このところ公私多忙でドラマや映画を観る時間が取れませんでした。そんななか、年末にリリースされる「ベルリン」を心待ちにしていました。本家の「ペーパー・ハウス」がとっても面白かったからです。
レビューを見る限りでは「ベルリン」に対する評価は真っ二つ。10段階の8~10点か1~3点か。私はどうかといえば、最初のうちは面白いのだけれど「パリのオークションハウスから4400万ユーロ相当の宝飾品を一晩で盗む」という窃盗団としての至上のロマン&タスクに対し、リーダーのベルリンが率先して横道に逸れ、示しのつかなさを目の当たりにしたメンバーたちも好き勝手なことをし始めるという点が解せません。
ベルリンとしては真実の愛に生きているつもりらしいのですが、金なら金、愛なら愛、状況判断と優先順位づけを的確&明確にしてくれないと阿呆の群れを見ているような気分になってくるのも事実。窃盗団メンバーの心情にあまり共感することができず「スペイン人からなる窃盗団ゆえに、こういう展開になるのかな」とでも思うほかありません。大胆さのベースに精緻な計算があってこそ見どころを作ることができます。一言で表現すると「窃盗団のほぼ全員が軽率なドラマ」です。
好みは分かれそう。しかし本格的に横道へと逸れていく(エピソード3辺り)までは、ひとつひとつのハラハラドキドキを心から楽しむことができます。正月休みに観るのには適度なスケール感(エピソード数、時間数)と言えます。出演者の紹介をしておきます。
[キャスト紹介]
ベルリン役のペドロ・アロンソについては「ペーパ・ハウス(パート2)」で触れていますので省略。窃盗団メンバーはベルリンとダミアンを除くと全体に若く、20代の演技陣が多くを占めています。
<窃盗団>
ミッシェル・ジェンナー(ケイラ役)
ケイラは優秀なエンジニアという設定。演じるミシェルはバルセロナ生まれ。彼女自身は37歳なので窃盗団メンバーのなかで実は中年。母親はフランス人で女優兼ダンサー。父親はイギリス人で吹き替え専門の俳優。祖先のエドワード・ジェンナー(イギリス人)は天然痘のワクチンを開発。近代免疫学の父と呼ばれている。ミシェルにはパートナー関係にあった男性との間に子どもがいる。彼の職業はドッグトレーナー。いろいろと意外なところの多い女優さん。
ジョエル・サンチェス(ブルース役)
ドラマではケイラの相方のブルース。上品ではなく知性にも欠ける。演じるジョエルはスペインのランサローテ島生まれ、マドリード在住の27歳のモデル。俳優としてのキャリアは浅く「ベルリン」が初の大役のようだ。アタマがよくない設定のブルースと異なり、ジョエルはスペイン語、英語、フランス語の3ヶ国語を話す。工科大学でエンジニアリングを学んだ。
ベゴーニャ・バルガス(カメロン役)
カメロン自身に特殊技能はない。別の理由で窃盗団に加わっている。演じるベゴーニャはマドリード生まれの24歳。女優、モデル、ダンサーとして活動。孤児に教育とケアを提供する慈善事業に関わっている。
フリオ・ペーニャ(ロイ役)
ドラマのロイはカメロンの相方で鍵開けの名人。演じるフレオはサン・セバスティアン生まれ、マドリード育ち。俳優で歌手。12歳の頃から芸能活動をしている。一時期アルゼンチンでも活動。23歳にして恋多き男。
トリスタン・ウロア(ダミアン・バスケス役)
ダミアンはベルリン同様におじさん。窃盗団の頭脳であるとともに大学教授でもある。演じるトリスタンは俳優で映画監督も務める。フランス生まれの53歳。幼少期にマドリードへ移る。極度の内向性を修正するために演技の道へ。「ナルコス」のシーズン3、エピソード4にエルネスト・サンペールという役で出演している。
<オークションハウス関係者>
ジュリアン・パスカル (フランソワ・ポリニャック役)
オークションハウスの支配人フランソワ役。ジュリアンはベルギーの俳優でフランス語、英語、スペイン語、ドイツ語を話す。2018年にバルセロナで演技を始めたとのこと。
サマンサ・シケイロス(カミーユ・ポリニャック役)
メキシコ出身で8年パリで暮らしている設定のフランソワの妻役。サマンサはメキシコの女優で29歳。
<警察関係者>
レイチェル・ラスカー(マリー・ラヴェル役)
パリ警察組織犯罪班の警部補という役どころ。「エリート(シーズン4)」ではフィリップ王子の母親役だった。フランス生まれの女優。
ナイワ・ニウリ(アリシア・シエラ役)
「ペーパー・ハウス(パート4)」で紹介済。欧州警察機構(ユーロポール)スペイン所属の設定。こんなにシミ、ソバカスの多い人だったかしら、という印象。
イツィアル・イトゥーニョ(ラケル・ムリージョ役)
「ペーパー・ハウス(パート3)」で紹介済。スペイン国家警察犯罪情報部の警部補という役どころ。