表と裏の物語を楽しめるサスペンスドラマ「刑事ハリー・ホーレ」

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もう4月。思えば3月は何も投稿しませんでした。

イランを巡る戦争(と呼んではいけないんでしたっけ?)が始まって以来、気分がどよーん。ペルシア語を学ぶきっかけになったくらい好印象だったイラン(2018年訪問)がアメリカ&イスラエルから本格的な攻撃を受けています。2015年に訪れたイスラエルも街並み/遺跡/食事/人々などは非常に好印象だったので、それもあって気分がさらにどよーん。

2025年9月、コーカサスへと出発するはずだった日。イスラエルがドーハを爆撃したことにより、搭乗ゲートが開いたタイミングでカタール航空(JALとの共同就航)が欠航を決めたことを思い出しました(翌日、ターキッシュエアラインズで経由地をイスタンブールにすることで出発できましたが、中継地で身動きが取れないのは相当なストレスだと思う)。

ドラマを観ても投稿する気になんぞならなかったわけですが、このたび視聴したノルウェー作品「刑事ハリー・ホーレ」(原題:Jo Nesbo’s Detective Hole)はまずまずの面白さだったので書くことにします。

構成要素は過去に観たことのある何かしらの作品に類似していたりするのですが、表の物語と裏の物語という、大きく言ってふたつの流れがある見え方が印象に残りました。原作はジョ―・ネスボによる小説「悪魔の星」。

導入部あらすじ

5年前、銀行強盗犯の車が発見されたという連絡をバーで受ける刑事ハリー・ホーレ。逃走車を追跡すべく、相棒のラルス・ハーランドを伴って車に乗り込みます。酒を飲んでいたせいか、著しい無謀運転をするハリー。前方の角を右折してきた路面電車に正面衝突しそうになって急ハンドルを切ります。ハリーは怪我で済みましたが、助手席のラースは死亡します。

現在。ノルウェーの首都オスロには武器の不法所持がはびこり、郊外ではギャングの抗争が激化。刑事ハリー・ホーレは、未解決の銀行強盗事件を今も追っています。監視映像を繰り返し確認。新たな手がかりを見つけようとしていました。

5年前に強盗が使っていた銃と、最近麻薬捜査課が見つけた銃に共通点(チェスカ製であること)が見い出され、ハリーは同僚刑事のエレンと新参の鑑識分析官ベアーテとチームを組み、麻薬や武器をさばく売人のオルセンが銀行強盗に関わっていたとの見立てで捜査を行います。

分析官ベアーテは顔の識別能力に秀でており、画像から、売人オルセンのガレージに出入りしていた人物を警部トム・ヴォーレルと判定。

アルコール依存症だったハリーは、恋人ができたことをきっかけにお酒を飲まなっていました。彼女の息子オレグは当初こそハリーに懐きませんでしたが、アクティビティを共有することで距離を縮めていきます。

同僚刑事のエレンは、ハリーとラケルの交際を応援しており、売人オルセンの隠れ家を探る際、ハリーに連絡はしたものの、彼女と息子を交えたデートを楽しむよう促します。その結果、単独で動いたエレンは命を失います。再び同僚を失うことになったハリー。一度は断ったはずのアルコールの誘惑に負け、恋人ラケルとの関係にも暗雲が立ち込めます。

ハリーは、状況からエレン殺害犯を警部トム・ヴォーレルと推理。警視正のアグネスは本件について、①ハリーひとりで捜査すること、②報告はアグネスにのみ行うことを条件に捜査を許可。しかし思うようにいかず、むしろ疑惑に満ちたトムが悲劇の英雄であるかのように扱われることに。

いっぽう集合住宅の一室ではカミラ・ローエンの遺体が発見され、ハリーも捜査に駆り出されます。被害者は左手の人差し指が切り取られていました。彼女が撃たれたピストルもチェスカ製であることが判明。後に右瞼の裏から星形のブラッドダイヤモンド(シエラレオネ産)が発見されます。

さらに別の被害者たちも発見されていき、シンボリックな筋書きや宗教的動機をもつ連続殺人事件であることが匂わされました。勤務中の飲酒等により、ハリーの刑事としての立場は何度も危うくなります。しかし、この手の事件の経験があるのは彼だけだったので、お目こぼしで捜査を担当することになります。

一連の事件の動機や背景はいかなるもので、真犯人は誰なのか。最終的に警官を辞めることになったハリーは真相を追います。警部トム・ヴォーレルに悪感情をもつ分析官ベアーテは、ギリギリまでハリーに協力し続けます。

