Netflixによるハーラン・コーベンのドラマシリーズについてはコチラ(↓)

Netflixとハーラン・コーベンは、彼の複数作品の映像化について契約を結んでおり、比較的コンスタントにリリースしています。
このたび、Amazonプライムビデオでも彼の作品「ハーラン・コーベン/ラザルス」が公開されました。Netflixの投稿に加筆して済ませようかと思ったものの、1投稿に掲載する作品数が多くなること、Amazonプライムビデオについては別だてにするほうがよいと感じたこともあって本稿を書きました。
「ハーラン・コーベン/ラザルス」(原題:Lazarus)は6エピソードからなるサスペンスドラマ。主人公ジョエル・ラザルス(ラズ)は心霊的世界に導かれ、父の死の真相を追求していきます。
導入部あらすじ
法医学精神科医のジョエルは、終身刑の囚人アーロ・ジョーンズとの面談に赴きます。開始直前に父ジョナサンから携帯電話に着信がありましたが、タイミングもあってか電話に出ませんでした。囚人アーロは「お前について神に訊ねたら『まがい物だ』と言った。『ならばヤツを罰してくれ』と願ったところ、それを叶えてくださるそうだ」とジョエルに語ります。
面談の後、妹ジェナから父の拳銃自殺を知らされ、ジョエルは故郷へ戻ります。父の遺書には脚が3本のテーブルの絵と「終わっていない(it’s not over.)」という言葉が書かれていました。また25年前に殺害された娘サットンに関する新聞記事が自殺現場の診療所の机の上に置かれていたと、ジェナから聞かされます。
ジョエルは父の診療所へ足を運び、自殺現場を確認します。父のイスに座って酒を飲み、目を閉じていると、父ジョナサンの患者であるカサンドラがやってきます。彼女にはジョエルが主治医のジョナサンに見えているようです。訝しく思いながらも、ジョエルはカサンドラの話を聴きます。「先生が言っていた通りよ。痛みを抱えたまま生きることについて」と言ったところで振り返ると、彼女の姿は既にありませんでした。
カサンドラだけでなく、父ジョナサンの患者たちの来訪をジョエルは受けます。そこで得た情報を警察に提供することで、過去の複数の未解決事件の真相が徐々に明らかになっていきます。
死んだ父ジョナサンも現れます。彼が息子を何か大切な真実へと導こうとしていることを感じ、ジョエルはオカルト探偵のような行動に出ます。果たして彼は父ジョナサンの死、妹サットンの死の真相に近づくことができるのでしょうか。
登場人物
ラザルス家
- ジョェル・ラザルス:法医学精神科医。短期間、ベラと結婚していた。“ラズ” と呼ばれている
- サットン・ラザルス:ジョエルの双子の妹。1998年、18歳で殺害されたが犯人は捕まっていない
- ジェナ・ラザルス:ジョエルとサットンの妹。精神世界に傾倒気味
- ジョナサン・ラザルス:ジョエルらの父。著名な精神科医。拳銃自殺したとされるが、息子のジョエルは疑っている
ジョエルの友人/知人
- セス・マクガバン:幼馴染。現在は警察官
- ベラ・コットン:ジョエルの元妻。バー “ロージー・Q” を経営。現在の夫はポール・コットン
- エイダン・コットン:ベラの息子で15歳
- ビリー・マッキンタイア:殺されたサットンの元ボーイフレンド
- マーゴット・マッキンタイア:ビリーの母。診療所でジョエルの父ジョナサンの秘書をしていた
- ローラ・メイナード:ジョナサンの診療所を訪ねてきた精神科医。ジョエルは男女の友人としての関係性を期待する
事件の担当者/関与者
- アリソン・ブラウン:警部。セスの上司
- サム・オルセン:サットン殺害の元容疑者
- アルフィー・チョプラ:精神科医。ジョエルの同僚
ジョエルの患者
- アーロ・ジョーンズ:終身刑の連続殺人犯。イモージェン・カースウッドは被害者のひとり
父ジョナサンの患者たち
- カサンドラ・ローズ:DV被害者。恋人ニール・クロフトを殺したい衝動に苦しんでいる。彼女の住んでいた部屋を購入したのがアデバゴ氏
- ハリー・ナッシュ:学校のサッカーコーチ(フランク・バーンウェイ神父)から性的虐待を受けていた
感想・メモ:最後の“どんでん返し”がいまいち
ハーラン・コーベンものはいくつか観てきました。小説は読んだことがないのでどうか知りませんが、映像化すると細部の詰めの甘さ、不自然な偶然や合致が多い気がします。そして最後にやってくる “どんでん返し”。「その部分に勝負をかけているのかな」と思うくらい突飛だったり、視聴者には予想しえない内容だったり。
今回も、その手の “どんでん返し” が最後にやってくるのですが、明らかにされる内容はさほど面白くありません。“後出しじゃんけん” 的な種明かしが続きます。最後の最後はまあまあ面白いかな。
終わりまで視聴したうえでまとめると、ドラマ内で起きる事件はDNAの恐ろしい業、または家族のカルマの継承によるものであることに主人公が気づく物語。忌まわしき連鎖が途絶えることなく続いていくことを示唆して終わります。
霊的世界とこの世がつながっていて、そこからヒントを与えられることで主人公が動き、真相に近づき、真実を知るという描かれ方は面白いと思いました。父の死をきっかけに、限定的な状況下で霊能者になるという設定は突飛で不自然ですが、見える世界と見えない世界の意識がつながっていて、自分のものとは思えない閃きを得ることは人間の日常に当たり前にあることだと思うので、違和感はありませんでした。
