なんとなく Deep & Heavy から Light へと向かう「ナルコス:メキシコ編」

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コロンビアを主な舞台としたメデジン・カルテル(パブロ・エスコバル)やカリ・カルテルと、コロンビア政府(軍)ならびにDEA(アメリカ麻薬取締局)との闘いを描いたのが「ナルコス」。

「ナルコス:メキシコ編」は「ナルコス」シリーズではあるものの別立てとなっています。「ナルコス:メキシコ編」はロケーションハンティング中の制作メンバーが銃殺されたり「メキシコのカルテルをドラマで取り上げるならば報復する」旨を宣言されたりで、制作が危ぶまれていました。

大まかな印象で言うと「コロンビア編」よりも「メキシコ編」は小ぶりで、「メキシコ編」のなかではシーズン1 ⇒ シーズン2 ⇒ シーズン3と順を追って Light なお話になっている気がします。

小ぶりで Light だからドラマとして劣る、ということではないのですが「コロンビア編」の醸し出す重厚感は「コロンビアの状況とそのスケール感」の DeepさとHeavyさから生まれているのではないかと思います。

[メキシコ編:シーズン1]⇒ 1980年代のグアダラハラ・カルテルを描く

  • メキシコ連邦警察出身のフェリクスが、抗争を経て多くの麻薬組織 “プラサ” を統合する
  • フェリクスはアメリカへマリファナとアヘンを輸出し巨額の利益を得る
  • コロンビアのカルテル、カリとメデジンのメキシコ経由のコカイン輸送にも関わる
  • メキシコ系のキキがDEAグアダラハラ支局に捜査官として赴任する
  • 広大なマリファナ畑を壊滅させた報復としてキキは誘拐され拷問・殺害される ⇒ これがアメリカを激怒させ、カルテルへの徹底抗戦へと転じたことから、以降はDEAの人間をカルテルが殺害することはなくなったと「ナルコス(コロンビア編)」で語られている
  • キキの妻やDEAの上司がアメリカ・メキシコ両政府を動かし、幹部のドン・ネトやラファは逮捕されるがフェリクスは免れる
  • キキの死によってDEAは指揮官ウォルトと彼の部下たちをメキシコに派遣、レジェンダ作戦を開始する

フェリックス役 ⇒ ディエゴ・ルナ

ディエゴが貧相なせいか、カルテルのリーダーとしての重みに欠ける(本物のフェリクスのほうが大柄で、ずっと風格がある)。それが「コロンビア編」に比較しての “小ぶり感” につながっているように思ってしまう。ディエゴはかつて「ターミナル」というトム・ハンクス主演の映画で、機内食を担当する空港職員を演じていた。ああいう軽い役のほうが合うかもね

キキ役 ⇒ マイケル・ペーニャ

「キキ役がマイケル・ペーニャじゃな↓」的コメントをネット上で散見するが、私は「この人でよろしいのでは」と思う。演じている役者が誰かということより、あんな拷問に晒されたキキさんを心から気の毒に思う。そういう壮絶なシーンがあるので、3シーズンのなかではシーズン1が最も Deep で Heavy に感じる

[メキシコ編:シーズン2]⇒ DEAのレジェンダ作戦からフェリクス逮捕までを描く

  • キキ殺害の報復のためDEAはレジェンダ作戦を実行、指揮官ウォルトは殺害犯を探し出す。国防大臣の甥を逮捕するも、政治的判断から米国務省によって捜査は終結となる
  • 米サンディエゴに接するティフアナ・カルテルの縄張りを通過するにあたり、フェリクスがシナロア・カルテルに税を課す。シナロアのエル・チャポは税を逃れるためトンネルを掘り始める ⇒ エル・チャポのトンネル掘りは有名
  • フェリクスは部下に命じてコロンビアのカリ・カルテルのコカインをアメリカに空輸。DEAは飛行機に追跡装置をつけるが裏をかかれて失敗。ウォルトは左遷される
  • フェリクスに反発したティフアナ、シナロア、フアレスの各カルテルは連合から脱退
  • カリ・カルテルの麻薬輸送は、フェリクスの元部下アマドが仕切るフアレス・カルテルが請け負うようになる
  • 汚職追放を公約し幅広い層から支持を受けたカルロス・サリナス・デ・ゴルタリが大統領となったことからメキシコ政府からも見切られ、フェリクスは逮捕される。その陰には、アメリカとメキシコの貿易に関する目論見もあった
  • 将来的に密売人の頂点に立つのはフアレス・カルテルのアマドであることを、獄中のフェリクスはDEAのウォルトに対して語る

