2作品まとめて書きます。映画「ナイブズ・アウト」

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映画「ナイブズ・アウト/名探偵と刃の館の秘密」(原題 “Knives Out” )は以前観ています。このたび、それに劣らぬ新作「グラスオニオン」(原題 “Glass Onion” )がリリースされたとのことで視聴しました。

私は前作のほうが好きで楽しめました。裕福な老人、遺産に群がるハイエナ一族、主人に目をかけられる貧しい移民の使用人、推理小説作家の遺した謎かけ、といったプロットが新作のそれよりも、大枠ではありがちながらも、細部に目新しさを備えていたためかもしれません。なお最新作も面白いです。

2つの作品についてまとめました。

「名探偵と刃の館の秘密」

導入部あらすじ

裕福な85歳の推理小説作家ハーラン・スロンビーがマサチューセッツ州の邸宅で喉を切った死体で発見される。監察の結果、警察は自殺として処理しようとするが、何者かによって雇われた私立探偵ブノワ・ブランが捜査を開始。

ハーランにはクセの強い子どもたち(ニール(故人)/リンダ/ウォルト)とその連れ合い(ジョニ/リチャード/ドナ)がおり、ハーランが大富豪であるがゆえに生じた問題もあって、家族だからといって全面的に信頼していたわけではなかった。その一方で、ハーランは彼の健康を管理する専属の看護師マルタ・カブレラには心を許し、家族には内緒でいくつかの指示を与えていた。さらにハーランの遺言の内容が一族に波紋を呼ぶ。

看護師マルタには “嘘をつくと嘔吐する” という奇妙な特徴があった。

[出演者(ごく一部)]

アナ・デ・アルマス(マルタ・カブレラ役)

キューバで育つ。両親はスペインからの移民。12歳の頃、女優になることを決意。14歳でキューバ国立演劇学校に合格。通学手段がなかったため、時にはヒッチハイクもし、厳しい授業に参加したという安室奈美恵みたいな人。キューバとスペインで活動していたが、現在は拠点をアメリカに移している。

キャサリン・ラングフォード(メーガン・“メグ”・スロンビー役)

オーストラリア出身。「13の理由」のハンナ・ベイカー役で有名。その後、どうしているのかしらと思っていたら、本作に出演。

トニ・コレット(ジョニ・スロンビー役)

こちらもオーストラリア出身。映画「ヘレディタリー/継承」では、おっかない母さんアニーを演じている。オーストラリアとアイルランドに家があるそうで、特に後者については非常に羨ましい。

ラキース・スタンフィールド(エリオット警部補役)

アメリカのカリフォルニア州出身。ラッパーでもある。映画「ゲット・アウト」では拉致されて姿を消したニューヨークのミュージシャン、その後、年配の白人女性の夫となっている “しっとりした黒人らしくない黒人” を演じている。

感想

キーとなる人物やその意図がすんなり分かる、ということがない点がよい。結末に至るまでに、いくつかのひっくり返しがあって飽きない。富豪小説家ハーラン・スロンビーが生前にいろいろ予測して小説のようなタネを随所に仕込んでいたとしたら、このおじいさんが最も見事。探偵のブノワ・ブランは警部補や巡査を前にして偉そう。次作ではなぜか腰が低くなっている。

[ロケ地]アメリカ

「グラスオニオン」

導入部あらすじ

コロナパンデミックのさなか、巨大ハイテク企業アルファ社の創始者マイルズ・ブロンから、かつての仲間に謎解きの箱が届く。趣旨はギリシャの島への招待。仲間とは、クレア・デベラ(州知事)、デューク・コーディ(YouTuberみたいな人)、バーディ・ジェイ(ファッションデザイナーに転向した元スーパーモデル)、マイルズと袂を分かったカサンドラ・“アンディ”・ブランド(元ビジネスパートナー)、マイルズの下で働くライオネル(科学者)。風変りな招待状は、なぜか私立探偵ブノワ・ブランにも届き、彼もギリシャの島へやってくる。デューク、バーディーはそれぞれアシスタント(ウィスキー/ペグ)を同伴している。

マイルズは豊富な資金力にものを言わせて仲間たちに圧力をかけ “クリア” という固形水素燃料を実用化しようとしていた。そして仲間のひとりが死を遂げる。

[出演者(ごく一部)]

エドワード・ノートン(マイルズ・ブロン役)

名家の生まれで名門イエール大学で学ぶ。短期間であるが大阪でサラリーマンをしており日本語を少し話す。「バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」や「ファイト・クラブ」、はるか昔の「真実の行方」といった出演作が有名。

ノア・セガン(デロル役)

「無視してくれ」と言って立ち去る島の滞在者。前作ではエリオット警部補に付いて回るワグナー巡査の役だった。監督・脚本を担当しているライアン・ジョンソンの作品でしばしばチョイ役を務めている。彼が監督の「ブレイキング・バッド」シーズン5エピソード14「オジマンディアス」のほとんど最後のシーンで、消防車内に置き去りにされたホリーを見つける消防士役がノア・セガン。

※ 冒頭のパーティー会場にヨーヨーマ(チェリスト)が登場。

※ 私立探偵ブノワ・ブランが入浴しながらオンラインで交流しているメンバーは、スティーヴン・ソンドハイム(作詞作曲家)カリーム・アブドゥル=ジャバー(元プロバスケットボール選手)アンジェラ・ランズベリー(「ジェシカおばさんの事件簿」のジェシカ役)ナターシャ・リオン(お騒がせ女優)。登場させた意図は不明。ブノワ・ブラン役ダニエル・クレイグのお友だちか何かだろうか。なおスティーヴンとアンジェラは本作が遺作となった(それぞれ91歳と96歳。ふたりとも長生き)。

※ セリーナ・ウィリアムズ(プロテニスプレーヤー)が、オンラインフィットネスのトレーナー役で登場。

※ ヒュー・グラントイーサン・ホークなどのビッグネームがチョイ役で登場する。

感想

「エドワード・ノートンを見るのは久しぶりだわ」と思いつつ見始めると、私より年下のはずの彼のビジュアルが “作務衣の似合うおじいさん” に近づいていること、胃袋の下辺りが前方に膨らんでいることに気付く。歳を取るとはそういうことなのだろう。彼演じるマイルズ・ブロンが億万長者という設定ゆえにギリシャの島を舞台に選んだのだと思うが、ギリシャである必然性はまったくない。

随分老けたとはいえ、エドワード・ノートンの醸し出すエキセントリックな雰囲気が、本作のムードを作っているのは確か。コロナ禍のマスク姿、ロックダウンの生活、ZOOMで授業や交流といったところも、今のところ、ほかの作品ではなかなか出てこない描写なので面白い。

中盤から流れが変わる。登場人物が多すぎない点もよい。ただし比較すれば私は「名探偵と刃の館の秘密」のほうが好き。

[ロケ地]ギリシャ、セルビア

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