高級住宅エリアが舞台の警察ドラマ「警部補アーノルド チェルシー捜査ファイル」

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すごくインパクトのある作品というわけではありません。

しかし “neat” であり、いろんな警察/犯罪ものがあるなかでイギリスらしいドラマのひとつと思います。原題は “THE CHELSEA DETECTIVE” です。シーズン2が予定されていそうな雰囲気があります。

“チェルシー” から連想するのは明治のお菓子

余談みたいなところから入りますが、“チェルシー” と言えば飴。調べてみると今も販売されているようです。私が子どもの頃からありますので息の長い商品です。

…あーなーたにーも わけてあげたーい~♪ ほら チェルシー⤴ もひとつ チェルシー⤵

“チェルシー” CMソングの一部

…という歌の後、「あなたにも チェルシー あげたい」の決め台詞で締めくくられるCM。CMでは “スコットランドの伝統菓子” と紹介していますが、商品名の “チェルシー” はスコットランドではなくイングランドの地名です。

お菓子の “チェルシー” はスコットランドに伝わる “スカッチキャンデー” にヒントを得ているそうなので “スコットランドの伝統菓子” と言えなくもないでしょう。一方で女性の好む高級イメージを狙って、ネーミングはイングランドの地名 “チェルシー(CHELSEA)” を採用。日本のお菓子メーカーが開発した、スコットランドとイングランドを足して2で割ったような折衷菓子。それが私にとって人生最初の “チェルシー” です。

ロンドンの高級住宅街 “チェルシー” が舞台

さて、商品名の由来となった “チェルシー(CHELSEA)” はロンドンにあって高級住宅街のひとつです。多くの著名人がその一帯で暮らしてきました。文学関係ではアガサ・クリスティ、オスカー・ワイルド、思想関係ではトマス・モア、フランシス・ベーコン、音楽関係ではフレディー・マーキュリー、ミック・ジャガーなど。バッキンガム宮殿や百貨店の “Harrods” に近い立地です。

そんなエリアの警察だからか、警察官の振る舞いが全体に上品。捜査や取り調べに際して、容疑者に対して刑事が怒鳴ったり胸ぐらを掴んだりして威嚇するのが犯罪ものドラマのお約束です。しかし「警部補アーノルド チェルシー捜査ファイル」に登場する警察のみなさんは、そういう不作法なことはいたしません。

富裕層が多いエリアとはいっても経済的困窮者やはみ出し者もいて、街には陰の部分があります。それでも小ぎれいな空気感のほうが勝っています。

“チェルシー” の文化が盛り込まれている

ドラマには、サッカーチームに関連した事件も登場します。

“チェルシーFC” はスタジアムの立地もあって富裕層や政治家など上流階級のサポーターが多いのが特徴。一方、同じロンドンでも “アーセナルFC” は労働者階級のサポーターが多い傾向にあるそうです。

かなり以前になりますが、知人がアーセナル・スタジアム(現エミレーツ・スタジアム)近くに住んでいて、フラットの部屋に滞在させてもらいました。高級住宅街ではないと思いますが、治安は悪くありませんでした。

本作はサッカー以外にも “知” や “食” や “アート” など “チェルシー” らしい材料や社会問題が含まれている印象を受けるドラマです。

警部補アーノルドと彼のチーム

主人公はマックス・アーノルド警部補妻アストリッドとは別居中で、テムズ川に係留した船に住んでいます。不法占拠ではなくレンタル料を払えば居住できるようです。

船での暮らしが快適かどうかはともかく、ピアノを弾くのが好き(ただし下手)。街での足は車ではなく自転車。ライフスタイルへのこだわりを感じます。高級車に乗ったり、わかりやすいブランドもので身なりを整えたりしないあたり “出自が中の上” な感じです。なお別居中の妻アストリッドは結構いい家に住んでいます。生活臭やしみったれ感は皆無。妻のほうがたくさん稼いでいるんじゃないでしょうか(彼女は画廊を経営?)。アストリッドの姓はフィッシャーなので、ひょっとしたら離婚済か、事実婚かもしれません。

