色遣いがステキすぎるスパイドラマ「KLEO/クレオ」

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ストーリーや世界観も面白いですが、なんといっても目を引くのは色遣い。建物、壁や壁紙、インテリア、車、服装など。見ていて飽きません。

このところ、自宅の壁をDIYで塗ったりしていたので「こんな色に塗ったら楽しそう」と思う場面が、これでもかと押し寄せてきます。日本の風土や伝統にはない配色と図柄です。ときにギチギチしていて悪趣味な感じが無きにしも非ずですが、このドラマの場合、それすらも魅力的に映るから不思議。

ドイツの作品です。ベルリンの壁が崩壊し、東西ドイツが再統一したのが1989~1990年頃。その少し前、東ドイツの諜報組織の殺し屋だったクレオは何者かの陰謀によって投獄されます。恩赦で出所した後、自分に起きた一連の不可解な出来事の真相を突き止めようとします。その過程で組織上層部の目論見、国家間の秘密、クレオの家族の事情などが明らかになっていきます。

コメディタッチのところ、宇宙&スピリチュアル寄りのファンタジー要素もあって楽しめます。ちょうどシーズン2がリリースされたところです。印象だけでいうとシーズン3の制作がありそう。

ドラマはこんな感じで始まる

シーズン1

1987年。東ドイツ国家保安省から指令を受けた任務部隊員(殺し屋)のクレオは、西ベルリンにあるディスコ「ビッグエデン」でターゲット男性を殺害。男性がコインロッカーに保管していた赤いスーツケースは謎の女によって持ち去られます。

「ビッグエデン」でクレオを目撃、その後謎の男の死体を発見した西ベルリンの刑事スヴェンは事件捜査に加わろうとします。しかし「ビッグエデン事件」は殺人事件として立件されませんでした。

「ビッグエデン」での暗殺は成功したもののクレオは裏切りにあって捕らえられ、投獄されます。服役中に東西ドイツの壁が崩壊。1990年に恩赦となります。

クレオはかつて住んでいた部屋に戻りますが、そこにはティロという “不思議君” が住みついていました。クレオとティロはルームメイトになります。

クレオは自分が組織によって裏切られ、投獄された件について事の真相を探るべく活動を開始。一方、クレオが恩赦になったことを知ったスヴェンも独自の捜査をスタートします。

舞台:ドイツ、チリ、スペイン(マヨルカ島)

シーズン2

赤いスーツケースを持った黒人女性が公用車に乗り込むところから物語がスタート。黒人女性はアメリカ大使館かCIAの要人と思われますが(表向きは米外交使節団の一員)、役名はないようです。車はテンペルホーフ空港に向かいます(同空港は2008年に閉鎖)。運転していたキンバリーが赤いスーツケースを奪って立ち去ります。

本シーズンは6エピソードからなり

  • 赤いスーツケースの行方(国家間の陰謀)
  • クレオの成育歴の謎/家族の秘密

というふたつが軸となって展開していきます。

工作員やスパイ同志が真の仲間とは限らず、ほかの誰かの指令で相互に監視していたり、殺害に及んだり、二重スパイが潜んでいたり、意外な人物も実は工作員だったりと “信じられる真実の人間関係” など、どこにもないことが徐々に判明していきます。

クレオの家族関係も然り。彼女の記憶にある家族、信じていた家族関係が真実ではなく、何かによって消去・上書きされたものであることが明らかになっていきます。

一方で国家の結託による隠されたシナリオが実行へと近づきつつあります。

舞台:ドイツ、セルビア(旧ユーゴスラビア)、ロシア(旧ソ連)

登場人物

詳細に書くと面白さが半減するので、ざっくりと。

シーズン1(シーズン2にも登場する人物を含む)

[東ベルリン(旧東ドイツ)の人]

