本作シーズン2が公開された2月27日から、それはもう仕事が忙しくなって睡眠時間すら、ほぼ取れない状態に。ようやく少しだけ時間ができましたので、視聴することにしました。シーズン2はエピソード8まであります。「シーズン1の評判がよかったので増量したのかしら」と思いきや、シーズン1ではエピソードひとつにつき1時間半強あったものを、それぞれ2つのパートに分割したようですね。
シーズン1についてはコチラ(↓)

エピソードの概要
シーズン2を通して、娘セヘルを殺害した真犯人の逮捕に執念を燃やすハサン警部の姿を追う一方で、エピソード1・2、エピソード3・4、エピソード5・6で3つのフェミサイドが描かれます。エピソード7・8はセヘル殺害事件にフォーカスしています。
オネム警部の娘スーデは犯罪に関するポッドキャスト活動をスタート。彼女の配信がナレーション代わりになっていて興味深いです。
主要な登場人物については、シーズン1に関する投稿内で触れていますが、その後の変化や動きもありますので、簡単に補足しておきます。
【主要な登場人物】
オネム・オズルク:イスタンブール警察の警部。女性が犯罪被害者となった事件(フェミサイド)を担当する特別捜査班のリーダー。スーデという高校生の娘がいる。夫バハドゥルは事故により死去
ハルク・アタ:引き続き、イスタンブール警察副本部長(昇進していない)
ハサン・デュリュ:定年退職間近のベテラン警部。過去に事件で娘セヘルを失った。妻はニハン。息子メルトは「春の子ども財団」でバスケットのコーチをしている
セルダル・アタ:性急な熱血漢。大声で話す。副本部長ハルクの息子
ゴカン・デミルデレン:検事。原理原則を重んずる男。エフェという養子がいる。シーズン1ではイヤな男の印象が強かったが、善人ポジションにシフトしつつある
フェリハ・マフムツァーデ:法医学の専門家で検視官
ベルク・グレリュズ:正式な所属部署は不明だが、オネムの元で働くメンバーのひとり。科学捜査のプロ
セリン・コルクマズ:IT解析を担当する警部補で、ソフィアの後釜
エピソード1・2「沈黙の悪魔:パート1・2」(Dilsiz Şeytan)
導入部あらすじ
オネム警部、監察医フェリハ、イスタンブール警察副本部長ハルク・アタらが、シャードグル家によるガーデンパーティーに集っています。オネムはそういう場に不慣れで居心地が悪いようです。
その頃、退職を取りやめたベテラン警部ハサン・デュリュは、地下室で娘セヘルが巻き込まれた事件について検討していました。セルダルは容疑者セルミャンを、ベルクは彼の銃を調べています。彼らは犯人を逮捕したいと考えていますが、行き詰っているようです。
ガーデンパーティーの最中に首を吊った女性ヤセミンが発見されます。居合わせたフェリハらは救命を試みますが、甲斐なく亡くなります。手首に自傷の跡があり、妊婦でもありました。腹部を切開して胎児を取り出します。シャードグル家の使用人であるヤセミンの両親は、彼女が妊娠していることに気づいていませんでした。
オネム警部ら特捜チームは、ヤセミンの死とシャードグル家の関係について捜査を開始します。
登場人物
ヤセミン・トゥランル:ガーデンパーティーの最中に、首を吊った状態で発見される。母はネルミンはシャードグル家の厨房で働き、父ムルタザは同家の運転手
ルシュテュ:ヤセミンの婚約者。シャードグル家の庭師
フィクレット・シャードグル:副本部長ハルクの旧友で警察の支援者。長男トルガ、次男ヤシャル、三男タヤンチがいる
オズカン・ヤシン:元治安局長。シャードグル家を長年支えてきた
ネジデット:フィクレット・シャードグルに雇われている弁護士
ミネ・チェティン:転落死したラーレの姉で画家
セルミャン:ハサン警部の娘セヘル殺害の容疑者
