どこか懐かしいドイツの諜報もの「アンファミリア」シーズン1

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原題は英語で “Unfamiliar(なじみがない)”。ウクライナ語でのタイトルもあるようで “Демасковані(正体が暴かれる)” という、より具体的な表現。

ドイツ連邦情報局(BND)元諜報員のシェーファー夫妻(ジーモン&メレット)が過去の任務や人間関係(殺し屋、ロシアのエージェント、BND、元恋人、仇敵)の謀略や蒸し返しに巻き込まれ、娘ニーナを含む一家が翻弄されるという内容でした。シーズン2があることを前提にしていると思います。

本作のように “元” ではなく “現役” スパイのドラマではありましたが、アメリカで暮らすソ連のスパイ夫婦の物語「ジ・アメリカンズ」を思い出しました。どちらも娘は両親の真の職業を知りません(後に知るところとなりますが)。両親は過去や現在の本当の仕事を隠しつつ子どもと暮らしています。

レトロ(懐古趣味)な感じであるためか、個人的には引き込まれた作品。

導入部あらすじ

ドイツ連邦情報局(BND)元諜報員のシェーファー夫妻(ジーモン&メレット)はベルリンでセーフハウス(隠れ家)を運営しています。彼らには16歳を迎える娘ニーナがいて、誕生パーティーの最中でした。

ある工作員(スパイ)が自作自演で自らを負傷させ、隠れ家に保護を求めます。メレットが調べたところ、警察や救急の出動記録、情報機関からの該当しそうなニュースソース、ネットで検証可能な顔画像、そのいずれも存在しませんでした。

怪我の状況に訝しいものを感じたジーモンは「どこの犬だ?」と問い詰めますが、男は白状しません。その男はメレットに対してジーモンを「兄」と呼び、隙を突いてメレットの指紋を採取。メレットとジーモンが兄妹を装ったのは16年前のベラルーシにおける任務だけだったことから、夫妻は謎の男の潜入意図を探り始めます。

その頃ドイツ連邦情報局(BND)では、長く捜していた標的ヨセフ・コレーエフ(GRUの高官)の目撃情報が共有されていました。彼には対独スパイ活動に関与した疑いがもたれていました。

外交経験のない妻ヴァレリアが異例の人事で駐ベルリンのロシア大使に就任することが予定されており、それを夫ヨセフをドイツ国内へ潜入させるための隠れ蓑と判断したBNDは、彼らを国外退去に追い込むことを考えます。

いっぽうでヨセフ・コレーエフは「ベラルーシでの記録にない作戦に関わった、名前も分からない2人(つまりシェーファー夫妻)」を捜しており、そのために民間警備会社を組織するヨナス・オーケン、彼のネットワークのマーク・シンクレア(自作自演で負傷する男)を雇っていました。捜していた人物を見つけ出した場合、ただちに殺害する計画でした。

GRUのヨセフ・コレーエフは、BND内に “ヒトデ” と呼ぶ内通者を得ています。かたやシェーファー夫妻のかつての上官グレゴール・クライン(BND)は「ベラルーシでの件をもみ消すため、コレーエフは事実を知っている人物を消そうとしている」と語り、逆に彼を殺害するよう、関係者であるメレットとジーモンに促します。

その後、ベラルーシで死んだはずのBND諜報員カティアが姿を現します。瀕死だった彼女は、自分のお腹にいた娘は死んだものと思っていました。

登場人物

シェーファー家の関係者

  • ジーモン・シェーファー:隠れ家運営者だが、表向きはレストラン「ザ・ガーデン」のシェフ。かつてはドイツ連邦情報局(BND)の諜報員で医師。ベラルーシではカール・ブレーメを名乗っていた
  • メレット・シェーファー:ジーモンの妻。隠れ家運営者。かつてはドイツ連邦情報局(BND)の諜報員。ベラルーシではヘレナ・コーン(“ハイタカ”)を名乗っていた
  • ニーナ・シェーファー:ジーモンとメレットの娘。ちょうど16歳になったところ
  • ユル・バトバータル:ジーモンの元で働くキッチンスタッフ。ニーナのボーイフレンドでもある

諜報機関の関係者

MI6(イギリスの秘密情報部)の関係者

  • マーク・シンクレア:MI6の元工作員。自作自演の負傷により、夫妻の隠れ家へ潜入。仲介組織(民間警備会社)を通して、ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)からの任務を請け負っていた

ドイツ連邦情報局(BND)の関係者

  • ユリカ・リッター:BNDの分析官。ヨセフ・コレーエフを追っている
  • アリス・ベルモント:ユリカの同僚で、彼女の恋人
  • ベン・クルーガー:ユリカらの上官
  • グレゴール・クライン:元部門長。ドイツへ入国しようとしているヨセフらへの対処のために呼び戻される。16年前にベラルーシで負傷。当時諜報員だったシェーファー夫妻の元上官
  • カティア・ヴォルコヴァ:諜報工作員(“カティア” は偽名)。ベラルーシで毒を盛られて瀕死となるが、医師でもあったジーモンによってお腹の子どもの命を救われる
  • ルーカス:内部調査の責任者(首のない人)

ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)の関係者

  • ヨセフ・コレーエフ:ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)の高官。BNDの監視対象となっている
  • ヴァレリア・ヴェラ・コレーエワ:ヨセフ・コレーエフの妻。外交経験がないにも関わらず、駐ベルリンのロシア大使に就任。クララは補佐官。前の夫はディミトリ
  • シャ・スルコフ:ヴァレリア・ヴェラ・コレーエワの父。ロシアの要人

民間警備会社の関係者

  • ヨナス・オーケン:民間警備会社(殺し屋業務を含む)を組織。GRUのメンバーではないが、ベルリンでコレーエフをサポート。モロッコ時代(17年前)はメレットと恋仲(不倫関係)にあった。メーティンは腹心の部下。ラニー・ノーズはモロッコ時代の部下
  • ブキッシュ:“本大好き” というコードネームの殺し屋
  • シャドウ:殺し屋
  • マイテ・オルセン:ノルウェー軍特殊部隊の元メンバー

感想&メモ:面白いが、シーズン2がなければ意味がない

全体像としてはドイツ連邦情報局(BND)が、ロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)の怪しい動きを食い止めようとする物語。BNDは “今が旬” とばかりにGRU高官ヨセフ・コレーエフの行動を注視しますが、“2010年頃(16年前)の記録に残されていない出来事” が出発点というところに面白さがあります。

[シーズン1でわかったこと/筋書きのポイント]

  • 16年前のベラルーシ。ドイツ連邦情報局(BND)はロシア連邦軍参謀本部情報総局(GRU)の高官ヨセフ・コレーエフをハニートラップを使って内通者にしようとした
  • 作戦(内通者に仕立てることは)失敗。BNDのグレゴール・クラインは銃で撃たれ、ヨセフ・コレーエフの子を身ごもったBND工作員カティア・ヴォルコヴァは毒殺されそうになる
  • 毒を盛られ、死を免れないと予想されたカティアの後始末をするよう、グレゴールに指示されたカール(ジーモン)は緊急手術を行い、彼女のお腹の子どもを取り出す
  • 負傷しているグレゴールはヘレナ(メレット)、取り出された赤ん坊とともに病院へ。現場を離れていたため、カティアが始末されることなくカール(ジーモン)の治療によって生かされたことを、グレゴールとヘレナ(メレット)は知らない。GRUのヨセフも知らない
  • ベラルーシでの一連の出来事をきれいに揉み消したいロシア側は、民間警備会社のヨナス・オーケンと契約して関係者たちの殺害(口封じ)を目論む
  • 17年前(ベラルーシの作戦の1年前)、モロッコで出会ったヨナス・オーケンとヘレナ(メレット)は不倫関係にあった
  • BNDの標的になっているGRUのヨセフ・コレーエフはBND内部に内通者(“ヒトデ”)を抱えており、“ヒトデ” を情報源として活用
  • ①ロシア vs BND(標的ヨセフ・コレーエフを追うBND)、②ロシア vs 元BNDのメレット&ジーモン(ベラルーシの件の痕跡を消そうとするロシア)でせめぎ合っていたものの、元BND工作員のカティアが姿を現し、シーズン1の最後で分析官のユリアと取引をしたことで、シェーファー夫妻(メレット&ジーモン)は逮捕され、娘ニーナを連れ去られてしまう

ロシアとドイツの間には、どちらも守りたい/入手したい機密、拡大していきたい権力構想があったし、現在もあるのでしょうが、それらが明らかになるところまで話が発展することはなく、あくまでも人間関係の物語に仕上がっています。

人間関係とは夫婦、親子、かつての恋人同士。ジーモンとメレットの夫婦関係は長い間うまくいっておらず(そんなふうには見えなかったのですが)、それもあって諜報員としての任務を通じてではあるもののモロッコでメレットとヨナスは恋に落ち、自分を育ててくれている両親と血のつながりがないことを娘のニーナは知らず、生みの母カティアは死んだと思っていた娘を手元に戻したくてたまらない。

ヨナス殺害の容疑で逮捕されてしまったメレット&ジーモンはどうなるのか、ニーナを連れ去ったカティアは実の娘と上手くやっていけるのか、シェーファー夫妻はニーナを取り戻すことができるのか、といったところはシーズン2がない限りは回収されません。ゆえにシーズン2があると予想します。

土台にあったのはロシアとドイツの諜報機関が動くレベルの事案なわけですから、国としての陰謀/野望との絡みも描かれないと「記録に残されていないベラルーシ云々」の設定が生きてきませんしね。

IMDbのスコアはノルウェー作品の「刑事ハリー・ホーレ」のほうがずっと高いのですが、個人的な好みで言うと「この先のストーリーを作り込んでくれれば」という条件つきで本作のほうがむしろ高評価です。

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