2025年は11月くらいから断捨離に燃え過ぎて、ドラマや映画を観てもブログに書く気になれませんでした。たとえば「ミスターメルセデス」「キリング・イヴ」など、旧作が新規にNetflix入りしたタイプのものも面白かったのですが「今さら書くこともないのかも」なんて思いました。とはいえ、古い作品でも書きたい衝動が生まれたものについては、これまでも取り上げてきています。
さてハーラン・コーベン原作の「ランナウェイ」(原題:RUN AWAY)。ハーラン・コーベン作品って、明らかに普通ではない(「そういうことは起きないだろう」という不自然な)プロットが目立ちます。「小説を映像化するとこんな感じになるのかな」と思うところもあったのですが、小説を基にしていてもそうではないドラマ&映画は多数ありますし、“ちょっと普通でない感じ” を入口や道筋にすることを得意とする作家なのかもしれません。
これまでのハーラン・コーベン原作ドラマについては、こちら(↓)にあります。


導入部あらすじ
娘のペイジ・グリーンが家族の前から姿を消して半年。父サイモンは “Dave Divine” からメッセージを受け取ります。その内容はペイジが姿を現すことをほのめかしていました。
サイモンは指定された時刻に、公園の噴水の前でギターを弾き語るペイジを見つけます。彼女は顔に傷を負っています。父サイモンはペイジに駆け寄って語りかけますが、娘は “変な人物” を見るかのような表情を浮かべ、彼から逃げようとします。そんなとき、ふたりの間に入ってペイジの逃走を手助けしたのがアーロン・コーヴァル。彼は、ペイジを心身ともに拉致・拘束している男のように見えます。
娘を家に引き戻したいサイモンはアーロンと格闘することになります。しかし彼の意図は上手く機能せず、その場にいた男性によって取り押さえられます。デジタル社会やSNS文化ということもあって、周囲の人たちにその動画を拡散されます。
弁護士の尽力によりサイモンは身柄の拘束を解かれますが、社会は彼に対して冷ややかな視線を注いでいます。そんなときペイジのボーイフレンドだったアーロンがアパートで殺害され、遺体が発見されます。しかし依然としてペイジの行方はわからないまま。警察に疑いをかけられているサイモンは、妻イングリッドに促されて独自に調べを始めます。
ときを同じくして、行方不明の息子ヘンリーを捜しているセバスチャン・ソープは、動きの鈍い警察に業を煮やして私立探偵エレナ・レイヴンスクロフトを雇います。
ふたつの失踪事件(ペイジ&ヘンリー)のつながりが、少しずつ浮かび上がっていきます。
登場人物
グリーン家
- ペイジ・グリーン:ランフォード大学に通っていたが退学。現在は失踪中
- サイモン・グリーン:一家の長で3人の子どもの父。直情径行タイプ。グリーン&プレヴィディファイナンスの取締役で金融アドバイザー
- イングリッド・グリーン:サイモンの妻。3人の子どもの母。小児科医
- アーニャ・グリーン:ペイジの妹。車いすの高校生
- サム(サミュエル)・グリーン:ペイジの弟。メイブリッジ大学の学生で、実家を離れて暮らしている
- ミトン:飼い猫
グリーン家関係者
- イヴォンヌ・プレヴィディ:グリーン&プレヴィディファイナンスにおけるサイモンの共同経営者。イングリッドの姉
- ジェシカ・キンバーグ:イヴォンヌの知人で弁護士
- コーネリアス・フェイバー:行方不明になっているペイジの友人を名乗る男
- ジェイ・スタンフィールド:イングリッドの同僚の医師
- ケイティ・ロジャーズ:ペイジが大学に通っていた頃のルームメイト(東洋系のビジュアル)
- ジュディ:ペイジが大学に通っていた頃のルームメイト(アフリカ系のビジュアル)
- ヴァン・デ・ビーク:ランフォード大学の生物学教授。家系図クラブ顧問。長期休暇中
- ダグ・マルツァー:ランフォード大学の学生
コーヴァル家
- アーロン・コーヴァル:ペイジのボーイフレンド
- ワイリー・コーヴァル:アーロンの父。コーヴァル・イン&ファミリー農園を経営
- イーニッド・コーヴァル:アーロンの母
- ブルーナ:アーロンの生母(?)。車の事故で死亡したとされる
麻薬ディーラー