マックスの亡き父セバスチャンは古書店経営、叔母オリビアは彼の蔵書を管理しています。家族に活字関係者が多いことに対する伏線なのか、マックスはディスレクシア(失読症)という設定になっています。

以下は彼のチームと関係者です。

プリヤ・シャンジー巡査部長:女児を出産後、早々に職場復帰。育児に自信がなく夫ニティンに任せている

コナ―・ポロック巡査:クールに職務にあたる黒人警官。ジェスと組んで動くことが多い

ジェス・ロンバード巡査:熱意をもって仕事に取り組む女性警官。新しい手がかりを見つけてくる

アシュリー・ウィルトン:監察や検視を行う。聴力に障害がある。普段はチェルシー中央病院にいる。男の子どもが4人いる

各エピソードとロケーション

エピソード1・2(The Wage Of Sin)

[ストーリー]石材彫刻業のアンドリュー・ナイトリーがサウスケンジントン駅のホームから転落して死亡します。鍵になるのは “罪の報いは死なり” という言葉。彼の死についてアーノルド警部補とプリヤ・シャンジー巡査部長が捜査を開始します。

[ロケーション]サウスケンジントン駅、ブロンプトン墓地など。アーノルド警部補の父親が営んでいた「アーノルド書店」はケイル・ストリートにある「John D Wood & Co. Estate Agents Chelsea Green」の隣。今も花屋かどうか不明であるがココでしょう。

エピソード3・4(Mrs Romano)

[ストーリー]人気のレストラン「ラ・ファミリア・ロマーノ」を経営するジュリア・ロマーノの同性のパートナー、ロビン(レストラン広報を担当)が悲鳴と血痕を遺して失踪します。15年前にジュリアの前夫デイビッドは姿を消しており、彼との間に生まれた不肖の息子ルカも居所がわかりません。

[ロケーション]「ラ・ファミリア・ロマーノ」はラントン・ストリートにある「PENNY MORRISON」隣のイタリアンレストラン「La Famiglia」を使用。キングス・ロード、バタシー、クレモルネ・ガーデンズ、アクスブリッジなど

エピソード5・6(The Gentle Giant)

[ストーリー]アーノルド警部補が友人カーステン(“チェルシーFC” の元スター選手)とスタジアムへ試合を見に行った帰り道から物語がスタート。建築資材会社クーパーズで夜間警備を務めるスティーブ・オハラがナイフで刺されて死体となって発見されます。彼には末期ガン患者の妻シヴォーンがいました。

[ロケーション]チェルシー・スタジアムなど。アーノルド警部補とカーステンが立ち寄るハブはフラッド・ストリートの「Coopers Arms」。作中では「THE CREMONE ARMS」となっている。店名サインをCGか何かで書き換えたのだろうか。また園芸センターはチェルシー付近にいくつかあるのだが、ロケに使われたところがどこかを特定できなかった。

エピソード7・8(A Chelsea Education)

[ストーリー]チェルシー・インターナショナルスクールの学部長オリバー・カウイーが自宅で何者かに撲殺されます。彼は日本への赴任を控えており、家族も同行する予定でした。娘のフローは日本へ行くことを嫌がっていました。

[ロケーション]こちらのエピソードは建物内の撮影が多く、特定したものなし。ちょっとした街並みも出てくるが似たような場所が多数ありそう。インターナショナルスクール設定の建物も外観は普通のフラットにしか見えないため、探そうと思うとかなり根気が要る。

最後に…

事件の顛末が気づきとなり、アーノルド警部補と別居中の妻アストリッド、プリヤ巡査部長と夫のニティンが互いへの理解を深めたり歩み寄ったり、関係性に変化が生まれます。

警察ものにはしばしばあるパターンなのでさほど珍しくはないのですが、何がしかの救いを感じる人がいるかもしれません。

広大ではないエリアに特化した犯罪もの、という点で面白いドラマでした。シーズン2へと続くことを期待します。

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