大人好みの外交ドラマ「ザ・ディプロマット」(シーズン4)

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「ザ・ディプロマット」のシーズン4が公開されました。

外交視点からの諜報ものードラマ「ザ・ディプロマット」(シーズン1)
ベテラン外交官のケイトが駐英大使に任命され、やはり有能な外交官である夫ハルに振り回されながらも国際問題において手腕を発揮していきます。
爆破事件の黒幕は誰?-ドラマ「ザ・ディプロマット」(シーズン2)
駐英米国大使ケイト・ワイラーとその夫ハル。不協和音と大事件に巻き込まれながらも彼らなりの外交活動を展開していきます。
国際政治とパートナーシップのせめぎ合いードラマ「ザ・ディプロマット」(シーズン3)
大統領が突然の死を迎え、アメリカ政府は新体制を求められます。ハルとケイトの関係性にも決定的な変化が訪れます。

[これまでの流れ]

  • イギリスの空母カレイジャスがイラン沖で爆発。多数のイギリス海軍兵が死亡する
  • 空母爆発の悲劇にイランの関与が疑われたが実は無関係で、英トロウブリッジ首相の元ブレーン(保守党の元キャンペーンマネージャー)メグ(マーガレット)・ロイリン& 米副大統領グレース・ペンの噛んだ偽旗作戦だった(アメリカ大統領首席補佐官ビリー・アッピアはシーズン1で副大統領の辞任が近いと予想していたが、彼女の挙動にきな臭いものを感じていたのかもしれない)
  • 英トロウブリッジ首相は「空母爆発はロシアの仕業」と主張
  • ウイリアム・レイバーン米大統領が急逝。副大統領グレース・ペンが大統領に繰り上がる。彼女は副大統領にハルを指名
  • ケイトの提案で「偽旗作戦は故レイバーン大統領の指示によるものである」と濡れ衣を着せるアメリカ(死人に口なし)
  • その後、英国沿岸に機能停止したロシアの潜水艦が沈んでいることが判明。艦内に終末(核)兵器ポセイドンを積んでいると考えられた
  • 英トロウブリッジ首相は中国と協力して自国領海に留まっているロシアの潜水艦を調査しようと考える
  • アメリカとしてはイギリスが中国と組む事態を阻止したい。したがって潜水艦への対処協力を申し出る。いっぽうのイギリスは(真実ではないが)故レイバーン大統領による偽旗作戦のこともあって、アメリカを信用できなくなっている
  • イギリス側のブレーンかつケイトの一時的な恋人だったカラム・エリスは、潜水艦周辺の放射線量が62%減ったことを知り、ポセイドンは既に潜水艦内に存在しないことを理解する
  • 実はとうの昔に米大統領グレース・ペンと副大統領ハルの指示によって終末(核)兵器ポセイドンは持ち去られていた(潜水艦はそのまま)。イギリスはその事実をまだ知らないが、米大統領と副大統領の素振りからケイトはそれを察知する

このドラマって、どちらかというと大人好みの内容なのではないでしょうか。政治家やそのスタッフ、官僚たちが厳しい顔つきで舌戦を繰り広げているシーンが多く、特にケイトは眉間にシワ、強い口調による説得と主張、相手を納得させる言い回しを駆使する姿が目立ちます。

評価の高いドラマですが、そういったところに面白さを感じられない人向きではない作品かもしれません。

国際政治や国際世論を前に、日本の政治家の外交下手を感じる身としては「誰に向けて、どういうメッセージをどのような演出で放つか」「どんな印象形成が、どんな未来を呼び込むか」といったことに全身全霊をかけて苦慮する国際外交のサンプルとして参考になり、興味深くもあります(深い理解には至っていません)。

導入部あらすじ

駐英大使ケイトと副大統領ハル、大統領ペン夫妻はワシントンDCへ戻るためにヒースロー空港へ向かっていました。しかしデモ隊による騒動により、ウィンザー城に立ち寄ることとなります。

偽旗作戦は同盟国アメリカによる裏切りと受け止められ、イギリス国民の反発は相当なものでした。

大統領&副大統領が力を合わせたときに生まれる企みの暴走をケイトは懸念。夫でもあるハルとはたびたび議論が過熱し、修復に向かおうとしていた夫婦関係を揺るがします。

その後、再び空港に向かう直前、米大統領グレース・ペンは狙撃されて負傷。米空母へと緊急搬送されます。一時的に副大統領ハルが権限を委譲されますが、彼女は徐々に快復。再び大統領として指揮を執ります。

イギリスの不信感を挽回すべく、機能停止して英国沿岸に留まっているロシア潜水艦(ポセイドン積載)に対する対処をアメリカは申し出ます。しかし核兵器ポセイドンについては大統領とハルの計らいにより、既に持ち去られていました。その行為は同盟国による無断の領海侵犯にあたります。自国潜水艦からポセイドンが許可なく持ち去られたことをロシアが知ったら、領海権をもつイギリスを非難すると考えられました。

大統領グレース・ペンは、夫トッドの立ち位置が中途半端であり居心地の悪さを感じていたことから、彼に特使というポジションを与えます。それがケイトらの外交政策に影響を与えます。

