デカダンな歴史スリラードラマ「バビロン・ベルリン」シーズン3

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シーズン1・2はコチラ(↓)。

デカダンな歴史スリラードラマ「バビロン・ベルリン」シーズン1
フォルカー・クッチャーによる小説「ベルリン警視庁殺人課ゲレオン・ラート警部」シリーズが原作。ヨーロッパで大ヒットしました。
デカダンな歴史スリラードラマ「バビロン・ベルリン」シーズン2
フォルカー・クッチャーによる小説「ベルリン警視庁殺人課ゲレオン・ラート警部」シリーズのドラマ化。非常に面白い作品です。

シーズン1・2は各8エピソード。シーズン3は12エピソードあります。

「アルメニア人」エドガー・カサビアンの仲間であるヴァルター・ヴァイントラウブが刑務所を出所。シーズン1~2ではまったく触れられていなかったのですが、エドガーにはエスターという元女優の妻がいてヴァルターと不倫関係にあったようです。

ポツダムの映画撮影所で撮影中に照明機材が落下、主演女優のベティ・ヴィンターが死亡します。ゲレオン警部ら殺人課が捜査を担当します。「アルメニア人」エドガーはその映画に投資していたことから、彼らも撮影所へ向かいます。保険金によって投資資金を回収するため、エドガーたちは殺人事件ではなく偶発的な事故として処理されることを望みます。しかし警察は殺人事件であると考えます。

シーズン3の主要な人物

物語の舞台から去る者あり、新たにやってくる者あり。主要な人物が増えてきたのでシーズン1・2よりも詳細に整理しました。

シーズン1からレギュラー的ポジションにある人たち

シャルロッテ・リッター:殺人課の刑事助手になったものの刑事になるための試験は不合格。妹トニとともにルームシェアの生活を始める。姉イルゼの目の手術代を稼ぐ必要が生じる。亡き母に愛人がいたことが判明。シャルロッテの父はその人物であることが示唆される

グレータ・オーバーベック:アウグスト・ベンダと彼の娘マーゴットを殺害した罪で収監されている。「共産主義者にそそのかされた」と口裏を合わせるようヴェント行政長官に強いられる。刑務所で共産党員のフェルカー医師に痛い目に遭わされる(フェルカー医師を演じるのはヨルディス・トリーベル。ドラマ「ダーク」で鉄拳校長カタリーナ・ニールセン役だった人。どちらも身内には優しいが女番長キャラ)

ゲレオン・ラート:引き続きベルリン警察殺人課の警部。センスがあり、やる気十分であるにも関わらず、女性ゆえに評価されないシャルロッテを引き立てる。シュミット医師に「ジークフリート」と呼ばれ、ラジオを通じた公開カウンセリングセッションを受ける。兄アンノーとの間に起きたことを思い出したことにより、ヘルガとの関係性に陰りが生まれる

「アルメニア人」エドガー・カサビアン:ギャングの親玉。シーズン1・2では微塵も触れられていなかったが元女優の妻がおり、映画ビジネスにも手を出していることが判明。「モカ・エフティ」は爆破され営業不可能な状態に、借金までして投資した映画作品の主役ベティは死に、妻は相棒と不倫…と散々な目に遭う

非合法な軍事組織「黒い国防軍」:ワイマール共和国政府をひっくりかえそうと目論む右翼組織。軍人が多く属している。クルト・ゼーガースもメンバーのひとり。シーズン3では「黒い国防軍」は表立った動きをせず、「国家社会主義党」の動きがクローズアップされる

アルフレッド・ニッセン:ゲレオン警部の兄嫁ヘルガ(シーズン2よりゲレオンの妻)に財政援助したことが縁で彼女と親しくなる。株式市場の崩壊を予想し空売りで大儲けする。“投資で大金を手にするのは結局金持ち” というよい事例。双極性障害で気分の浮き沈みが激しい

シーズン1・2にちらほら出ていた人たち

ギュンター・ヴェーント大佐:アウグスト・ベンダのあとを引き継いで行政長官となる。グレータの犯罪を「共産主義者にそそのかされた」体にしようとする。「血のメーデー事件」の責任を取って辞任するよう警視総監に迫る。「黒い国防軍」のメンバーだが権勢欲が旺盛で、ほかに先んじようと腹黒い動きをする

ヴィルヘルム・ベーム:ベルリン警察殺人課の上級警部。先のシーズンからの続投だが、人間的な魅力が感じられず印象に残っていなかった。妻子にだけは温かいことがシーズン3で判明

サミュエル・カテルバッハ:ゲレオン警部と知り合いのジャーナリスト。ユダヤ人。シーズン3でもスクープを執筆するが、命を狙われる

シュミット医師:精神分析医。暗示療法や心理カウンセリングをしているが真の目的が謎な人。土星同胞団の集会で儀式を司る。犯罪テレパシーで警察に情報を提供する

ホースト・ケスラー:シーズン2までは “オットー” と名乗っていた。グレータを騙した男 “フリッツ(本名:リヒャルト・ペヒトマン)” とともに共産党員を装っていたが実際には突撃隊(⇒ 国民社会主義ドイツ労働者党(ナチス)の準軍事組織)のメンバー

エリーザベト・ベーンケ:下宿の女主人。死んだ夫はヴォルター上級警部(シーズン2で死亡)と軍隊で同僚だった。頼りがいのある面があり、ゲレオン警部やカテルバッハを随所で助ける

シーズン2より登場した人たち

エルンスト・ゲナート:ベルリン警察殺人課課長で警視。報告順序や役割遵守に口うるさいが、不遇な若者だったグレーフが警察カメラマンになるのを手助けした。愛称は “ブッダ”

