インドのドラマ「サタジット・レイの世界」を気に入る人とは…

スポンサーリンク

このところ立て続けにインドのドラマを観ました。ひとつインドの作品を視聴すると次の候補の数々が提示されます。“ボリウッド” という言葉があるくらいですから、インドが世界に送り出した作品数は想像以上に多いのかもしれません。

インドのドラマって「どれもまずまず」ですよね。突出して素晴らしいものがたくさんあるわけではありませんが “作品として終わっている” ものも少ないです。エンタメのツボを心得ているのかもしれません。私は “北欧ノワール” と呼ばれるジャンルが好きです。そしてインドのドラマを観て「これって “インドノワール” だよな」と思うことがしばしばあります。 “北欧ノワール” をインドでやったら、こういう感じになるんだろうな、というものが結構あるのです。

「どれもまずまず」なので “ブログに書いても書かなくてもどっちでもいいや” レベルのものが多くなるのが必然。そんななか「これは面白い!」と思ったのがドラマ「サタジット・レイの世界」です。サタジット・レイによる4つの短編小説をベースにしていて原題は “X-Ray: Selected Satyajit Shorts” です。最近ではなく以前視聴した作品。

同氏は「インドの映画監督、脚本家、作曲家、小説家、カリグラファー、イラストレーター」で多才な人のようですが1992年に他界しています。各分野に功績を残していますが、偉大過ぎるがために略歴も長すぎて読んでいるうちに眠気を催しました。

「サタジット・レイの世界」は面白く、私の勘ではドラマシリーズ「ブラック・ミラー」や映画「バスターのバラード」辺りが好きな方に向いているのではないかと思います。

「ブラック・ミラー」のように近未来のテクノロジーを扱ってはいません。でもインド的スピリチュアル(すなわちファンタジー)やサイコスリラーの要素があります。「バスターのバラード」ほどには “視聴後に放り出された感” はありませんが悲喜こもごもなアンソロジーであり、視点によって見え方が異なるヒューマンドラマという点が同じです。

そして「サタジット・レイの世界」は映像や構図にこだわりや美しさが溢れている作品です。同氏は1992年に亡くなっていますので制作陣(美術監督等)の成果と思われます。

4つの短編ドラマの概要

私は「勿忘草(わすれなぐさ)」⇒「騒ぐほどのことじゃない」⇒「なりすまし」⇒「スポットライト」の順で好きです。好きな作品から紹介していきます。

勿忘草(わすれなぐさ)

有能なビジネスマンでありクリサリス(企業)の共同経営者、切れ味のよさゆえに非情なところもあるイプシット・アマ・ナイア。「何ひとつ忘れることのない頭脳をもった男」でしたが、どうにも思い出せない女性が人生に現われたことをきっかけに、どうしても思い出せないことが増えていきます。彼の精神は徐々に追い込まれていきます。

なぜこの作品が一番好きかというと、恐らくわかりやすいこと、次々に起きる出来事が観る者を飽きさせないことが理由と思います。完璧に見える人間の精神の意外な脆さに惹きつけられます。

騒ぐほどのことじゃない

iMDbのレーティングを見ると、海外では「勿忘草(わすれなぐさ)」よりも「騒ぐほどのことじゃない」のほうが評価が高いようですね。それも理解できます。

人気歌手ムサフィール・アリはクレプトマニア(窃盗症)。歌手ではなかった10年前、列車のコンパートメントで出会ったスポーツジャーナリストのアスラム・ベーグから幸運の時計を盗んでいました。ある日、乗車した列車でアスラム・ベーグに再会したムサフィール・アリは過去の罪のつぐないをしようとします。

よくある因果応報、善因善果のような結末ではなくオチが面白いです。またシーンの作り方がファンタジックで舞台作品のようでもあり、コミカルな点も魅力。ムサフィール・アリ役マノジ・バジパイの演技が観る者を魅了します。

なりすまし

メイクアップアーティストのインドラシシュ・シャハは、献身的に身辺の世話をしてきた祖母から遺産と特殊メイクの世界を受け継ぎます。気弱な彼は、祖母の遺した技術とパーツを駆使することでマスクを作り、いろんな人物になりすますことを始めます。

彼は少しずつ大胆になっていき、顔を見ただけでその人物の秘密を言い当てるサイキックのグル、ピール・ババを訪れます。ババは過去を知るだけでなく未来を変える奇跡を起こすとされていました。

古い建造物が美しくグルも登場。異国の人間からするとわかりやすくインドらしい作品でもあります。

スポットライト

美しい顔をもつ俳優ヴィク。売れっ子ですが顔だけが評価されることに悩んでいます。どの作品でも見た目が同じ、演技に幅がないと指摘されています。一方、誰もが心酔するスピリチュアルリーダーのディディ。奇跡を求める人たちが、視線で何でも解決すると言われる彼女の元へやってきます。

ヴィクはかつてマドンナが宿泊したホテルの部屋に無理を言って泊まっていましたが、ディディがやってきたため別のスイートルームをあてがわれます。ディディの登場により、彼は何かとないがしろにされます。ヴィクはカリスマのディディに反発を覚えますが…。

ヴィクに対して「美しい完璧な容姿」という言葉があまりにも連発されるので「インドではこういう顔が破たんがなく美しいとされるのか」とストーリーよりもそちらに気を取られてしまいました(実際、美しい顔だとは思うのですが。演じているハーシュヴァルダン・カプールは身長171センチ。派手な顔立ちからイメージする高身長ではないのが意外。元から俳優だったわけでなく製作スタッフとして助監督をしていたようです)。

ディディもカリスマのわりには眼力がない気がしました(「カリスマも普通の女性」であることを表現するために、あえてそうしているのか “いたって普通のお姉さん” )。「なりすまし」のピール・ババのほうがホンモノっぽいです。

カリスマを助けることで俳優が覚醒する物語なのかなあと思いますが、今ひとつ意図がわからない作品でした。

旅行は人生の大きな喜び(^^)v
ランキングに参加しています。
応援をお願いいたします。
↓  ↓  ↓
にほんブログ村 旅行ブログへ
にほんブログ村