満たされないロボットが家族を翻弄。ホラー混じりのファンタジードラマ「カサンドラ」

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こちらも最近の作品ではありません。ドイツのドラマ「カサンドラ」(原題:Cassandra)。SFっぽさはありますが、時代を考えると現実的なテクノロジーの裏付けが弱いので、ホラーの混じったファンタジー作品と位置付けることにします。

50年前のスマートホームに置き去りとなっていたロボット型ホームヘルパー “カサンドラ”。ただのロボットと思いきや、彼女が保有する記憶や感情(嫉妬や執着)によって、引っ越してきた一家が翻弄される物語。

導入部あらすじ

男性が車の運転中、事故現場に出くわします。そこには死者と生存者がいるようです。「いったい何が?」と男性が問いかけると、子どもを抱いた女性が指さして言います。「彼女よ」と。そこにはロボットが立っていました。

その50年後。プリル家はハンブルグから郊外にある1970年代のスマートホームへと引っ越します。その家には随所に取り付けられたモニターとともにロボット型ホームヘルパーが残されていました。息子のフィンが若干の配線修理を行った後にスイッチを入れると起動。稼働し始めたスマートホームでは “カサンドラ” を名乗るロボットが「私の家へようこそ」と家事をサポートしてくれるようになりました。

はじめは驚いたものの物珍しさも手伝って、ロボット型ホームヘルパー “カサンドラ” との暮らしを受け入れるプリル一家。しかし女性の直感なのか、子どもたちの母サミラはすっきりしないものを感じていたようです。

一家の引っ越しにはワケがあり、娘のジュノの心的外傷後ストレス障害(PTSD)を改善するため、住む土地を変えての新たな家族の出発が大きな目的でした。

はじめは頼まれたことをしたり、その家にまだ疎いプリル一家にアドバイスをしたりといった程度だった “カサンドラ”。しかし次第に母親のサミラを疎外し、自分のほうが母親に適しているとばかりに、父親のダーヴィトや子どもたちを支配しようと策略を巡らすようになります。

新居の棚に発見した古い写真のスライドを観たサミラは、ロボット “カサンドラ” のモデルが以前の住人のひとりであることに気づきます。

かつては “カサンドラ” とその夫ホルスト、彼らの息子ペーターの暮らしが、その家にはありました。サミラの発見した、かつての写真を観るロボット “カサンドラ”。ロボットであるはずの彼女の内面(認知や感情)が揺さぶられます。 “カサンドラ” の意思でスマートホームに不可解な現象が続々と生じ、安寧を求めて引っ越してきたはずのプリル家は崩壊どころか命の危険にまで晒されます。

この物語は①プリル家の平和と和解、②“カサンドラ” の勝利、いずれに向かうのでしょうか。またプリル家や “カサンドラ” にまつわるエピソード(カルマ/トラウマ的出来事、“カサンドラ” はなぜロボットになったのか)も明かされていきます。

登場人物

[プリル家]

  • ダーヴィト・プリル:一家の主。「ロメオ警部」シリーズなどの小説を書いている
  • サミラ(サム)・プリル:ダヴィッドの妻、フィンとジュノの母。彫刻家。パニック障害をもっている。カティという姉がいたが自死
  • フィン・プリル:息子で高校生。学校でオープンにはしていないがゲイ
  • ジュノ・プリル:娘で小学生。PTSDがある

[プリル家の周辺人物]

  • スティーヴ:フィンの同級生でゲイだがオープンにすることに抵抗がある。ニコールという継母がいる
  • ミナ:サミラの友人
  • ローラ・ベレント:サミラのセラピスト
  • シュヴェルト:ジュノの通う学校の先生
  • ケルスティン:ジュノの同級生エミリーの母親。書店で働いている

[シュミット家]

  • ホルスト・シュミット:旧西ドイツの医療機器メーカー「OBB」のCEOで研究者。野心家であり、サッカーチームで万年ベンチ要員の息子を不甲斐なく思っている。1973年に交通事故死
  • ペーター・シュミット:ホルストの息子。どちらかといえば女性的で運動が苦手。サッカーが嫌い。1973年に交通事故死
  • カサンドラ・シュミット:ホルストの妻、ペーターの母。息子を溺愛。ロボット “カサンドラ” のモデルとなった。1972年12月12日に死去
  • マルガレーテ:1965年に生まれた娘

[シュミット家の周辺人物

  • ヘルガ:ホルスト・シュミットの秘書
  • ビルギット:シュミット夫妻の友人。ユルゲンという夫がいる。息子はトーマス
  • シモーネ・シュワルツ:ペーターの通う学校の先生
  • フランクミヒャエルイェンス:ペーターと同じサッカーチームのメンバー
  • ヴィルヘルム:ホルストの部下の研究員

感想・メモ:ほどよいエピソード数。SFというよりホラー&ファンタジー

今でこそ日常生活でのAIやロボットの活用が現実化しつつありますが、1972年当時、それが可能だったかどうかが疑わしいところ(説得力の欠如)がマイナスポイント。それを除けば面白い作品でした。6エピソードにまとまっている点も無駄のない感じでよいですね。

ロボットの “カサンドラ” に生身のカサンドラの意識を反映させる仕組みが、50年を経てプリル家の息子フィンによって再起動されます。意識とは “人間らしさを定義する心や感情” であり、それを電子記憶装置に保存することでロボット化するという考え方ですが、意識がシステム&電気制御室みたいなところにあるのか、ロボットに内蔵されているのかはよくわかりませんでした。

現代は、その思考パターンや情報をシステムに組み込めば、デジタルの世界でも人間っぽい表現や判断が可能になってきています。いっぽう、このドラマで指摘されていたように意識をロボットに移管しても、肉体から伝わってくる温かさ(バイタルエナジー)や感情(愛情や共感)の欠如は避けられないわけで、しかしそういうあり方が定着していけば、ロボットが子育てをしても違和感のない時代がくるのかもしれません。

ドラマ内では意識を “人間らしさを定義する心や感情” と表現していました。心や感情ってどこにあると思いますか?なんとなく心臓(ハート)や腹部(ハラやキモ)にありそうなイメージですが、すべては脳が司っているのでしょうか?

この物語の結末については、サミラの説得がロボットに移管されたカサンドラの意識に影響を及ぼした面も大きかったのですが、カサンドラと娘マルガレーテの霊魂が鎮められ、ともに昇天(仏教的に言うと成仏)していった感じがありました。「SFの世界かと思っていたら心霊ものだった」という感じ。

「霊魂と意識には重なり合う部分があり、そこに関しては脳機能と別立てになっているという思想に基づいた物語なのかな?」なんて思いながら、視聴を終えました。その辺りは明確に示されておらず、それがこの作品を「ホラー混じりのファンタジー」と表現した所以です。

息子のフィンはゲイ設定でLGBT的要素を含んだプロットではありましたが、物語全体にその要素はあまり関係していません(「カサンドラの息子ペーターにも、その傾向があったかも」レベル)。

また推理小説作家であるらしい夫のダーヴィトは実生活では機転がきかず、知恵と勇気に乏しい非創造的な人物。家族の役に立っていませんでした。

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