バラン:ハサン警部の息子メルトの友人。麻薬の売人ブラント・タインジャを知っている
エピソード3・4「ベラドンナ:パート1・2」(Belladona)
導入部あらすじ
中年男が家族への治療を巡って病院で暴れます。男の身柄が拘束されたことで事態は収束に向かったかのようでした。しかし若い男が血の付いたナイフを落として逃走。その後、アイジャン医師の刺殺遺体が発見されます。
犯人と思われる17歳の少年セファの身柄を拘束して一件落着と思われましたが、特捜班は何か裏がないか、念入りかつ慎重に捜査すべきと検事に主張します。
ベルクとセリクの実験により、セファに刺された時点で、アイジャン医師は既に死んでいたと判断したチームに捜査の転機がやってきます。
一方、ハサン警部の娘セヘル殺害事件についての捜査も継続されています。ブラント・タインジャが関係しているという証言を得て、ハサンは危ない橋を渡ろうとします。セルダルは彼をサポートします。
登場人物
ジャン・ウズン:オネム警部の娘スーダのポッドキャスト活動の仲間。スーダが思いを寄せる相手
ブラント・タインジャ:麻薬の売人。6年前に17歳の少女バハール・アタマンを殺害した容疑で逮捕されたが証拠不十分で無罪放免となった
ドルク・イルマズ:セヘルがインターンをしていた “イルマズ法律事務所” の経営者。6年前にバハール・アタマンが殺害された事件の裁判に関わっていた
アイジャン・オザタ:医師で血液学者。病院のイスで遺体となって発見される
オクタイ・オザタ:アイジャン医師の夫であり同僚。アイジャンとの間に息子セルチュクがいる
ニハル・アラバジュ:オザタ夫妻の後輩にあたる医師。父はルスタム
グネシュ・クタイ:遺体の第一発見者。難病の娘イペクの治療をアイジャン医師に打診していた
セファ・アイドゥン:トラブルを起こした中年男の末っ子で17歳
ナイム・ハリス:離婚弁護士
メフメト・ドゥマン:“グル・メフメト” を名乗る祈祷師だったが、後にバイオエネルギーと量子の専門家メスタンを名乗る
エピソード5・6「不吉な島:パート1・2」(Hayirsiz Ada)
導入部あらすじ
セヘル・デュリュ殺害容疑で逮捕したブラント・タインジャへの尋問がスタートします。セヘルの父ハサン警部は平常心を保つのが困難な状態です。ブラントは「自分は殺害犯ではないが、その場にいたので、誰がなぜ殺したかは知っている。教えてほしければ自分を釈放しろ」と条件を提示します。
一方、特捜班あてに保冷箱が届きます。中には切断された脚が入っており、 “ジュネイト” というタトゥが入っていました。
セリンらは保冷箱を届けたクルマを特定。オネム警部らは所有者である獣医のサドゥラ・キョルベから事情聴取しますが、彼は「切断された脚は、森を散歩中に見つけたので送った」と主張。その後、遺体(正確には脚)の身元が元女優の動物愛護運動家ルヤ・スートであることが判明します。彼女には敵が多く、元夫のカーン・カラハンも彼女に執着していたようです。
特捜班は変わり者の獣医と元夫を重要参考人と位置づけ、捜査を進めていきます。
登場人物
サドゥラ・キョルベ:保冷箱を届けたクルマの所有者。獣医
ルヤ・スート:殺害され、脚を切断された35歳の元女優。かつて共演者カーン・カラハンと結婚。彼と離婚した後に再婚。動物保護活動に身を投じていた。夫ジュネイトはハンター。父はエシュレフ
ファルク・アリジュ:カーン・カラハンのエージェント
アイチャ・オクチュ:俳優カーンの現在の恋人で27歳。ルヤ・スートの元親友。女優であると同時に「春の子ども財団」でボランティア活動をしている
ナシット・アタマン:「春の子ども財団」創設者。6年前に殺害されたバハール・アタマンの父。ハサン警部の友人