ウォルト役 ⇒ スクート・マクネイリー

この人はいろんな役を上手にこなす。たまたまであるが、私の観た映画「アルゴ」では在イランのアメリカ大使館員、ドラマ「FARGO/ファーゴ(シーズン3)」では保護観察下にあるドラッグ中毒者と、外国に関わる仕事、ドラッグ関係者という点が共通している

[メキシコ編:シーズン3(最終シーズン)]⇒ フェリクス逮捕後、激化するカルテルの麻薬戦争を描く

  • DEA捜査官ウォルトは米エルパソ支局に勤務しており、フアレス・カルテルや指導者アマドの動きを注視している
  • フェリクス逮捕後、各カルテルは自分の縄張りでビジネスをしている。獄中のフェリクスの予想通り、隆盛を極めるティフアナと最下位シナロアの間に不穏な空気が漂う。フアレス・カルテルは独自の体制で暗躍し、アマドは麻薬王となる
  • 警官ビクトルはフアレス・カルテルの一味としてお金を稼いでいた ⇒ 当時アメリカのテキサス州エルパソの警官の月収は残業代抜きで約2000ドル。ひとつ橋を渡ったところにあるメキシコのチワワ州フアレスは150ドルだった。DEAに弱みを握られ、フアレス・カルテルのリーダー、アマド逮捕に向けて協力することになる
  • 若手記者アンドレアはティフアナ・カルテルを取材しているうちに、政治家ハンクとの関係等を知る ⇒ シーズン3の女性ナレーションはアンドレア
  • アマドは政治家ハンクへ土地に関する便宜を図ることで、フアレス・カルテルへの見返りを求める。カリ・カルテルと手を組むようにも図る
  • メキシコ政府は軍のレボジョ将軍に、抗争に明け暮れるティフアナとシナロア両カルテルの撲滅作戦を任せるが、彼もまた清廉潔白な人間ではなかった
  • ティフアナ・カルテルとの抗争の後、捕らえられたエル・チャポは刑務所内からシナロアを指揮する ⇒ 後の脱獄へとつながっていく

麻薬ものの謎「あなたたち、自分勝手ね」

  • 麻薬王やマフィアの母親は、真っ黒黒ゆえに逃走する息子に「神のご加護を」「神があなたを守ってくださる」と言う。なぜ神が守ってくれると思うのだろうか?神のあり方は、人間の行いの善悪によって変わるものではないらしい
  • マフィア/ナルコス(売人)/警官は虫けらのように人を撃ち殺すが、自分の家族が同じ目に遭うとひどく嘆き悲しむ。自分はしてもOKだが、他者がするのはNGという手の平返し的な態度の違いはなぜ?
  • 麻薬捜査官(DEA)は、CIAエージェント同様に家族の都合よりも職務上の都合を優先する。家庭を優先するアメリカ人らしくない。家族も大変である

すべて実話ベースなので、テーマを同じくする他の映画やドラマと符合するところが多いのは当たり前ですが、メキシコ麻薬戦争の顛末を見るにつけ、政治家/軍部/警察/マフィアの巣食いあいの闇深さを感じます。そこまで来ると、どこから “もつれ“ を解いていったらいいかが分かりません。

後に脱獄王として名を馳せるエル・チャポが、自らの職業を「農夫」と語り、ティフアナ・カルテルとの抗争までは無名に近い存在であったというのも興味深い事実です。思わぬことがきっかけで頭角や才覚を現す人もいるのだなと。そういうのも運命のひとつなのでしょうね。

ドラマ「ナルコス」にみる麻薬カルテルの壮絶な「地の仕事」
コロンビアを主な舞台とした、アメリカ合衆国に麻薬を供給する麻薬カルテルとアメリカから派遣された麻薬取締捜査官たち(DEA)との戦いを実話に基づいて描いています。非常に見ごたえがあります。
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