登場人物

アメリカ側の人たち

アメリカ人とは限りません(公邸関係者など)。

これまでのシーズンで既に登場

  • ケイト・ワイラー: ベテランのアメリカ外交官。シーズン4でも駐英大使
  • ハル・ワイラー: 新しい副大統領。基本的にはワシントンDCが拠点
  • ウイリアム・レイバーン: 故人。汚名を着せられたアメリカ前大統領
  • ビリー・アッピア: アメリカ大統領首席補佐官
  • グレース・ペン:新しい大統領
  • トッド・ペン:グレースの夫。中途半端な立ち位置だったため、妻の計らいで駐英米国特別使節(特使)というポジションを得る
  • ノラ・コリエム:副大統領首席補佐官
  • スレッシュ・メノン:大統領のスタッフ
  • スチュワート・ヘイフォード: 在英アメリカ大使館の首席公使。ケイトの補佐役
  • ニール・バロー:スチュワートの元で働いている
  • ミゲル・ギャノン:国務長官。ケイトの上司にあたる
  • エイドラ・パーク: CIA支局長。スチュワートとは微妙な関係が続く
  • ハワード: CIA職員
  • フランシス・マニング: アメリカ大使公邸の管理責任者。公邸ではほかにペンシーが世話係として働いている

新たに登場した人たち

  • マーカス・フェルストーン:大統領のスタッフ
  • サシャ:大統領執務室の内装担当者

イギリス側の人たち

これまでのシーズンで既に登場

  • ニコル・トロウブリッジ: イギリスの首相。感情的であり、自己愛性パーソナリティ障害の傾向がある。妻はリディア
  • オースティン・デニソン: イギリスの外務大臣。妻はテマ
  • メグ(マーガレット)・ロイリン: トロウブリッジ首相の元ブレーン。首相の超自我的存在になっている
  • トム・リビー:MI6長官。本シーズンも引き続き登場。CIA局長のエイドラと情報交換をしている
  • ノーラン・グリーン:気候・環境・エネルギー担当大臣。潜水艦埋設に関してアメリカと交渉するメンバーの一員
  • カラム・エリス:ロシアと通じており、機密にも詳しい。かつて労働党政権で外交を担当
  • フィリッパ・ペンバートン:MI5長官

新たに登場した人たち

  • フィッツウィリアム:ウィンザー城長官の将軍
  • ジェローム・ホーク:イギリス外務省の人
  • ロビン・パーマー:運輸省出身の次官補。オースティン・デニソンの後釜として、後に外務大臣となる
  • ベサン・ヴォーン:新首相。国際主義者(国境を越えた協力と相互理解を重視する立場をとる人/国があることを前提とした協調主義という点でグローバリストとは異なる)で賢いという評判

イタリアG7の関係者

  • クロード・デュマ:フランスの大統領
  • マッシモ・バッサーニ:イタリアの首相
  • ロルフ(リッキー):ドイツ代表団のメンバーを装ってケイトを誘い出すMI6の男
  • 瀬戸ゲン:日本の首相

感想・メモ

現実のアメリカを見ていても「あの大統領についていくのは大変だろうな」と思うことが多々あります(実際のところ、スタッフの辞任や解任もしばしば)。

何がしかの動機や信念において大統領の考えと被るところがないと、従う者としてストレスだらけの日々が続きます。私だったら3日もたない気がします。

偽旗作戦を裏で手引きしていた当時の副大統領グレース・ペンの責任を、ケイトの発案で突然死したレイバーン大統領におっ被せたことにより、彼女は大統領として延命することとなり、強引で非現実的な方針をゴリ押しし、周囲の反対を押し切って先へ進むことを強いるようになっていきます。

ケイト(駐英大使)、ビリー(大統領首席補佐官)、ミゲル(国務長官)らは耐えがたきを耐え、忍び難きを忍んでグレース・ペン大統領に仕えてきたわけですが、スチュワート・ヘイフォード首席公使による異議公電(=政府や官庁、外交に対する反対表明)を適正に扱うことなく、大統領が彼に対してワシントンDCへの召還を命じたことが決定打となり、部下たちは彼女のもとから立ち去ることを意思表示。大統領の言動や行動は信頼回復不可能な一線を越えたのでしょう。

このドラマは登場人物たちの発言をきちんと聴いていないと、ストーリーの流れを理解できないので「やや大人向き」。

評価の高いドラマですし、シーズン4の終わり方を見ても、シーズン5がないと不自然です。ケイトらに続いてG7の会場から出てきた副大統領ハルが、予想もしないコメントを発するところからスタートするのでは、と思います。

大使と副大統領の夫婦(ケイト&ハル)、大統領夫妻(グレース&トッド)、エイドラ(CIA)&スチュワート(外交官)といった人たちが、個人的に親密な関係を維持しつつ公の職場を共にして政治を動かしていくことって難しそう、と思わせるドラマです(実際、そういう人たちがどれくらいいるのか知りませんが)。普段、仕事で交渉(相手に Yes や No を言わせる立ち回り)ばかりしている人(であることを知っている人物)を、プライベートでどこまで信じられるかという問題もあります。

出演者に関する情報を付け加えます。ハル役のルーファス・シーウェルですが、これまでに3回結婚しています。直近は2024年で、現在の妻はヴィヴィアン・ベニテス。エピソード2で、狙撃されたグレース・ペン大統領が米空母に搬送されます。そこで軍医ダラム大佐の執刀を受けます。その後、大統領の権限移譲のドキュメントにグレースがサインするシーンがありまして、青いユニフォーム姿で立っている軍看護師、ビリーにペンを差し出す女性がヴィヴィアンです(たぶんね)。ふたりの歳の差は29歳です。

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