レオポルト・ウルリヒ:ベルリン警察記録課の課長で分析官。刑事への昇格試験でシャルロッテを不公平に扱う。シーズン2では「ほぼ空気」だったがシーズン3では頻出

ヘルガ・ラート:新しい夫ゲレオンとの間に隙間風が吹き、実業家アルフレッド・ニッセンになびく。ニッセンの厚意によりラインゴールドホテルで暮らす。その後、妊娠が判明する

モーリツ・ラート:シーズン2では12歳設定。シーズン3では14歳、ゲレオンより高い身長にまで成長している(ゲレオン役フォルカー・ブルッフは身長173㎝)。継父ゲレオンも母ヘルガも自分たちのことで精一杯。拠り所を求めてヒトラーユーゲント(ナチスのイデオロギーに基づく青少年団体)のメンバーとなる

シーズン3より登場した人たち

ヴァルター・ヴァイントラウブ:エドガーの相棒。脱税で1年服役して出所。エドガーの妻エスターを愛している

エスター・カサビアン(コルダ):元女優。エドガーの妻。彼よりかなり年上に見える。不思議系のおぱちゃん。エドガーと釣り合っていないと感じるのだが、なぜこの人(リビー・ブライエン)をエスター役に選んだのだろう

ベルマン:映画のプロデューサー。資金を回収したいスポンサー(エドガーとヴァルター)に映画を完成させるよう脅される

フェーリクス・クレンピン:照明技師。ゲレオン警部に逮捕されるが口封じで何者かに殺される

ティリー・ブルックス:ベティの代役に選ばれるが何者かに殺害される

ヴェラ・ローマン:ダンサーでシャルロッテの旧友。ヴァルター・ヴァイントラウブに枕営業を仕掛けたがティリーに役を奪われる。その後、チャンスを得る

トリスタン・ロート:死んだベティの夫で俳優。優男で顔色が悪くドラキュラ伯爵のよう。土星同胞団(正式の設立は1928年、ベルリンにて。実在の組織でありセレマの法を適用。後にナチスによって弾圧されるが第二次大戦後に活動再開)に傾倒

ハンス・リッテン:共産党を支援するユダヤ人弁護士。シャルロッテに依頼され、死刑判決を受けたグレータの弁護を引き受ける

マリー=ルイーゼ・ゼーガース:国防軍クルト・ゼーガース大将の娘。共産党員の法学生。親を反面教師として自らの道を進む。リッテン弁護士事務所でデスクワークを手伝っている

シーズン3の見どころ

私はシーズン4をまだ視聴していないので言いますが、シーズン4への期待をものすごく煽るかたちでシーズン3は終了します。シーズン4以降の布石としてシーズン1・2・3を準備したのかも、とすら思える終わり方です。ゲレオン警部がどのような変容・変貌を遂げるのか、シュミット医師が何を目論んでいるかが特に気になります。

シーズン3に話を戻しましょう。その特徴を挙げてみます。

〔その1〕ドイツの神秘主義を取り上げている

土星同胞団は薔薇十字会やアレイスター・クロウリーの流れを汲んだ秘密結社。カバラやタロットではなく、占星術とルシファーの教えを重視したのが特徴です(“ルシファーの教え” とは言いますが、ルシファーってどこにいるんですかね?)。

土星同胞団は後にナチスによって弾圧されました。ナチスにも好んだオカルトの世界があったはずなので両者には相容れないものがあったのでしょう。

当時のドイツには神秘主義やオカルトとの親和性があり、それが「バビロン・ベルリン」においても取り上げられたことになります。

〔その2〕当時の精神分析界がオカルトちっくだったことを伝えている

「無意識」の領域を探求したフロイトはオーストリア人、「深層心理」「集合的無意識」「神話」などを研究し「原型論」を書いたユングはスイス人。このドラマと同時代に活躍した精神科医たちです。

フロイトやユングは臨床心理学に貢献しましたが、オカルトの世界との親和性の高かった人たち。1920年代はドイツでも精神分析において臨床心理学の影響が拡大した時期です。

「バビロン・ベルリン」ではシュミットという謎の精神分析医が、人々の精神とオカルトをつなげる人物として暗躍します。土星同胞団の儀式を司ることもあれば、犯罪テレパシーで得た情報を警察に提供もするし、トラウマやPTSDに苦しむ人たちの治療にもあたります。

〔その3〕相変わらずゲレオン警部やシャルロッテがタフで不死身

彼らはシーズン2でもタフで不死身でした。シーズン3でもやはりタフで不死身です。大量のインシュリンを注射されたり犯罪者たちと格闘したり大怪我をしたり、普通の人間だったらさっくり死ぬような場面を経て生還します。その後、割と早々に職場へ復帰します。

フィクションなのでお約束なのかもしれませんが、凡人にはアンビリーバブルな世界です。

とはいえ、繰り返し訪れる危機一髪なシーンできちんとハラハラさせてもらえるので、作り手の手腕はなかなかのものです。

〔その4〕シーズン1の伏線を回収する

ほとんど忘却の彼方にあったシーズン1の伏線がシーズン3で回収されます。そんなことがあったことなど私は忘れていましたが、ほとんどの視聴者が同様であるに違いないと思っています。

〔その5〕ゲレオン警部と刑事助手シャルロッテが接近する

前々から「このふたりの間に新たな関係性が生まれるのかな」と思ってはいたものの、大きな展開はありませんでした。シーズン3では多少手ごたえのある出来事が起きます。

シャルロッテって正統派美人とは思わないのですが、とっても可愛いですよね。

シーズン4は既にリリースされているので、Amazonプライムビデオでも早く公開してほしいです。

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