登場人物

オスロ警察関係者

[連続殺人事件捜査チームのメンバー]

ハリー・ホーレ:主人公の刑事。5年前の銀行強盗事件の際に起こした自動車事故で同僚を失う等、すっきりしない過去を抱えている。ラケル・ファウケと付き合っている。ラケルの息子がオレグ

ストーレ・アウネ:警察から委託されている心理学者。ハリーのセラピーを担当。殺人事件について犯人のプロファイラーも行っている

トム・ヴォーレル:スウェーデン出身の警部。インターポールから麻薬捜査課へやってきて後、正式なメンバーとなる。連続殺人事件捜査チームのリーダー。恐らくはバイセクシャル。かつては警察学校でベアーテの教官だった。密売者としてのコードネームは “プリンス”。秘密結社のメンバーでもある

ビャルネ・メッレル:ハリーとエレン、トムの上官。殺人課の課長

ベアーテ・レン:ストックホルムの鑑識から出向してきた分析官でスウェーデン人

ビョルン・ホルム:鑑識分析官

ヴルフ:刑事

スカッレ:麻薬捜査課から殺人課へ異動してきた刑事

シッセル:刑事

マリク・カーン:刑事

イヴァン・ブラッテン:警察犬担当警官

オットー・タン:音声&画像解析担当

[その他警察関係者]

ラルス・ハーランド:ハリーの相棒だった刑事。ハリーの運転する車の事故により命を落とす。トム・ヴォーレルの恋人だったと思われる

エレン・イエルテン:ハリーの同僚の刑事。過去に別の警察官(Trygve Nark)と交際。立腹するとイスを投げるらしい。趣味はバンド活動でベースを担当

アグネス・ショーリ:警視正(現在は刑事部長)。警察副本部長候補

イヴァル・アンダーセン:警察本部長

イサクソン:組織犯罪課の刑事

シヴェルト・ファルケイド:デルタチーム(特殊部隊)のメンバー

アビルソ:警察訴追官

エディ・ハンソン:エピソード4の冒頭で、警官の武器武装についてアグネスと話をする男性

グロート:留置所の看守

麻薬&武器の密売関係者

スヴェッレ・オルセン:麻薬&武器を扱う売人。銀行強盗の前科あり。五芒星のブラッドダイヤモンドを現金化しようとする

ロイ・クヴィンスヴィーク:スヴェッレ・オルセンの仲間

ボリス・クピッチ:スヴェッレ・オルセン傘下の売人

ディアプミスコープス:オスロの2大ギャング集団

オーディンロキ:コープスに敵対する勢力(ディアプミス)のメンバー

アッティラ:コープスの窓口。トム・ヴォーレルと武器を取引している

連続殺人事件関係者(警察以外)

カミラ・ローエン:謎に満ちた猟奇殺人事件の最初の被害者

ヴィーベケアンダース・クヌートセン:カミラの階下の部屋で暮らす奇妙な夫婦。アンダースは教会で使う備品を販売

ヴィリー・バルリ:行方不明になった歌手リスベートの夫。劇作家もしくは演出家。ロココで悪趣味、オバサンみたいなオジサン

トーヤー・ハラン:リスベートの双子の妹。彼女のバックコーラスを務めていたが、舞台女優としても活動

マルティン・アミノフ:チェコのプラハで暮らしている。輸出入業者。作品内では女性が群がる色男枠だが、どこに魅力があるのかまったくわからない(個人的な好みでいうと、むしろ気色悪い)。パートナーはペトラ・マルバノバ。生みの母マリアはオスロ在住。マリアの家に下宿しているのがイーナ

