4年ぶりの続編-ナイジェリアのドラマ「オロトゥーレ:ザ・ジャーニー」

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原題は“Oloture: The Journey”。ナイジェリアの映画「オロトゥーレ」(原題:Òlòturé)の続編です。いつの間にかリリースされていました。先の映画は終わり方が中途半端だったので続きがあるのは嬉しいです。

コチラは前作(↓)

映画「オロトゥーレ」-ナイジェリアの人身売買に潜入取材する女性記者を描く
国際人身売買の闇を暴くため、売春婦として潜入取材を試みる女性記者オロトゥーレの物語です。

視聴し終わって思うに「オロトゥーレ:ザ・ジャーニー」は西アフリカ、ニジェールの土地、自然、暮らしを紹介する役割を担ったロードムービーでもあったのでした。

前作からのストーリーの流れ

前作の映画「オロトゥーレ」は、国際人身売買組織によって売られた記者オロトゥーレ(エヒ)たち一行が、ナイジェリアからベナンへと入国するシーンで終わっていました。新聞社でオロトゥーレの同僚だった男性記者エメカは潜入取材中の彼女を救い出そうとしましたが失敗に終わります。一行のメンバーのビューティー(売春婦リンダの妹)は国境に待機中だったバスから身ひとつで逃亡します。

本作「オロトゥーレ:ザ・ジャーニー」はそれに続く物語。

オロトゥーレたちはバスから車、車からバイクに乗り換えてベナンからニジェールへ。そこで再びバスに乗せられますが、マフィアの男たちに襲撃されます。生き残った彼女とペジュはヒッチハイクでマラディの街へ。

マラディはアフリカ中からヨーロッパへ渡りたい人たちが集まるところなのだそうです(ヨーロッパに近くはなく、むしろナイジェリア国境付近なんですけれどね)。ベンとアンドリューというガーナからやってきた青年たちと出会ったふたりは、手配業者に多額のお金を支払ってアガデスという砂漠の街へ向かいます。そこには世話役のフェミがいました。

アガデスでは騙されて娼館に売り飛ばされるなどもしますが、オロトゥーレとペジュはリビアのカトルーンを経て海辺の街サブラタへ行き、粗末な船に乗ってヨーロッパへ向かおうとします。

一方、国境から逃走したビューティーは母のいるエド州ベニンの家に戻ります。そして家は焼かれ、母は死亡したことを知らされます。帰る家も生活費もないのでラゴスへ行き、ポン引きチュクスの元で売春することに。一旦は人身売買取引から逃れたビューティーでしたが、その後、再びヨーロッパへ渡ることを決意します。

…というところでエピソード3までが終了。

前作同様、尻切れトンボな終わり方です。ヨーロッパへ行ってオロトゥーレがジャーナリストとして何をするか/できるかが一連の物語の最大のキモと思うので、この先の制作があることを期待します。

前作よりも目立つ “ざっくり感“

ひとつひとつの出来事の成り立ちが短絡的というか、製作者側の熟考が不足している感じです。一例を挙げると、どこの馬の骨ともわからぬオロトゥーレたちを、知り合ったばかりのガーナ男性たちがサポートしながら旅をするとか、簡単には起こり得ないことだと思います。

かたやナイジェリアチーム(人身売買に関わるマフィア、売春組織など)も抗争や権力争いの構図がシンプルというか、冷徹に追い詰めて血を血で洗う雰囲気はなく「のんびりした牧歌的な人たちによる、ちょっとした揉め事」に見えるから不思議です。なお彼らのスーツ等の生地のカラーコーディネートはかなり派手。

一般的には見せ場のひとつとなる攻撃や暴力のシーンは迫力皆無の “いかにも演技しています風” で「そんな腕の振りで相手が倒れて動けなくなるわけなかろう」みたいなアクションが目につきます。“ノリウッド” を標榜するくらいなのでエンタメ産業が発展しているはずなのですが、アクションシーンの指導者がいないのかしれません。

とにかく全般に “ざっくり” しています。理由は不明ですが「アフリカって、こういう感じなのかしら」と主語大きめの解釈に至ります。

ニジェールの砂っぽい景観の味わい深さ

オロトゥーレ組の旅はベナン ⇒ ニジェール ⇒ リビアと続き、砂漠の風景、街の建物やインテリア、独特の衣装などに触れることができます。決して美しいとか、ゴージャスとかではなく、お土産にしたくなるようなものも皆無なのですが、素朴な味わいと原初感(命や暮らしの原点を見る感じ)があります。

ドラマのサブタイトルが「ザ・ジャーニー」であることが腑に落ちます。

砂漠地の線路を走る列車の風情も日本のそれとはかなり異なっていて “アフリカ大地のリアル” を感じました。オロトゥーレとペジュはアガデスの塩田で働きます。そういった光景も新鮮。砂漠の夜空は “おとぎの国” のような異世界です。

私は地図を見るのが好きなので、登場した地名をGoogleマップで調べます。前作でオロトゥーレらの出発地だったナイジェリアのラゴスはギニア湾に近いところ。ニジェールのマラディは田舎の街という風情ですが、州都なので空港があります。砂漠の入り口の街アガデスにも空港がありますね。

深刻な社会問題がテーマなのだが…

前作「オロトゥーレ」は「人身売買は “現代の奴隷制”」という部分に問いを投げかけた作品だったように思います。続編の本作はそのような大上段からの構えが弱め。

人身売買問題に正面からズバリと切り込むアプローチではなく、売り買いの餌食になる女性たちの姿を追っているように見えました。苦労しながら砂漠を旅する女性二人組(オロトゥーレとペジュ)、売られそうになって逃げたものの生活できずに売春婦となったビューティー、大きくわけて二者の周辺を描いています。

マフィアの抗争(組織内や対抗勢力)の描写に力を入れているようには見えませんでした。縄張りや人身売買ビジネスの主導権を争ったりもしていますが、全体にぬるいです。欧米やロシア、メキシコ辺りと比べると、かなり平和な感じ。

リビアを出発してイタリアへ行くのか、ギリシャへ行くのかわかりませんが、そこから先はロードムービーにはならない気がします。さらに4年後くらいに続編がリリースされることがあれば視聴したいと思います。

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