「ナイト・マネジャー」(原題:The Night Manager)は、イギリスの作家ジョン・ル・カレによるスパイ小説で、イギリスとアメリカでベストセラーとなりました。本作は、それを土台としたテレビドラマシリーズです。

2016年のシーズン1から10年。このたびシーズン2が公開されました。キャストも随分加齢したはず。
シーズン1では国際執行機関(International Enforcement Agency)とMI6は別の動きをしていたと記憶しています。シーズン2では、シーズン1のIEAのメンバーが時限的にMI6のチームとして動く位置づけになっています。
とりあえずエピソード3まで視聴して、続投しているのは以下の人たち。
※ 役名→俳優名の順で( )内が俳優名
- ジョナサン・パイン → アレックス・グッドウィン → マシュー・エリス(トム・ヒドルストン):主人公。シーズン2では、MI6ナイト・アウル(夜間専門の監視部隊)の班長になっている
- アンジェラ・バー(オリヴィア・コールマン):国際執行機関(International Enforcement Agency)の職員で、シーズン1ではMI6(秘密情報部)に知らせることなく、ジョナサン・パインをスパイとして活動させていた。シーズン2では、ほぼリタイア状態でフランスで暮らしている
- レックス・メイヒュー(ダグラス・ホッジ):シーズン1では外務省の次官。IEAの監督職でアンジェラの上司だった。シーズン2ではアレックス・グッドウィン率いるナイト・アウル班の監督者。妻はシーリア
- ダニエル(ダニー)・ローパー(ノア・ジュプ):国際的な武器商人リチャード・ローパーの息子。シーズン2では少年から青年に成長している
まずは最初の3エピソードについて書きます。
エピソードの要約
エピソード1
設定はシーズン1の4年後(2020年頃)。シリアでアンジェラ・バーとジョナサン・パインが会うシーンから始まります。シーズン1で身柄を拘束された国際的な武器商人リチャード・ローパーの死の処理が、息子ダニエル(ダニー)に知らされることなく行われることがアンジェラから説明されます。ジョナサンではなく、アンジェラが遺体の身元確認を行います。
さらに5年後。イギリスはロンドンへと場面が変わります。ジョナサン・パインはアレックス・グッドウィンという名で暮らしています。彼はMI6ナイト・アウル班の長というポジションにあります。ナイト・アウル班とは夜間監視に特化したMI6に付帯する時限的な組織のようです。
MI6のリストにある人物を監視していたところ、武器商人リチャード・ローパーの傭兵だったヤコがロンドンのホテルでポーカーに興じている姿を確認。ナイト・アウル班のメンバーに対し、本名も過去のキャリアも伏せているアレックスですが、ヤコが何のためにロンドンへやってきたのかを探り始めます。
するとリチャード・ローパーの組織の残党が違法な取引をしているらしいこと、仲介者がアダム・ホリウェルであることがわかります。調べたところアダムの出入りする家の所有者はMI6、彼と面会していたのはマイラ・キャベンディッシュ(MI6リバーハウス監理委員会委員長)でした。
その件について上司のレックス・メイヒューと情報交換をしようとアレックスはアポを取り付けますが、面会に至る前にレックスは薬をウイスキーで服用して死にます。
レックスが残した手がかりから、アレックスは彼の死についての調査を開始。マイアミで貿易会社を営むロクサーナ・ボラニョスが、コロンビアのバルケロ商会によるイギリスからの輸入についてレックスに相談をもちかけていたことを掴みます。
リチャード・ローパーとコロンビアの組織の間には何か関係があると感じたアレックスは、リチャードの息子ダニーに面会。彼からは何も聞き出せず、6年前に父リチャードが他界したことを伝えて別れます。
ナイト・アウル班は元傭兵ヤコの動きを追跡。アレックスはステファン・チャーチの名でバルセロナへ向かいますが、ナイト・アウル班のメンバーは諜報員のような活動をすることに否定的でした(本来業務は夜間監視であるため)。一部のメンバーがアレックスに同行し、残りはロンドンからサポート。バルセロナのホテルに投宿していたヤコのもとに現れたのはバルケロ商会のCEOテディでした。
追跡されていることに気づいたテディは、ナイト・アウル班を攻撃。ヤコも消します。
エピソード2
メンバーが命を落としたナイト・アウル班はマイラ・キャベンディッシュによって解散、ロンドンでサポートしていたサリー・プライス・ジョーンズは謹慎処分となります。アレックス・グッドウィンはメンバーとともにバルセロナで死んだことになっています(MI6は彼が生きていることを知らない)。
サリーとウェールズにてコンタクトを取ろうとしたアレックスは、思いがけずMI6のバジル・カラペティアンと再会。彼はアレックスの本名がジョナサン・パインであることを知っていました。バジルはアレックスのこれからの動きに対して手助けを申し出ます。そして1990年代(25~35年前)にリチャード・ローパーがコロンビアへ武器輸出を行っていたであろうことを語ります。
