絵本のような大人のおとぎ話―映画「グランド・ブダペスト・ホテル」

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このところリアルな世界が深刻なニュースにまみれているので、気の休まるドラマや映画を観たいと思いました。

映画「グランド・ブダペスト・ホテル」は2014年に公開された作品。旧作の部類に入りますが、Amazonプライムビデオより配信されています。原題はそのまま“The Grand Budapest Hotel”。

かつては富裕層の集まる高級ホテルだった “グランド・ブダペスト・ホテル”。名コンシェルジュだったグスタヴ・H氏と、移民の新入りロビーボーイだったゼロ・ムスタファ氏の出会いから別れまでを小説の章立てのように取り上げるかたちで描いています。

ブダペストはハンガリーの首都にあたりますが、映画に登場する “グランド・ブダペスト・ホテル” はヨーロッパ大陸の東端に位置した旧ズブロフカ共和国(架空の国)のアルプスの麓、ネベルスバートにあるホテルという設定になっています。

導入部あらすじ

1968年当時、かつて繁栄を極めた “グランド・ブダペスト・ホテル” はさびれており、滞在客は少なく、建物は廃墟に近い状況になっていました。ひと夏を温泉地で過ごそうと同ホテルに宿泊していた小説家は、深い孤独を感じさせるホテルの老オーナーであるゼロ・ムスタファ氏に興味をもちます。彼は移民であるにも関わらずズブロフカの富豪で、ホテルのオーナーであるにも関わらず、年3回ほどオフシーズンに来ては最上階の「グスタヴ・スイート」(使用人用の風呂なし狭小シングルルーム)に宿泊することを好みました。

小説家はゼロ・ムスタファ氏とディナーを共にし、貴重な物語を聴く機会を得ます。その話をベースに物語が展開していきます。

物語の章立て

パート1:ムッシュ・グスタヴ ⇒ “グランド・ブダペスト・ホテル” の初代コンシェルジュにまつわる1932年頃についての章。新入りロビーボーイのゼロ(後のゼロ・ムスタファ氏)はカリスマ的個性をもつコンシェルジュ、ムッシュ・グスタヴに出会います。その頃、ホテルのオーナーが誰であるかをゼロは知りませんでした。彼は “メンドルの店゛という菓子店で働く女性アガサにも出会います。

パート2:マダムC・V・D・u・T ⇒ 上客だった伯爵夫人マダムDの死亡記事が新聞に掲載されます。グスタヴはゼロを伴い彼女の居宅ルッツ城へ。遺言により、グスタヴはホイトル作の絵画を遺贈されますが、親族からは非難ごうごう。ゼロと執事セルジュの手助けを得て絵画を強引に持ち出します。戦争が近いと読んだ彼は絵を闇市で売り払うことを決め、協力への対価としてゼロに「売値の1.5%+自分の死後の財産を単独で相続させる」ことを約束します。

パート3:第19犯罪者拘留所 ⇒ その後の調べでマダムDは毒殺であることが判明。グスタヴは第19犯罪者拘留所に殺人犯として収容されます。証言者は執事セルジュで、その後行方不明となります。ゼロは拘留所を面会で訪れ、冤罪に負けぬようグスタヴを励まします。マダムDの息子ドミトリーに雇われている私立探偵ジョプリングは執事セルジュらを探し出すプロセスで不都合な者たちを殺害。一方拘置所にいるグスタヴは囚人たちに誘われ脱獄を計画。ゼロや彼の婚約者アガサも協力します。

パート4:鍵の秘密結社 ⇒ グスタヴはホテルコンシェルジュによる秘密のネットワークの助けを得て執事セルジュの潜伏するゲイブルマイスター山へと向かいます。マダムDの死因が殺害だった場合にのみ有効となる第2の遺言書のコピーの存在が明らかになります。そこへ乗り込んできたジョプリングはスキーで見事な滑降を見せ、グスタヴとゼロはそれをソリで追います(スピーディーな滑りのフィーリングを楽しむことができます)。

パート5:2通目の遺書の2通目 ⇒ グスタヴとゼロは国家権力によって追われます。アガサは隠してあった絵画を持ち出すことに成功しかけますがトラブルが発生。そして第2の遺言書のコピーが発見されます。その後、ズブロフカ共和国は世界から消失。過酷な出来事がグスタヴやゼロを待っていました。

現実はやがてファンタジーになっていく

本作は括りとしてはコメディです。この映画はテンポやリズムの作り方が見事。コメディ作品においては重要な要素です。

映像のタッチや構図に、大人の絵本のようなファンタジー性を強く感じました。奇妙な喩えかもしれませんが、子どもの頃に祖母から聴いた遠い昔の思い出話は、あたかもおとぎ話のようでした。その感じに似ています。

この映画では作家やゼロ・ムスタファ氏の語りが随所に入ります。私も子どもの頃を含めた過去を思い出すことがあります。そこにはよい気分になることも悪い気分になることも含まれ、そのうえで「それらは本当にあったことなのだろうか」と不思議に思うときがあります。

かつて正真正銘のリアリティだったものを、空想や幻想を含む創作物へと変えていくのも人間の精神活動のひとつです。

思い出すことによる出来事の再体験は、現時点から俯瞰すれば、もはや実態のないファンタジーであると理解していれば人生の深みを知る機会になります。お年寄りの昔話に耳を傾けることによっても、それを実感できます。

[ロケ地]ドイツ(ゲルリッツ、ツヴィンガー、オスターシュタイン城、ハイネヴァルデ城、ヴァンデンブルク城、ゼヒシッシェ、ポツダム、ブルククリープシュタイン)、ポーランド(クラクフ)

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