クレオ・シュトラウブ:東ドイツ国家保安省(シュタージ)偵察第18局の優秀な殺し屋

アンディ・ウルフ:東ドイツ国家保安省ではクレオの上官。密かにクレオと交際。彼女が「無効化」された後、アニャと結婚。クレオが恩赦になった頃は人民公社プラリネに勤務していた

ウーヴェ・ミティヒ:東ドイツ国家保安省におけるアンディの同僚。油絵が趣味。マイクという便利屋みたいな友人がいる

オットー・シュトラウブ:偵察第1局の上級大佐。クレオの祖父で元国家保安副大臣

エーリッヒ・ミールケ:反逆罪で服役中の元国家保安大臣。かつて特別問題作業部隊を組織していた

ルドガー・ヴィツォレク:大佐。アンディたちの上官だった。ガブリエラという妻がいる

ヴァルター・ブルーム:ドイツ社会主義統一党の書記長

ホルヘ・コンザレス:クレオのかつての同志。チリにいる

マルゴット・ホーネッカー:“紫の魔女” “同志大臣”と呼ばれる。クレオは「おばさん」と呼んでいる

ラモナ:作中では「レーガン大統領暗殺未遂事件」の実行犯とされている東ドイツ最高峰の工作員。クレオによれば「その後、KGBの工作員になった」。※ 実際の「レーガン大統領暗殺未遂事件」の狙撃犯は女優ジョディー・フォスターの気を引きたかったジョン・ヒンクリーという男

ユッタ・ゼリンスキー:クレオの表向きの職場(ラジオ製造業)で同僚だった女性

ギュンター・ロースバッハ:特別問題作業部隊の教官

ライサー:シーズン1では偵察局で資料の管理。シーズン2ではガードマン

ブリギッテ・シュトラウブ:クレオの母

[西ベルリン(旧西ドイツ)の人]

スヴェン・ペツォールト:西ベルリン警察詐欺課の刑事。「ビッグエデン」の男性死体の第一発見者。妻ジェニー息子マルクがいる

フレディ・レンバッハ:詐欺課の刑事でスヴェンの同僚

ボトガー:スヴェンたちの上司

ティロ:もともとは西ベルリンの人間であるが、クレオの服役中に東ベルリンの彼女の部屋に住むように。“天然+ドラッグ+スピリチュアル” で脳内ファンタジーの “不思議君”。本人いわく「テクノ音楽を地球に持ち込むのが使命でシリウスBからやってきた」。ディスコで働いていて、ドーピーというDJの友人がいる。シーズン1で一旦シリウスBへ帰り、シーズン2でガールフレンドのキアナ姫を連れてくる

【連邦情報局(BND)関係者】

アンネ・ガイケ:ミン・ソンらの上位者

ミン・ソン:「ビッグエデン殺人事件」について密告を受ける。アンネから捜査を指示される。東洋人女性

【KGB関係者】

アレキサンダー・ベロフ:シーズン1ではマヨルカ島にいる。シーズン2ではKGBのベルリン支部にいる

【ソビエト連邦軍関係者】

ピオトル:クレオの知り合い。彼女に武器等を提供。シーズン2ではウーヴェに武器を提供

シーズン2(新登場人物のみ)

[東ベルリン(旧東ドイツ)の人]

ファビアン:クレオの母ブリギッテの連れ合い

ホルガー:クレオの幼馴染。昔の恋の相手

O.O.S.A.:アメリカ大使館に潜入している工作員。コードネームは “ベア”

