すごくよかった「チアの女王・シーズン2」何から語ろうか(5)

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“Redefinition & Rebalance”(再定義・バランス調整)

人間は経験を通して物事を再定義します。”Redefinition” としましたが “Reframing”(ある枠組みで捉えている物事を違う枠組みで見ること)でもよかったかもしれません。

遅くとも2020年には始まっていたコロナ禍。2020年はデイトナ大会もキャンセルされました。厳しい練習を積んできた選手たちの落胆は大変なものでした。一方で興味深かったのは、人との接触が制限されたことから、ナバロカレッジでもTVCCでも犬や小動物を飼う選手が増えたというエピソードです。

良し悪しの議論は別にして、必要な何かがなくなるとそれに代わるものを求めるのが人間。できるものなら埋めたい穴が、どんな人にもあります。

SNSを通じてナバロのコーチのモニカを批判しつづけたOBのラダリウスは、辛い心情をモニカと吐露し合い、涙ながらに和解します。彼は「俺は許すことにした。そして…ごめんなさい」と言います。モニカやナバロのメンバーを許した体であっても、実際に許されたのはラダリウス自身です。彼が前進するためには、モニカとの関係を定義し直し、心身のバランスを取り直す必要がありました。

人生って大なり小なり、そういったことの繰り返し。

「ディーはTVCCへ行って変わったわ。チアを楽しむようになったの」

(ディー[TVCCタンブラー]の母親)

タンブラーとしての有能さに対する自負だけではなく、TVCCでの1年目の経験とデイトナ大会予選での失敗が、ディーを次のステージへと導きました。言葉で表現できるようなものではないにせよ、彼の内側の何かが変わったのです。

自分自身、チアという競技、ふたつの関係が定義し直され、恐らく無意識のうちに彼の深いところが求めていたであろう方向へとバランスが再調整されました。それはこの先、幾度となく繰り返されていくことでしょう。

勝つことを願って、すべての情熱を選手指導に注いてきたにも関わらず、コロナ禍でデイトナ大会はキャンセル。息子のように可愛がってきたジェリー・ハリスは性的虐待で逮捕(有名どころではジェリーということになりますが、ほかのメンバーも別の件で逮捕されている)。ラダリウスも離脱。ネット上では、ラダリウスだけでなく広く大衆からの非難に日々晒され、アシスタントコーチのカペナやタンブラーのレキシーも、ドキュメンタリー内で詳細はあまり語られませんでしたが退きます。

次から次へと問題が起こり、モニカはかなり凹んでいたはずです。しかし彼女は「苦難を受けるのは、より良い人間に成長するため」と言います。

私は不出来な人間なので、こういう立派なことは口が裂けても言えません。このように苦難を再定義してバランスを取り戻そうと努力できるモニカは素晴らしいと思います。彼女がクリスチャンであるという、信仰的な背景が影響しているのかもしれません。

「チアの女王」に、果たしてシーズン3はあるのでしょうか??? あってもなくても、彼らの熱いチアLIFEは変わらないのでしょうね。

「チアを始めていなかったら、まったく異なる人生だった。この小さな田舎町へと導かれたことに感謝している。チームや学生は何にも代え難い。そんな家族がいて感無量だよ」

(ボンティ/TVCCのコーチ)
すごくよかった「チアの女王・シーズン2」何から語ろうか(1)
ナバロカレッジとTVCCのチア(Cheer)を比較した場合の基本的なポイントは3つです。
すごくよかった「チアの女王・シーズン2」何から語ろうか(2)
チームが「安心していられる基盤(Home)」であることについて書きました。
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「チアの女王」について「感情(Emotion)」という側面から書きました。
すごくよかった「チアの女王・シーズン2」何から語ろうか(4)
「妬み・うらやみ(Envy)」という側面から、競争社会としてのチアの世界を取り上げました。
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