン・バー関係者]

ミーガン:演じるシェーン・リンチは “リンチ” という姓だが、デイヴィッド・リンチとは姻戚関係にない。女優ケリー・リンチの娘である。いくつかの作品に出演しているが本作以降、目立った活動はない

ソフィー:演じるエミリー・ストーフルは2009年からデイヴィッド・リンチの配偶者。2023年に離婚成立。彼は4回結婚して4回離婚している。エミリーは女優ではあるが、それほどたくさんの作品に出演しておらず、アート部門の仕事がメインなのではないか

結局、どういうことなの?

FBIの “青いバラ事件” 捜査チームは、トルーマン保安官から “2人のクーパー” の話(ローラ・パーマの見つかった日記の記述)を聞き、この世の実在、非実在、“夢を見ている主体は誰か” がテーマであることを感じ始めています。

ダギーの妻ジェイニーEが、元FBI捜査官ダイアンの片親違いの妹であることが判明。FBIラスベガス支部はダギー・ジョーンズを捜し出すよう、ゴードンから仰せつかります(別に隠れているわけではないので、すぐに見つかることでしょう)。

ツイン・ピークス保安官事務所のチャド保安官補は以前からの悪事によって資格をはく奪され、留置所に収監されます。“ジャック・ラビットの宮殿” の東253ヤード付近で保安官たちによって発見されたナイドも留置所に匿われます。“ジャック・ラビットの宮殿” の土をポケットに入れるようにと少佐のメモにありましたが、土を入れることで異次元へ行っても “ジャック・ラビットの宮殿” へ戻ることができるのだと私は解釈しました。

“消防士” を名乗る男がフレディ・サイクスをイギリスからツイン・ピークスへ向かわせたことが判明。“ジャック・ラビットの宮殿” 付近で超常現象に遭遇したアンディも “消防士” と対面。円環のような天窓の中に不思議なビジョンをいくつも見ます。

ローラの母セーラも、怪物のような特殊能力を発揮します。彼女の場合、その能力がハッピーなことに使われないというか、闇系の何かを感じます。

フィリップ・ジェフリーズ役はデヴィッド・ボウイ。ボウイ自身は割と好きなのですが、このドラマに出演しなくてもよかったのではないかと思いますね。なんだか軽い…。本作では過去作品の映像を使用。

本家「ツイン・ピークス」はさておき「リミテッド・イベント・シリーズ」を観る(8)
エピソード15・16についてのまとめです。
本家「ツイン・ピークス」はさておき「リミテッド・イベント・シリーズ」を観る(9)
エピソード17についてのまとめです。
本家「ツイン・ピークス」はさておき「リミテッド・イベント・シリーズ」を観る(10)
エピソード18(最終話)についてのまとめです。
「リミテッド・イベント・シリーズ」“回収されていない謎”一覧(おまけ)
「リミテッド・イベント・シリーズ」を観て「結局なんだったの?」と思った伏線を取り上げました。

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