- ロッコ:アローンのボス。メイジーという母がいる
- ルーサー・リッツ:ロッコの手下
殺し屋関係
- アッシュ(アシュリー・デイヴィス):殺しや窃盗を行う。ケヴィン・ガーノ、ダミアン・ゴース(「その場でタトゥー」オーナー/同性愛者で夫はニール)、ロビン・ベイリーに手を下す
- ディーディー・ラホイ:アッシュのアシスタント的存在。カルト教団「輝ける真理」内では「ホリー」と呼ばれている
- ミセス・オハラ:アッシュとディーディーの里親
- キャスパー・ヴァーテージ:カルト教団「輝ける真理」の指導者。別名は「真理」
- マザー・アディオナ/ドン/「来訪者」/「奉仕者」:カルト教団「輝ける真理」のメンバー
- ネイサン・ブラドリック:マザー・アディオナが命を救おうと忠告を試みる男性
警察関係者
- アイザック・ファグベンル:刑事。アーロン殺害事件を担当
- ルビー・トッド:刑事。アーロン殺害事件を担当。公私ともにファグベンルのパートナー
- アレックス・タルボット:刑事。ダミアン・ゴースならびにロビン・ベイリー殺害事件を担当
私立探偵エレナ・レイヴンスクロフト(ヘンリー失踪事件)の周辺人物
- エレナ・レイヴンスクロフト:元警官の私立探偵。マリア・フィンチリーを追う者として登場するが、それは事件というより個人的な理由によるもの。ルーというITに強い協力者がいる。夫ジョエルを2025年に亡くしている。ルーはジョエルの母にあたる
- マリア・フィンチリー:ヴィーガン食を提供するフィンチ&リーフのオーナー。娘デイジーがいる。ブルーノという犬を飼っている。母の名はレミ
- セバスチャン・ソープ:私立探偵エレナ・レイヴンスクロフトに息子ヘンリーの捜索を依頼。最近、アビゲイルという若い後妻を迎えた
- ヘンリー・ソープ:セバスチャンの養子で21歳。ドラッグの不法所持で指導処分を受けたことがある。セバスチャンの前妻グレッチェンに愛着をもっていた
- マイシュ・アイバーソン:養子縁組斡旋所「ホープ・アンド・グロース」の受付
- アリソン・メイフラワー:養子縁組斡旋所「ホープ・アンド・グロース」の元関係者。現在は「Ideal Retreat Holiday」という不動産会社の営業担当
- ミセス・ブレイディ:ケヴィン・ガーノの近隣住民
- ヴィクトリア:ヘンリー宛てに書簡を送ってきた女性
感想・メモ:散りばめられた謎。みんなが怪しい…
近年視聴したハーラン・コーベン原作のドラマのなかでは、かなり面白かったと思います(極めて個人的な見解です)。
失踪前のペイジに起きていたこと(大学内でのレイプ事件など)/失踪した動機、ペイジの母イングリッドの隠された過去、養子縁組斡旋業の闇、カルト教団のエゴイスティックな意図、麻薬組織の関わりなどが相互に絡み、人間関係のつながり/利害関係が広範に及んでいることがわかってきます。そして失踪したペイジは一向に見つかりません。
エピソード7でおおよその点と点がつながり、線となって全体像が見えてきますが、そこまでの流れはそれぞれに手が込んでいて充足感がありました。
疑問に思ったのは、このインターネット時代、SNS時代でありながら、1週間経ってもアッシュ&ディーディーの殺し屋カップルがアーロン・コーヴァルが既に殺害されていることを知らなかったこと。殺し屋は標的について事前に入念な情報入手を行うものだと思いますし、アーロンが殺害されたことは秘匿されていなかったはずなので「間抜け過ぎないか?」と作品全体の評価を下げる要因となりました。
ほかについては荒唐無稽であっても気にならず、織り込み済みで楽しむことができました。視聴者にはアッシュ&ディーディーがアーロンを殺したわけではないことがわかるのですが、警察はふたりが殺害したものとして処理する方向へと向かいます。
ペイジは物語の終盤で姿を現します。恒例の “どんでん返し” がありまして2段階になっています。1段階目は想定内でした。「ネタ明かしに時間取りすぎ」と思っていたら、2段階目が用意されていました。「やっぱりね」との感がなきにしもあらずでしたが、2層の構成はプラスの評価に値します。また、私立探偵エレナが事件捜査に関わった点も物語を引き立てていたと思います。
