原題も “Steal”。イギリスの推理小説家ソティリス・ニキアスが制作者であり、メインで脚本を執筆したとのこと。彼の小説をベースにしたドラマではなさそう(調べたところでは)。
年金基金投資運用会社ロックミル・キャピタルを舞台に、前代未聞の強盗事件が起きます。
「ゲーム・オブ・スローンズ」でサンサ・スターク役だったソフィ・ターナーがメインキャストのひとり。当時10代だった彼女は、その後アメリカのシンガーであるジョー・ジョナスと結婚、二女の母となり、離婚して今や29歳。「歳をとるとこういう感じになるんだな」という感慨がありました。彼女が演じるのはロックミル・キャピタル取引処理部門の職員ザラ・ダン。
先が見えそうで見えない急展開もあるドラマで楽しめました。
導入部あらすじ
ロンドンの金融街シティ。その日、年金基金投資運用会社ロックミル・キャピタルのオフィスで取引処理を担当するザラ・ダンは、インターンのマートル・クラークを迎えていました。
不正IDカードでオフィスに入館した強盗団は、エレベーターで目的のフロアへ。銃をもって乱入した彼らは取引処理部門と投資委員会を制圧。
取引処理担当者としてザラとルークが別室に移り、責任者のルークは手渡されたUSBの情報(6件)を取引システムに読み込むよう言われます。年金基金に託された40億ポンドの資金を送金する前処理をルークが行い、投資委員会のメンバー(ジョージ・カートライト/ケイト・ショウ/マイロ・カーター・ウォルシュ)が承認。
その後、証券保管銀行に対する送信手続きを取引処理部門にて行うよう強盗団に指示され、ザラがそれを行います。証券保管銀行からのバージン諸島のウィレムスタッド信託銀行の口座への送金確認の電話にルークがなかなか対応しなかったため、業を煮やしたザラが対応。
この壮大な強盗事件の捜査を指揮するのはデメトリウス・”リス”・コヴァーチ主任警部。ギャンブル依存症の彼には返済しきれないほどの借金がありました。
“事情を知り過ぎていた強盗団” に対し、取引処理部門のメンバーたちは「内通者がいるのでは?」と噂話。それを小耳にはさんだザラは不敵な笑みを浮かべます。
一大金融機関から巨額の資金をせしめた強盗事件の真相とは?
登場人物
ロックミル・キャピタル関係者
- ザラ・ダン:ロックミル・キャピタルで取引処理を担当。ヘイリーというアルコール依存症で看護師の母がいる(ふたりは不仲)
- ルーク・セルボーン:取引処理部門責任者。なぜかよく泣いている
- マートル・クラーク:取引処理部門のインターン
- ドニー:受付担当者
- マイロ・カーター・ウォルシュ:シニアリスクアナリスト、投資委員会メンバー
- ジョージ・カートライト:最高投資責任者
- ダリア:ジョージ・カートライトの秘書
- ケイト・ショウ:リスク管理部長、投資委員会メンバー
- チオマ:取引処理部門のメンバー
- ウェイン:ザラの同僚。リスクシミュレーションシステムを管理
- ソフィア:マネージャー
警察関係者
- デメトリウス・”リス”・コヴァーチ:主任警部。強盗事件の捜査を指揮。ルーマニア系という設定のようだ
- エリー・ロイド:警部。”リス” の部下
- ダレン・ヨシダ:経済犯罪部所属の財務捜査官。かつてはシティで投資マネージャーをしていた
- ダフ・ニコルズ:警視。”リス” の上官
- アイザック:”リス” と懇意の科学捜査班みたいな人
強盗団
- ロンドン:強盗団のリーダー
- スナイパー:メンバー。本名はモーガン・トラハーン。ジェナという娘がいる
- スコッツ:メンバー
- グラス:メンバー
- バーリー:メンバー
- ヨークシャー:メンバー
- トール:メンバー
- ジュニア:メンバー
MI5(情報局保安部)
- サム・フィッチ:情報分析官
- アンナ・マックスウェル・マーティンが演じている人物:上級職員
その他
- ピーターソン:年金基金投資運用会社ロックミル・キャピタルへの郵便物&小包の配送員
- ジミー:カジノの支配人
- マット:カバン店店主。“リス” の債権者
- ステファン:“リス” の叔父
- サー・トビー・グールド:グールド・シモンズ社CEO
- ジョアンナ・スペンサー:サー・トビー・グールドの秘書
- アンドリュー・ベインズ:財務大臣
感想・メモ:内通者がわかってからが面白い
エピソード2の早々に、事件の背景事情が明らかになっていきます。取引処理部門のザラとルークは口座侵入に必要なハッキング情報提供の見返りとして暗号資産で500万ポンドを受け取ります(事前の約束では10万ポンドのはずだった)。ザラは肝が据わっていますが、ルークは小心者。ふたりの性質の違いは、それぞれの体験を異なったものにします。
警察はザラが内通者であると目星を付けます。しかしMI5(情報局保安部)は捜査不要といわんばかりの動きをします。借金まみれの “リス” 警部とロックミル・キャピタルの内通者ザラが双方の利害の一致で手を組むか/組まないか、その辺りから俄然面白くなっていきます。
- “リス” 警部 → 借金を清算したい。MI5の影響力を排除したうえで捜査で成果を挙げたい(仕事を失いたくない)
- ザラ・ダン → 裏切った内通者として強盗団 または MI5に命を狙われたくない
ふたりにとっての最適解は「事件の黒幕を暴き出し、自分たちの身の安全を確保する」ということだったようですが、足並みを揃えるようでもあり、互いに腹に一物あるようでもあり…。一枚岩というわけでもなさそう。
ところで、イギリスのドラマにはMI5やMI6がよく登場します。MI5は国内、MI6は国外を対象とするMilitary Intelligence(軍情報部)です。
そして、40億ポンドの資金の流れをまとめると次の通り。
ルーク&ザラが40億ポンドの年金基金を送金処理 → 証券保管銀行(中継)→ バージン諸島のウィレムスタッド信託銀行のグールド・シモンズ社の口座に着金 → 10分後にハッキングされ全額が消える
それに加え
財務大臣の設定した家族信託関連のオフショア口座(バージン諸島)に年金が流れていたことが発覚
ギャンブル的な変数(待てる能力/適切なタイミング/リスクと確実性/決意と胆力)が、強盗事件そのものの余白に物語を創り出していく感じ。なかなかの切れ味です。
特に役名はないようですが、MI5の上級職員を演じたアンナ・マックスウェル・マーティン。私は彼女の演技力を非常に高く評価しています。この作品でも「さすが上手いな」と思いました。