ナイト・アウル班のメンバーだったマイクは転職したものの、サリーは犠牲になったメンバーのためにアレックスへの関与を継続。カルタヘナ(コロンビア)では検察官のアレハンドロ・グアルテロスに働きかけ、バルケロ商会宛ての積み荷の押収、口座の凍結に成功します。その後、口座凍結により資金を自由に動かせなくなったテディを、マシュー・エリス(アレックスの新しい偽名)が救うというシナリオが実行に移されます。マシューがテディのために融通する資金は、元を辿るとリチャード・ローパーのものであり、ある口座に隠してありました。
いっぽうロンドンでは、レックス・メイヒューが保管していた仕事に関する資料を手渡すよう、マイラ・キャベンディッシュからバジルに指示が出されます。
テディや彼の弁護士フアンと親交を深めつつあったマシューは、パーティーでロクサーナ・ボラニョスと再会。マシューはバルケロ商会を巡る取引についての情報提供、テディの組織潜入への協力を迫ります。そのいっぽうでマシューはマックス・ロビンソンの偽名で、テディが持っていた写真に写っていた女性探しを私立探偵に依頼。彼とエヘ・カフェテロへ向かい、それがマリア・ルイザ・ヴィダルであることを突き止めます。その後、聖エッケ・ホモ修道院へ向かい、エドゥアルド・ヴィダルという少年について修道士に尋ね、彼の父親が英国人だったという情報を得ます。
マシューはロクサーナ・ボラニョスの協力によってテディの事業に資金を提供する流れになりますが、彼の家で薬を盛られ、ロクサーナによってプールへ突き落されます。正体と目的を明かすようテディに問い詰められますが、マシューは朦朧とした意識下でも作り話で乗り切ります。
ロンドンのバジルは代理を装って部屋を内見、賃貸契約を結びます。そこで表にできない仕事をするようです。
エピソード3
危機的状況を切り抜けたマシューはロクサーナを伴ってホテルに戻ります。
積み荷が密輸による英国製武器であることを突き止め「カルタヘナで取引に応じる」とテディに伝えるようロクサーナに指示。併せて証拠固めに必要な積み荷のリストを入手するよう言いますが、彼女は「テディとの取引実現まで話をつないだのだから、これ以上従う理由はない」と返します。
結局のところ、ふたりは協力。バルケロ商会のオフィスにマシューとロクサーナが出向きます。契約書は複数あり、一通はアウローラ財団への寄付の申し込み、もう一通は新会社の持ち株に関する出資証明書。それらにマシューがサインします。
サリーは送金のタイミングを遅く設定することで積み荷リストを探す時間を稼ぎます。しかし検事を通じてバルケロ商会宛ての積み荷を差し止められるのにも、タイムリミットがあります。
リストが保管されている別館の暗証番号をロクサーナから聞き出すマシュー。利害関係のあるふたりは協力していますが、どちらかが裏切ることがないとはいえない状況です。
バジルはロンドンから、カルタヘナの別館の監視カメラが機能しないように操作。入口の暗証番号を解除したマシューが部屋に入ってブリーフケースを見ると、そこにあるはずだったリストはなくなっていました。そこへ入室してくるテディ。緊張感が高まります。
テディは電話をかけ “ハンソン” へ伝言します。「明日、検察官を消すことにした。ギルベルトたちの承認が欲しい」という内容です。“ハンソン” あるいは “ギルベルト” は反社会的勢力の人なのでしょうか。
サリーはジェーンを名乗って私立探偵マルティンのもとへ赴き、質問抜きの高報酬でマックス・ロビンソンの依頼を受けてくれるよう交渉します。
表向きはロクサーナとよろしくやっているかのようなマシューですが、いろんな意味で不都合を感じ始めたテディの弁護士フアンから「明日、国外に出るように」と航空券を渡されます。
その後、一か八かのマシューの芝居により、積み荷リストに問題はないか(なくなったりしていないか)心配になって別館まで確認に行く弁護士のフアン。ロクサーナも同行します。その場でのやりとりから、ロクサーナの父とフアンとの間には大きな関わりがあったことが匂わされます。
監視カメラに怪しい人物が映っていないかどうかをフアンが確認に行っている隙に、積み荷リストをコピーするロクサーナ。それは自分自身を守るためなのか、マシューに手渡すためなのか。
いっぽうロンドンのバジルはマイラ・キャベンディッシュに呼び出されます。彼女はレックス・メイヒューの保管資料から9年前のアンドリュー・バーチとのやりとりを見つけ、そこに書かれていた「ルクセンブルクの銀行口座の3億ドル(リチャード・ローパーの資金)」について訊ねます。アウローラ財団への送金は、その口座を原資としていたため、バジルは手続きをキャンセルせざるを得なくなります。