ラーダ:クレオの祖父オットーの友人。ベオグラードで暮らしている

エーリッヒ・ホーネッカー:国家評議会議長。マルゴットの夫

【KGB関係者】

ニコライ・ジューコフ:工作員。ベルリンで殺されそうになるが下剋上に成功する。アクリーナという母がいる

オリガ:モスクワの司令官。ニコライを排除しようとする

ナターシャ・ブロデロワ:モスクワ在住のクレオの友人。母親がKGBで働いている

【CIA関係者】

ローズ・カーマイケル:赤いスーツケースの件で手を組むよう、スヴェンにもちかける

キンバリー:アメリカ大使館に雇われて働く

感想:ストーリー/演技陣/セット美術のバランスが絶妙

冒頭でも述べたとおり、まずは画面の色遣いが秀逸。1990年頃のドイツやユーゴスラビア、チリなどが「KLEO/クレオ」ならではの独特の世界に仕上がっています。そんな世界を彷徨ってみたい気がします。

実話とフィクションが共存したストーリー

「KLEO/クレオ」には、東ドイツの歴史に実際にあった要素と架空の要素が混在。例えば、エーリッヒ・ミールケ元大臣の赤い秘密のスーツケース(Mielke’s Red Suitcase)は現実でもドラマでも大きな役割を果たしました。一方で、実際のミールケ元大臣は老人ホームで亡くなっていてドラマでの死に方とは異なっています。

マルゴット(1989年まで国民教育相)と夫のエーリッヒ・ホーネッカー(国家評議会議長)はモスクワを経由してチリへ亡命。同国で亡くなりました。彼らの最期もドラマの展開とは異なっています。

ドラマ全体としては国家の陰謀、諜報の世界の侮れなさ、予想の上をいく人間関係のどんでん返しなど、次々に燃料が投下されて急展開することでぐっと引き付けられる内容になっています。

個性あふれる演技陣

本作の主要メンバーの配役をみていくと、子どもの頃にドイツへ移住した俳優、女優が散見されます。

クレオ役のイェラ・ハーゼ

イェラはドイツ生まれです。彼女の弾けるような魅力は、本作のポテンシャルを大いに引き上げています。ほかの出演作を今のところ観たことがないのですが、今後注目したい女優さんです。

健康的で豊満な身体をフルに使ってのアクションも見ごたえがありました。

スヴェン役のディミトリ・シャード

カザフスタン生まれで8歳のときにドイツへ移住。兄アレックスは映画監督で、ディミトリは俳優であると同時に脚本家です。

彼のコミカルな演技によって本作の厚みが増したと思います。

“不思議君”ティロ役のユリウス・フェルドマイヤー

ユリウスは音楽大学で演技を学び、俳優として活動。クィアをカミングアウトしているそうです。カーチャ・フェルドマイヤー(フォトグラファー兼アーティスト)と結婚していて、具体的にどこがどうクィアなのかは不明です。

本作ではブリーフ姿での登場や宇宙人のような受け答えが印象的で、スヴェン役のディミリトリとは異なったアプローチで本作の面白さに貢献。どこかにいそうな自然体の “不思議君” を見事に演じていたと思います。

アンディ・ウルフ役のウラジーミル・ブルラコフ

クレオの元恋人で、東ドイツ国家保安省では彼女の上官だったアンディ・ウルフ。

彼を演じたウラジーミルはモスクワで生まれ、9歳のときにドイツへ移住。カザフスタンから移住したディミトリ同様、当時はドイツ語を話すことができなかったようです。実生活では同性愛者でマルティンというボーイフレンドがいます。

ミン・ソン役のユン・ホアン

ユンは中国系ドイツ人とのこと。名前は中国人ですし、顔立ちも東洋人なのですが、身長は172㎝あり目を引くビジュアルだと思います。

中国で生まれて6歳でドイツへ。日本、スイス、イスラエルにいたこともあり、ドイツ語と中国語に加えて英語、フランス語、イタリア語、日本語、ヘブライ語を話すことができるそうです。多才ですね。演技のほかに建築も学んでいたようです。世界各地で暮らしてきたということで、親の職業が気になります。

高確率でシーズン3が用意されると思う

シーズン2の最後でクレオの家族に関する新たな情報が開示されます。燃料が投下されたので、よほどのことがない限りシーズン3へと物語が続くと予想します。

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