バラ・スヴェンセン:ABC INKASSO(ABC債権回収)の受付嬢。3人目の被害者

アンドリュー・クラウセン:ハレ弁護士と面会するため、ABC INKASSO(ABC債権回収)の受付にやってきた男。補聴器販売業

ニコライ・ロブ:五芒星についてハリーに解説する神父

カール:リサイクルショップの店主

マリウス・ヴェーラン:学生寮406号室(実質5階)の学生。親指が欠損。実は最初に殺害されていた

オッド・エイナル・リッレボースター:学生寮205号室の学生

その他

ニーナ:路上でお金を乞う若い女性。トム・ヴォーレルから五芒星のブラッドダイヤモンドを受け取る

マヤ・エーク:事件記者志望。アフテンポステン紙の新人。ヘロイン依存症の弟がスウェーデンの刑務所にいる

エイステイン・エイケラン:ハリーの幼馴染でタクシー運転手。ドラッグも扱っている

ジョージ:ハッテン場にいる男娼

ソロ:トム・ヴォーレルの若い頃(スウェーデン時代)の知り合い

感想&メモ:筋書きに厚みがあるが、シーズン2がないと中途半端な終わり方

残された謎があるためシーズン2があってもよさそうですが、現時点では制作は未定。

この作品には、刑事ハリーの恋人ラケルや彼女の息子オレグとの個人的な愛情物語を除き、大きく分けて3つの切り口があります。

  • ノルウェー首都オスロのアンダーグラウンドにおける汚職警官とギャングのビジネス
  • それを包み込んでいる、もっと大きな闇の世界(秘密結社)の野望(世界征服?)
  • 警察組織内の人間関係における怨恨。それが捜査に影響する側面

このドラマには表の筋書き(事件発生 → 捜査 → 解決)と裏のそれ(上記3つの切り口で眺める小ストーリー)があり、それらを並行して味わえるところがポイントだと思っています。

ハリー・ホーレとトム・ヴォーレルの反目

ドラマが始まって早々に「警部トム・ヴォーレルが怪しい」ことが視聴者には明白となります。

彼が武器の密輸と国内での売買を仕切っている汚職警官であることは「ああ、そうなんですね」と受け止めるとして、気になるのは彼がそうなった背景や動機です。警察官としての給料のほかに、サイドビジネスの対価が入るとしても “羽振りのよい暮らしを送れる” 以上のものではないように思われます。

ストックホルム時代に警察学校教官だったトムと教え子のベアーテの間には、男女の関係があったようです。ただしトムはバイセクシャルで、女性にはサディスティックな振る舞いで対応し、心から愛していたのはハリーの相棒刑事だったラルス・ハーランド(男性)のみだったのではないでしょうか。

ゆえに自身の過失運転でラルスの命を奪った刑事ハリー・ホーレを憎んでいたのでしょう。ハリーを違法ビジネスに誘って自分の支配下に置き、同じ穴のムジナにしようとしたのも仕返しの一環ではなかったかと。

スウェーデンで育ったトムの不遇な成育歴によるトラウマ、愛着障害が彼の選択の背景にありそうですが、シーズン1の最後に匂わせるのみで終わっています。

ハリーもセラピーによれば愛着障害のアルコール依存症のようですから、愛着障害持ち同士の愛憎ドラマと言えます。

トムの陰の “ボス” は誰なのか

武器の密売を取り仕切っているトム(コードネーム “プリンス”)には “ボス” がいます(“ボス” の声は男性で “プリンス” とは電話で話すのみ)。

“ボス” は “プリンス” に言います。「“リーダー” とは話がついている。2人とも(→マルティンとハリーを)始末しろ」と。

つまり「リーダー → ボス → プリンス」というヒエラルキーになっていて、留置所看守のグロートはトム(“プリンス”)の傘下にあるようでした。刑事のヴルフも怪しい(ディアプミスのメンバーが入院している病院名をあえて間違えた?/実はヴルフは無関係でトムの小細工によるものかもしれないが)。

やはり最終エピソードで、アグネス・ショーリ警視正が社会の見えないところで、何かを動かそうとしている秘密結社の幹部であることが明かされます。その点でもシーズン2以降での伏線回収がないと「だから何なのよ」で終わります。

トム(“プリンス”)に電話で指示を出す “ボス” も「たぶん、あの人かなあ」というのはありますが、謎のまま。

出演者について

トム・ヴォーレル役のジョエル・キナマン。「ハウス・オブ・カード 野望の階段」で共和党の大統領候補コンウェイ役だった人ですね。タトゥアーティストと結婚し、全身タトゥーになっていたはずですが、離婚してから消したのでしょうか。とりあえず、本作では大規模タトゥーがなくなっていました(デジタル処理とかも可能なのかな?)。

現在のパートナーは、本作でアフテンポステン紙の新人記者マヤ・エーク役を演じていたケリー・ゲイル。そもそもで言うと女優というよりモデルさん。ジョエル・キナマンって、ちょっと毒気のありそうな女性(⇔白雪姫タイプ)が好みなのかもしれません。

ハリー・ホーレ役のトビアス・サンテルマンは、ドイツ生まれのノルウェー人。妻でジャーナリストのジェニファー・ブラーセンとは、公衆トイレで出会ったということです。

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