「あら久しぶりのウルスラ・コルベロだわ」と思ってドラマ「燃えさかる炎」(原題:El cuerpo en llamas)を観ました。スペインで実際に起きた事件を基にしているとのことで、該当しそうな事件を調べていたところ、ドキュメンタリー映画の「ロサ・ペラルの独白」(原題:Las Cintas de Rosa Peral)の “ロサ・ペラル” が「燃えさかる炎」の主人公であることを知り、そちらも視聴。
正直言いましてドラマもドキュメンタリー映画も、それほどよい出来と思わないのですが、せっかくセットで視聴しましたので、ここに記録を残します。
ドラマ「燃えさかる炎」(8エピソード)
たまたまドラマを先に観ていたので、ロサ・ペラルのトークが主導するドキュメンタリー映画も理解しやすかったのですが、順序が逆だったらどうだったのでしょうか?
ドラマについては、特に後半では容疑者ふたり(ロサ&アルベルト)に捜査の手が伸び、いろんな証拠が確保され、彼らが追い込まれていく展開にかなり惹きつけられました。
…にもかかわらず何がよくないかというと、意図的に行っているのかどうかわかりませんが、出来事の発生順序がわかりにくい構成をとっている点です。何が過去で何が今なのか、過去のなかでの前後関係がわからない散りばめられ方をしていて、事件の経緯/経過を理解しづらくなっている印象です。
[印象に残ったところ]
- ウルスラさんが相変わらずキレイ
- 髭面の男性警官がみな同じに見える。途中までアルベルトを見分けることができなかった
- 主人公ロサがカメラに向かって舌を出すポーズは、本家ロサの再現だった(ドキュメンタリー映画を観てわかった)。十分に美人だし、そんなことをしても下品にしか見えないけれど男ウケがよいのだろうか。思春期から内面が成長していないと思われる
- 世の中に性的に放縦/奔放な女性がいても不思議ではないが、ロサがなぜそのように育ったのかのほうが殺人事件の真相よりも何十倍も気になる。自分の魅力を折に触れて確認したい欲求が桁外れに強いのかもしれない
- そんな娘に説教をするでもなく、たしなめるでもなく、彼女の求めに応じて世話を焼く両親もよくわからない
- ロサは娘を手放すことは考えていない。いろんな男性を誘惑して肉体関係をもつことと善き母であることはロサの脳内で両立するようだ
- ロサ周辺の人たちの多くが変人であるように感じられる
ドキュメンタリー映画「ロサ・ペラルの独白」
このドキュメンタリーでは刑務所に収監されているロサ・ペラルが主に語ります。裁判の様子を収録した映像も混じります。しゃべりが達者でヤバイ感じのする女性です(一見マトモなのだが、自然な感じを醸し出しつつ異常な方向へときどき振れる)。「3割の真実と7割の嘘を上手に混ぜている」印象が強いです。
ロサは、アルベルトとの不倫関係に気付いたペドロに対する計画殺人の罪で服役しています。ジャーナリストのマイカ・ナバロによれば「彼女にとって異性との関わりは必要不可欠なものであって、絶えず誰かを誘惑していた」とのこと。ロサは少女の頃から、かなりの美貌の持ち主であったことが過去の写真や動画でわかります。
「ロサは元夫の殺害も計画していた」との報道もあり、美人警察官である毒婦はワイドショーで注目の的となりました。彼女は25年の懲役という判決を受けますが、ペドロ殺害の全貌は明らかになっていません(ペドロの遺体はすべて燃えてしまったので正確な死因、死に至らしめた首謀者を特定できない)。
ドラマを観た後は、このドキュメンタリーでロサと事件に詳しい人(検察やジャーナリスト)の話を聴いて考察を深めるとよいでしょう。
[印象に残ったところ]
- 本物のロサも美人。淀みなく話しつづける
- カメラに向かって舌を出すのは品もないが、アホっぽい
- ロサの父親は「娘は美しい外見をもち、多くの男性と肉体関係をもったが有罪の証拠はない」と擁護。スペイン人の感覚はよくわからないが、ロサを溺愛しているのだろう
- ドラマでは娘はひとりだったが、実際はふたり。ロサは娘たちを強く愛していて、彼女たちと暮らす未来を夢見ているようだ(刑務所に誘惑できる男性がいないこともあって、離れて暮らす子どもたちに意識が向く面もあるだろう)。“母成分” が濃くなると “女成分” は薄まるのが日本では一般的なのだが、出所後は両方全開で生きるつもりなのだろうか
- ロサにとって男性たちは一過性の存在だが、子どもは自分に属する永続的な存在なのかもしれない。実際のところ元夫とは険悪で、ペドロは死に、アルベルトとは罪の擦り付け合い。過去の浮気相手との間でリベンジポルノに関して裁判を行っている。信頼関係を維持できた相手がいない