セルヴェト・ジレ:“ブッチャー” と呼ばれる。ギャングのボスで残虐。牧場、レストラン等を経営。恐らく息子の名がオザン
エピソード7・8「ノスタルジア:パート1・2」(Nostos Algos)
導入部あらすじ
ハサン警部は娘セヘルが殺された4年前を動画で振り返っています。過去シーンでは、司法試験に合格した司法修習生セヘルと弟のメルトのやりとりから、メルトが何かトラブルを抱えていたことが伝わってきます。
ゼイネプ・イルマズからの電話を受け、セヘルが書類を届けに外出することになったところで家族撮影の動画は終わります。刑務所内で刺殺された容疑者ブラントの遺体から、4年くらい前に体内に残置したと思われる弾丸の破片が見つかります。事件の真相は依然として闇のなかです。
科学捜査を専門とするベルクは、当時の犯行現場や証拠品から犯行の謎を明らかにしようと試みます。なかなか真犯人に到達できず日々心中穏やかでないハサン警部は、疎遠となっていた息子メルトとの距離を縮め、「捜査のために埋葬されたセヘルの遺体を調べる必要がある」とオネム警部らに言われても息子メルトの反対を怖れて一旦は拒否。墓の掘り起こしに反対だった妻ニハンは最終的に同意しますが、息子メルトはハサン警部の元から再び去ります。
オネム警部は「誰が、なぜ、ブラントを殺したいと思ったのか?」を糸口にしようとします(彼を殺したい人物はひとりとは限らないところがポイント)。特捜班は、バハール・アタマン殺害事件に遡っての再捜査に乗り出します。
登場人物
ゼイネプ・イルマズ:セヘルがインターンをしていた “イルマズ法律事務所” の経営者。共同経営者ドルク・イルマズは夫にあたる
ギュライ・アタマン:「春の子ども財団」創設者ナシットの妻。殺害されたバハールの母。セヘルが生前、最後に電話で話した相手。その後、自殺
エルジュメント・カルカン:バハール・アタマンのかつての恋人。バハールが殺害された後に退学し、ボクサーになる
セバスティアン・グリーン:バハールの年上の恋人
ネジュミ:ブラント・タインジャの仲間
感想:引き続き、安定したクオリティだが…
シーズン1のほうが展開に意外性がありました。シーズン2は犯人が誰か、なんとなく判ってしまったのでした。一方で主要な登場人物の人間性、家族/人間関係/職務における苦しみや悲しみが、より深く丁寧に表現されていた点について好感をもちました。ハサン警部役のセフスヴァル・アクタスの演技は特に見事だと思いました。セフスヴァル・アクタスに関して、あまり情報はありませんでしたが、9歳年上の女優の妻を2017年に肺がんで失っているようです。
シーズン1で活躍したITの達人 “ソフィア” は退場し、セリン警部補に交替。“ソフィア” はもともと警察官ではありませんし、キャラが立ちすぎていたため、有能だけれど(よい意味で)スター性に欠けるセリンのほうがチームとしての収まりがいいように感じました。
オネム警部の娘スーデのポッドキャストの声もよかったと思います。
極めて個人的なことですが、少しだけペルシャ語を勉強していたので、ペルシャ語とトルコ語でルーツが同じっぽい単語に、少しだけ出会えて楽しかったです。私の知っている語彙が少ない&聞き取れなかっただけで、ほかにもいろいろあったのだろうと思います。
ペルシャ語 | トルコ語 | |
しかし(but) | اما | ama |
お願い(please) | لطفا | lütfen |
再度/繰り返し(again) | تکرار | tekrar |
完了/了解(done/understood) | تمام شد | tamam |
医師/教授(doctor) | دکتر | doktor |
なんとなく、シーズン3があるように予感しています。