本家「ツイン・ピークス」はさておき「リミテッド・イベント・シリーズ」を観る(1)

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「ツイン・ピークス」はかなり以前に観ました。シーズン1が1990年公開なので34年も前のこと。ただしシーズン2のラストまで、きちんと観たかどうか覚えていません。

このところAmazonプライムビデオのおススメに「リミテッド・イベント・シリーズ」が頻出します。それの視聴に先立って本家「ツイン・ピークス」を見直すのはだるいので「リミテッド・イベント・シリーズ」を入口にして本家をつまみ食いしようと思います。

この「リミテッド・イベント・シリーズ」の第一印象ですが「ツイン・ピークス」ってオカルト、あるいはSF/ファンタジー作品でしたっけ?なんとなくサスペンスドラマと思っていました。本家の後半で方向性が変わったのかな?

2017年の「リミテッド・イベント・シリーズ」を観るにあたり、「本家がどのような終わり方をしていたのか」だけはチェックしました。

  • ローラを殺した犯人は彼女の実の父リーランド
  • 父親は邪悪な存在に憑依されていた
  • 邪悪な存在は “ボブ”
  • “ボブ” がFBI特別捜査官デイル・クーパーに憑りついて本家終了

「あら、やっぱりオカルト作品だったんだ」と思いつつ、「リミテッド・イベント・シリーズ」へと進みます。

“意味のよくわからないシーンが延々挿入される” のが本作の特徴。ストーリーの説明として端的で短時間のシーンを便宜的に入れているドラマはよくあります。それとは対照的で、あえて説明せず視聴者に考えさせる/想像させることを重視している感じがします。そして「ここ、そんなに重要ですか?」と問いかけたくなるほどに長尺のシーンが多いと思います。言い換えれば、贅沢な製作費と時間の使い方をしています。

それがデイヴィッド・リンチの作風なのかどうかは、まったく知りません。

各エピソードのまとめ

エピソード18まであります。縦スクロールの長さがとんでもないことになりそうなので、2エピソードごとに投稿を分けることにします。

エピソード1(私の丸太からメッセージがある)

あらすじ

●デイル・クーパーFBI特別捜査官は赤い部屋にいます。ヘンテコな活舌&イントネーションでローラ・パーマーが「25年後にまた会いましょう」と言います。ルックスから判断して約25年前の作品の1シーンのようです。

●ツイン・ピークスの学校。トロフィーのなかにローラ・パーマーの写真が飾られています。

●白黒なのでわかりづらいですが、クーパーはずっと歳をとっています。そして男(演じているのは “消防士” あるいは “巨人” と同じ人)がヘンテコな活舌&イントネーションでクーパーに「この音を聴け」と語りかけます。蓄音機みたいなものから「チリッチリッ」みたいな音、「今それは我々の家の中だ」。クーパーは「そうだ」と言います。「忘れるな。430」「リチャードとリンダ」「2羽の鳥と1つの石」という謎の言葉を聞いた後、クーパーの姿は赤い部屋から消失します。

●林の中のトレーラーハウスから男が出てきます。彼はこの後のエピソードにもしばしば登場しますが「このキャラ、必要ありますかね?」みたいな人。

●場面はニューヨーク・シティに移ります。高層階の秘密の部屋にはカメラが設置されています。その映像記録を定期的に保管庫に入れ、ガラス箱の中を見張るアルバイトをしているサム・コルビー。サムと秘密の部屋の内部に興味津々のトレイシー・バーベラート(カフェ店員?)がデリバリーにやってきます。

●ベンジャミン・“ベン”・ホーンはホテルのオフィスにいて、ビヴァリー・ペイジという女性秘書に指示を与えます。弟のジェレミー・“ジェリー”・ホーンが訪ねてきます。ベンがスーツ姿なのに対し、ジェリーは山男のような風貌。大麻の栽培などをしているようです。

●ワシントン州の田舎町、ツイン・ピークス保安官事務所の受付にはルーシー・ブレナンがいます。保険関係者と思われる男がトルーマン保安官を訪ねてきますが、保安官が不在と知って事務所を後にします。

