弁護士と言えば「ベター・コール・ソウル」以外にも面白いドラマがあります。「弁護士ビリー・マクブライド(原題:Goliath)」です。原題は「ゴリアテ」。日本の人たちに馴染みのない旧約聖書にちなんでいるからか、ゴリラの親戚みたいな響きだからか、日本では「弁護士ビリー・マクブライド」というタイトルになっています。
ビリー・マクブライドを演じるビリー・ボブ・ソーントンは、アンジェリーナ・ジョリーの元夫で6回の結婚歴があります。私にとってはドラマ「FARGO/ファーゴ」シーズン1の不気味な殺し屋役の印象が強い俳優です(ドラマ「FARGO/ファーゴ」シーズン1~2は面白いので是非見てください。シーズン3は私としては微妙な評価)。
こんな感じでドラマは始まる
「弁護士ビリー・マクブライド」というドラマ、まずは使われている音楽がとてもいいです。いつも「これは何という曲なのだろう?」と思います。オープニングには “The Silent Comedy” の “Bartholomew” という曲が使われています。
風景もオープンで伸びやかであり、撮影の多くは、カリフォルニア州サンタモニカ市で行われており、作中でもサンタモニカという地名に言及しています。「弁護士ビリー・マクブライド」をWikipediaで見ると「ロサンゼルスが舞台」と書かれていました。サンタモニカ市はロサンゼルス市/郡に近いものの「ロサンゼルス」と一括りにするのが一般的かどうかは分かりません。
そしてテンションは低め、今や関心をもつ対象も、彼に関心をもつ人も少なく、日々若干の楽しみをもちつつ、道端で残飯をやりながら犬に語り掛け、海辺の街でスローペースで生きているだけに見える初老のおじさん、ビリー・マクブライド。大手弁護士事務所を立ち上げたという過去の栄光も、弁護士としての爪も影を潜めているロートル。今ある弁護の仕事に対しても「一応やることやってるつもりなんで、これでよしとしてください」という姿勢です。
弁護士ビリーが引き受けた案件とは
そんなビリー・マクブライドのところに持ち込まれたボーンズ・テック社にまつわる案件。ボーンズ・テック社は、かつて彼とクーパーマンが立ち上げた巨大な弁護士事務所クーパーマン・マクブライドの大口顧客です。当初は関わるつもりがなかったにも関わらず、不審な自殺を遂げたライアン・ラーソンの姉レイチェルと一夜を共にしたことから、ボーンズ・テック社を相手取った訴訟を引き受けることになります。ライアンは勤務するボーンズ・テック社所有のボートで爆発により死んでおり、自殺とされました。同社は爆弾の製造も行っています。
弁護士ビリーに最初に話をもちかけた不動差業者で弁護士のパティ(ライアン・ラーソンの姉レイチェルの友人)、ビリーの友人の娼婦ブリタニー、新たに秘書として雇われたマーヴァらと協力しながら訴訟準備を進めます。
ビリーの別れた妻ミシェルはパートナー弁護士として、今もクーパーマン・マクブライドに勤務しています。娘デニスは高校生で普段は母ミシェルと暮らしていますが、父ビリーの元をしばしば訪れます。
ボーンズ・テック社に対して訴訟を起こすことを決めた時点から、弁護士ビリーは各種の妨害・いやがらせに遭います。クーパーマンは、かつて一緒にクーパーマン・マクブライドを立ち上げたビリーのことをとても憎んでいます。
クーパーマンは、幹部弁護士のキャリーと吃音症の若手弁護士ルーシーにボーンズ・テック社に関わる訴訟を任せます。連邦裁判所は一旦請求棄却としたものの、州裁判所が再審を決定。その後、判事に棄却されますが、ビリーの法廷侮辱罪の審理という形で裁判が続くことになります。それはビリーを憎むクーパーマンにとっては不利な展開でした。裁判所からの帰り道、自殺したとされるライアン・ラーソンの姉であるレイチェルが、車にはねられて命を落とします。
ボーンズ・テック社経営者から同社の法律顧問レナードに対し、死んだラーソンには隠された特別な任務があったことが匂わされます。
ライアン・ラーソンの息子ジェイソンは弁護士ビリーへ連絡を取り、その後の法廷で、パティをボーンズ・テック社を相手取った訴訟の後見人、ジミーを訴訟の代理人として認めることが判事から告げられます。パティはライアンの死を巡る訴訟によってボーンズ・テック社から和解金を手に入れることを望んでいます。ビリーは異なる考えをもっているようで和解案を退けます。
周辺の動き、事件の真相は
情報屋カール・ストルツによって、ビリーが麻薬密売を裏で仕切っているという誤情報を、意図的にDEA(麻薬取締局)へと流されます。彼はクーパーマンとの間に、何かつながりがありそうです。
ライアンの乗った船の爆発により、船とは異なるプラスチック破片が飛び散ったことについて、ビリーはボーンズ・テック社を退職した者から情報を集めます。
弁護士ルーシーは経営者クーパーマンに気に入られ、若手でありながら、ビリーたちとの訴訟の主任代理人に指名されて、初めての証言録取に臨みます。一方、ジェイソンの証言をもとに、ビリーらが家の近くを掘り起こすと、船の爆発で死んだ父ライアンと息子ジェイソンがかつて埋めたカプセルには、想像もしなかったものが入っていました。
さて巨大な弁護士事務所クーパーマン・マクブライド(ボーンズ・テック社の代理人)、そしてビリー&パティの超小規模零細弁護士グループ(遺児ジェイソン・ラーソンの代理人)、勝利するのはどちらでしょうか。
裁判の攻防は拮抗していましたが、ボーンズ・テック社のCEOウェンデル・コーリーを召喚しての質問から判明した事実により、クーパーマンは重要な局面に立たされます。次にビリーは、クーパーマンを召喚し、情報屋カール・ストルツとのつながりを追求しますが、極度のストレスのためかクーパーマンは法廷で倒れます。
その後も、クーパーマン不在で審理が続けられます。娼婦ブリタニーは、クーパーマン・マクブライド側の証人として、ビリーに不利な証言します。そして評決が出ます。ボーンズ・テック社のCEOウェンデル・コーリーは原告側代理人のビリーに交渉をもちかけますが、想定外の展開が待っていました。