その頃、コロンビアにいるマシューはテディの手下ビクトールに銃を突き付けられ、夜の海へと連れ出されていました。「お前は何者なのか」と脅すテディに対し「これまでの説明の通りだが、実は軍は除隊になっておらず、情報部に転属となってイラクのファルージャで諜報活動をしていた。嘘もついていたが、寄付として送金するお金はある。間違いない」とマシューは答えます。
しかし不測の事態によりロンドン側で送金手続きがキャンセルされ、「送金するから信じてくれ」と懇願するマシューは絶体絶命の危機。バジルはマイラに「諜報用の隠し口座に送金して、問い合わせがあるかどうか試してみよう(※ 口座に3億ドル置いていた目的や使途を探るためと思われる)」と提案しますが、彼女は「ほかと相談するから、それまで動かないように」と聞き入れませんでした。そしてサリーはマシュー(ジョナサン・パイン)と連絡がつかないことに困惑。
リミットが限界に近づいたそのとき、マイラから電話が入り、バジルは銀行口座のダミー取引を許可されます。間一髪でマシューは命拾い。送金が嘘ではなかったことでマシューに気を許したテディは、財団を隠れ蓑にして、コロンビアで若者の傭兵組織を作っていることを彼に明かします。しかし、その目的や誰のための組織かについては語りませんでした。
マシューはギルベルト・ハンソンという人物がテディの黒幕と推理。しかしサリーは①ギルベルトが17年前に武器密輸により死亡していること、②彼の死が公表されていないことを調査済でした。
ロクサーナはマシューに戦略防衛局の作成した積み荷リストのコピーを持参。テディはヘリコプターで秘密のミーティングに出発。マシューは私立探偵マルティンの運転でテディを追います。そしてミーティングの会場に、死んだはずのギルベルト・ハンソンが姿を現します。
登場人物
エピソード1
※ ほぼ登場順
- テリーサ:アレックスのロンドンでの隣人
- キム・サンダース:MI6のメンタルケアを担当する精神医学博士
- バジル・カラペティアン:MI6のメンバー
- マイラ・キャベンディッシュ:MI6リバーハウス監理委員会委員長
- グレハム/マイク/サリー・プライス・ジョーンズ/トニー:ナイト・アウル班のメンバー
- ワリード:ナイト・アウル班のメンバー。元はインドのホテルマン
- カダロフ:ブルガリアのマフィア。児童の人身売買に関わっている
- ヤコ・ブラウアー:かつてリチャード・ローパーの傭兵だった南アフリカ人。近年は南米で違法な密売に関与。偽名はミシェル・エベール
- ロクサーナ・ボラニョス:レックス・メイヒューと面会していた女性。コロンビア出身。マイアミで海運の中立業をしている
- アダム・ホリウェル:英国企業と外国顧客をつなぐブローカー
- テディ・ドス・サントス:バルケロ商会のCEO、かつアウローラ財団(内戦で傷ついた子どもたちの支援活動団体)の代表。メデジン在住。2018年までの経歴は不明
エピソード2
※ エピソード1までに登場した人物を除く
- アレハンドロ・グアルテロス:メデジンの検察官。演じているのは「ナルコス」でナチョ役だったアルベルト・アマン
- フアン・カラスカル:テディ・ドス・サントスの弁護士
- オラシオ・サンチェス:軍部の大将。テディの協力者
- コンスエロ・アルベンス:長官
- ホセ・カブレラ:反政府武装活動の容疑で逮捕状を出されている政治家
- マルティン・アルバレス:私立探偵
- クラーラ:マリア・ルイザ・ヴィダルの娘。エドゥアルドの姉
エピソード3
※ エピソード2までに登場した人物を除く
- パロマ:バルケロ商会のマネージャー
- ヴィクトル:テディの手下
- ギルベルト・ハンソン:武器密輸に関与。生死が定かではない
エピソード1~3の感想
緊張感と意外性が盛りだくさんの内容で、なかなかよい滑り出しと思います。
諜報活動/スパイものが好きであるにもかかわらず、最近では公開される作品数が(たぶん)多くなく、「満足したわ~」というレベルのものも少ないため、乾いた土壌に水を得たかのような気分になりました。
スパイもの自体は大昔から製作され続けているものの、現実世界の諜報はITや化学(兵器)等の技術分野を含めて革新(新手法の導入)を繰り返しているはず。そういった点をどう反映していくのかにも興味があります。
MI6マイラ・キャベンディッシュ役のインディラ・ヴァルマは “悪い顔” でいい味を出していますし、ロクサーナ・ボラニョス役のカミラ・モローネは肉感的な美女で見惚れてしまいます。
余談ですが、カミラ・モローネの両親はアルゼンチン人。母親は元モデルで、俳優アル・パチーノの元パートナー(恋多きアル・パチーノに結婚歴はなく、あくまでも歴代パートナーのひとり)。母親とアル・パチーノは結婚していませんでしたが、カミラはアル・パチーノを「継父」と表現しているそうです。
話戻りまして、エピソード3の最後に17年前に死んだとされているギルベルト・ハンソンが登場したところが、ここまでの物語のピークであり、方向転換のポイントと思われます。フランスで隠居生活を送っているアンジェラ・バーが、エピソード4以降に新たな鍵をもたらしてくれるのではと楽しみにしています。