●暗い道をベンツが走ってきます。運転席から降りてきたのはロン毛のクーパー。でもクーパー捜査官とは別人のようで “ミスターC” と呼ばれています。彼はオーティス、ビュエラと面会し、レイ・モンロー、ダーリャを伴って立ち去ります。

●ある夜のニューヨーク・シティ。警備員不在の隙を突いてサムとトレイシーは高層ビルの秘密の部屋へ。そこでエッチな行為に及んだふたりはガラス箱のなかに不思議な人影(エクスペリメント)を見ます。

●サウスダコタ州バックホーン。アパートの一室で図書館司書のルース・ダヴェンポートの頭部と、頭部のない男の死体が発見されます。

●マーガレット・ランターマン(丸太おばさん)がツイン・ピークス保安官事務所副所長のトミー・“ホーク”・ヒルに電話をします。「何かがなくなった。あなたが見つけて。それはクーパー捜査官に関したもの」「見つけ出す方法には、あなたのルーツが関わっている」という丸太からのメッセージを伝えます。

●再びサスウダコタ州バックホーン。ルース・ダヴェンポートの部屋から高校の校長ウィリアム(ビル)・ヘイスティングスの指紋が割り出されます。

登場人物メモ

※本家に登場している人は一部を除き、割愛しています。

[ワシントン州ツイン・ピークス関係者]

ベンジャミン・“ベン”・ホーン:いつもグレート・ノーザン・ホテルのオフィスにいる。事業拡大の野望はなくなり、灰汁が抜けた感じになっている

ジェレミー・“ジェリー”・ホーン:ドラッグでハイになって放浪、徘徊する老人になっている

マーガレット・ランターマン:丸太おばさん。丸太からのメッセージを主にホーク補完官補に伝える。演じるキャサリン・E・コールソンは2015年9月、71歳で逝去

[サウスダコタ州の警察関係者]

デイヴ・マックレイ:サウスダコタ州バックホーン警察の刑事。演じていたブレント・ブリスコーは2017年10月、56歳で逝去

コンスタンス・タルボット:鑑識官。監察医

ドン・ハリソン:サウスダコタ州警察の刑事。デイヴたちと共に捜査を行う

[サウスダコタ州バックホーン関係者]

ウィリアム・ヘイスティングス:高校の校長

フィリス・・ヘイスティングス:ウィリアムの妻

結局、どういうことなの?

何者かによって幽閉されていたクーパーのスピリットが人間世界へと解き放たれたようです。

その出来事は、①ニューヨーク・シティのガラス箱の中に現れた存在、②ロン毛の “ミスターC” と関わりがあるようです。「クーパー捜査官に関する何かを見つけろ」とマーガレット(丸太おばさん)がホークに告げたのも、クーパーが消えて25年、何かが動き出したことの証でしょう。

一方で図書館司書ルースと身元不明男性の死体は謎を呼びます。…ということを伝えるのに1時間使っています。

エピソード2(星々が巡り 時が正体を現す)

あらすじ

●逮捕されたウィリアム・ヘイスティングスは妻フィリスと面会。ルース殺害に無関係であることを訴えますが、夫婦仲は既に破綻していました。留置場のふたつ向こうの個室に全身が黒い存在がいます。そして消えていきます。

●フィリスが帰宅すると、そこには “ミスターC” がいました。そしてヘイスティングス家の弁護士ジョージの銃によって射殺されます。

●場面は変わってネバダ州ラスベガス。ダンカン・トッドは側近ロジャーに札束を渡し「彼女を雇え」と言います。その意思決定には、さらに上位のダークな人物が関わっていることを匂わせます。

●ダイナーで食事をするレイ、ジャック、ダーリャと “ミスターC”。進行している計画があるようです。“ミスターC” はレイに「例の情報が欲しい」と言います。その情報は逮捕されたウィリアム・ヘイスティングス校長の秘書ベティが握っているようです。

●マーガレット・ランターマンがツイン・ピークス保安官事務所副所長のトミー・“ホーク”・ヒルに電話をします。「星々が巡り 時が正体を現す」と彼女は告げ、用心するよう促します。ホークは木々と水たまりのような小さな池に注目します。

●赤い部屋。白い立像、2本のフロアライト、土星のような緑のライトがあります。そこにいるのはクーパー捜査官(若くない)と “マイク”。ヘンテコな活舌&イントネーションで「これは未来か、それとも過去か」「誰かがここにいる」と “マイク” は言います。誰も座っていないイスが映ります。

●“マイク” の姿は消え、ローラ・パーマーが歩いて登場。25年経っているからなのか、おばちゃんです。クーパーに「あなたは、出ていける」と告げます。「ローラー・パーマーは死んだ。でも生きている」とも。そしてお面のごとくに顔の部分を外します。そこには光のような輝きがありました。「いつ出ていけるんだ?」と問うクーパーに彼女はキスし、耳元で何かを囁きます。そして悲鳴を上げながら消えていき、入れ替わるように白い牛が現れます。

●さっき空席だったほうのイスに “マイク” が座っています。「これは未来か、それとも過去か」

●気が付くと “マイク” は部屋の角に立っています。赤いカーテンの向こうへ行く彼に付いていくと繭みたいなものが被さった葉のない木がありました。その “進化した腕(話す木)” は音を立てます(急須でお茶をそそぐような音にしか聞こえない)。そしてクーパーに、 “ボブ” に憑りつかれた自分のドッペルゲンガーを思い出させようとします。「まず彼が戻らねばならない。そうすればお前はここを出ていける」と “進化した腕(話す木)” は言います。

●“ミスターC” はジャックから車を受け取った後に彼を殺し、ダーリャのいるモーテルの6号室へ。彼女はレイと何かを企んでいるようです。レイは銃を持って州境を越えた際、捕まってサウスダコタの連邦刑務所に留置されているとのことでした。このシーンで “ミスターC” はダーリャ&レイに “クーパー” と呼ばれています。“Cooper” の “C” を取って “ミスターC” だったのでしょうね。

●ロン毛クーパーはダーリャに悪だくみの雇い主を問いただしますが「自分は知らない。レイが知っている」と主張。ダーリャはレイの指示でロン毛クーパーを殺すことになっていましたが「その理由については知らない」。彼を殺せば、レイと2人で50万ドルが手に入るはずでした。

●ロン毛クーパーは「明日はブラッグ・ロッジに戻されることになっていたが、まだ戻れない。ひとつ計画がある」と言います。「ヘイスティングスの秘書ベティから座標を聞き出したか?」とロン毛クーパーは問いますが「秘書から何かを訊いたとしか聞いていない」とダーリャは答えます。「俺はこれが欲しいんだ」と悪魔のエースのカードを見せた後、ダーリャを殴り射殺します。

●ロン毛クーパーはスーツケースに入った通信機器を持ち出し、フィリップ・ジェフリーズと連絡を取ります。その声は「ニューヨークで会いたかった。今もバックホーンか?」と言います。「お前は今も “どこでもない場所” か?」とロン毛クーパー。

●「ガーランド・ブリッグス少佐と会っただろう?」「なぜ知っている?」という会話の後、その声は「実は別れを言うために連絡した」と言い、「フィリップ・ジェフリーズだよな?」とロン毛クーパーは確認します。「お前が明日戻るなら、私はまた “ボブ” とともにいる」とのこと。「お前は誰なんだ?」との問いには答えません。ロン毛クーパーはFBIのサイトにアクセスし、ヤンクトン連邦刑務所について調べます。

●ロン毛クーパーは7号室の女性を訪ねます。シャンタルという名です。ダーリャの死体のある6号室を片付けるように言います。ハッチという夫がいるようです。

●赤い部屋の “進化した腕(話す木)” は「253」「何度も何度も繰り返す。“ボブ” “ボブ” “ボブ” !さあ行け!」と言います。 “マイク” と部屋を出ようとしましたが、クーパーは彼を見失います。赤い部屋を彷徨ううちにリーランド・パーマーに出会い、ヘンテコな活舌&イントネーションで「ローラを探せ」と言われます。

●“進化した腕(話す木)” の部屋にいる “マイク” は「何かがおかしい」とつぶやき、 “進化した腕(話す木)” は「私のドッペルゲンガー」 と言います。

●クーパーが開けた赤いカーテンの向こうには白い像が置かれていました。その方向へ歩き、赤いカーテンを開くと、その向こうには道があり、ロン毛クーパーが車を運転している姿が映し出されます。

●白い立像が “進化した腕(話す木)” に姿を変え、部屋が揺れ始めます。クーパーは立っているのもやっとの状態です。

●「非存在だ!」と叫ぶ “進化した腕(話す木)” 、闇の光の粒のなかを落下していくクーパー。夜景をバックに男の顔が映し出されますがクーパーでしょうか(正直よくわからん)。

●ニューヨーク高層ビルの秘密の部屋のガラス箱の中にクーパーの身体が浮いています。ガラスの箱は昔の写真機のように奥行きがあり、クーパーの身体は後退して消えていきます。それがエピソード1で警備員が不在となった “あのとき” だったようです。

●クーパーは再び闇の光の粒のなかを高速で漂流。

●ツイン・ピークスの住宅地の708番地。テレビで野生動物が他の動物を食らう動画を見ている老女セーラ・ジュディス・パーマー。

●バンバン・バー。これも各エピソードで繰り返し出てくる場所。視聴者の緊張を解きほぐす意味あってのことなのか、お勧めの曲やバンドの紹介コーナーなのかわからないものの、魅力的なバンドや歌手が登場することが多いです。この回はブロンディのデボラ・ハリーみたいな女性がアンニュイに歌っています(”SHADOWS” by Chromatics)。私としては「あまりこない」曲。

●そこにフレディー・サイクス、ジェームズ・ハーリーがやってきます。席にはシェリー・ブリッグスらがいます。もうひとり、革ジャンに白いTシャツの男(レッド)がシェリーに気のある素振りを見せます。

登場人物メモ

※本家に登場している人は一部を除き、割愛しています。

[サウスダコタ州バックホーン関係者]

ジョージ・バウツァー:ヘイスティングス家の弁護士。フィリス・ヘイスティングスとは不倫関係

ベティ:ウィリアム・ヘイスティングス学校長の秘書。鍵となる座標を知っている(話題に出るものの姿は見せない)

[ワシントン州ツイン・ピークス関係者]

フレディー・サイクス:グレート・ノーザン・ホテルの警備員。緑色の園芸用手袋を、いつも右手に着用している

[ネバダ州ラスベガス関係者]

ダンカン・トッド:シルバー・ムスタング・カジノの経営者であるミッチャム兄弟の商売敵

ロジャー:トッドの側近

結局、どういうことなの?

ブラック・ロッジ所属のロン毛クーパー(=悪いクーパー)。ウィリアム・ヘイスティングスの秘書ベティは座標に関する重大な情報をもっていて、それを求めているようです。どこぞの方針でロン毛クーパーはブラック・ロッジに戻されるはずでしたが、諸状況と当人の意思によって戻らない感じです。

モーテルでダーリャを殺した後の通信相手はフィリップ・ジェフリーズのようでしたが、ロン毛クーパーは疑いをもっています。

一方、赤い部屋に幽閉されていたクーパー(=善いクーパー)。 “進化した腕(木)” によってニューヨーク高層ビルの秘密の部屋への通路が開かれ、クーパーのスピリットは地上に戻りつつあるようです。ただし “進化した腕(話す木)” の「まず彼が戻らねばならない。そうすればお前はここを出ていける」が正しいとするなら “彼が戻っていない” ため、完全な形での帰還には至らないはず。とりあえす、このエピソードまでの情報では “彼” とはドッペルゲンガーのロン毛クーパーと解釈できます。

…というお話のように感じます。それを描くのに55分かけています。

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