本当にあった税関職員の潜入捜査に基づくドラマ「レジェンズ~麻薬潜入捜査班~」

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実話に基づく、一分脚色を含んだイギリスのドラマ。原題はそのまま “Legends”。

“Legends” とは作戦名かと思ったら違っていて、潜入捜査にあたって作り上げるペルソナ(人物像)を指していました。

税関職員が麻薬捜査官として組織に潜入、任務遂行のために数々の危険を潜り抜けていきます。仕事の合間の気分転換に視聴したところ、とても面白い作品。強くお勧めします。

導入部あらすじ

1990年(第71代英国首相サッチャーの任期の最後辺り)、リバプールとオックスフォードで、若者らがヘロインによって死に至ります。マイキーはリバプールの公営集合住宅で暮らす、恐らくは労働者階級の少年で15歳。アラベラは名門オックスフォード大学の学生で閣僚の娘。対照的な育ちでありながら、どちらもイギリス社会の階層構造において象徴的なポジションにありました。

若者(特に名家の子女)の麻薬関連死とスキャンダルを問題視した内務大臣は、①国家の経済的危機、②麻薬流通の国家的危機、③首相が麻薬問題に関心を寄せていることを理由に、ヘロインの国内流入の阻止を関税消費税庁捜査課(ひらたく言えば税関職員)に命じます。

与えられた期間は半年。メンバーの増員や予算の増額はなし、というのが条件。

国境の水際で麻薬流入を食い止めることについて、警察にその座を明け渡すわけにはいかないと、関税消費税庁は威信をかけてプライドと十分な成果を示そうと考えます。お金も人員も増やすことは許されませんでしたが、やり方だけは一任されました。

関税消費税庁捜査課部長のアンガス・ブレイクは、潜入捜査の経験があるドン・クラークを指揮官とし、応募者たちに3週間の極秘訓練を実施した後、素質とやる気のある者を選抜。彼らを麻薬捜査官に仕立てることにします。

“COULD YOU OFFER MORE?(力を持て余している者 募集)” というポスターが各職域に貼りだされ、関心をもった職員たちが説明会に集まりました。そして3人(ケイト/ベイリー/ガイ)が捜査官に選ばれ、エリンが後方支援担当となりました。

一日のタイムテーブルが明確だったこれまでの職務と異なり、時間を問わず予測不可能な状況下で働くという過酷な日々が始まります。

調べによれば、ヨーロッパのドラッグの4分の3はトルコを経由し、イギリスにおけるヘロイン市場は拡大の一途。ライバル関係のふたつの組織が供給に関わっていて、ひとつはロンドンのトルコ系コミュニティ、もうひとつは港湾都市リバプールを拠点とした組織でした。そのふたつに同時に潜入し、流通や取引について捜査のうえ、彼らの活動を摘発することが “レジェンド” たちの任務です。

ロンドンのトルコ人コミュニティへの単独潜入を命じられたガイには、特に高い水準の働きが要求されました。心配する捜査課部長のアンガスに対し、かつて潜入捜査官だったドンは「彼なら、きっとできます」と答えます。

リバプールの組織を担当するふたりのうち、ベイリーはどちらかといえば慎重、ケイトのほうが勇敢で冒険的な性質(独断専行型)でした。

3人の捜査官は税関職員としての生活とは天と地ほど異なる、混沌とした危険な日々へと足を踏み入れます。いたる所に危険な橋が待ち受け、薄氷を踏むような体験の連続。

トルコ人コミュニティに流れているヘロインは、パキスタンを産地とし、アフガニスタン、イランを陸路で経由してトルコへと運ばれ、イギリスへと空輸。

いっぽうのリバプールの組織の扱うヘロインは、品質等の面でトルコ人コミュニティのそれより劣っていたため買い手が減っているという状況で、両組織は競合関係にありました。

ふたつの麻薬組織はWIN-WINの関係になるべく、いったんは手を結びます。しかし内部にはその選択に不満をもつ者たちもいて、グループの内外に亀裂が生じていきます。

登場人物

関税消費税庁の関係者

  • アンガス・ブレイク:関税消費税庁、捜査課の部長
  • ドン・クラーク:作戦指揮官。元警官で潜入捜査官の経験がある。人手不足ということもあって、随所で “レジェンド” たちをサポートする役回りを演じる
  • ケイト:ロンドン勤務の関税消費税庁の風紀課職員。リバプールの組織を担当。投資家を装って、組織のボスであるカーターに接近する
  • ベイリー:ロンドン勤務の関税消費税庁の職員。移民の子として育った。リバプールの組織を担当
  • ガイ・スタントン:サリー郡在住。ヒースロー空港で手荷物検査を行う税関職員。妻ソフィーも同じ職場のスタッフ。リリーという娘がいる。ロンドンのトルコ人コミュニティへの潜入を担当
  • エリン:関税消費税庁の秘書。潜入捜査に関して “レジェンド” 拠点からの後方支援を担当
  • ショーン:マンチェスター税関で付加価値税業務を担当。リバプール出身。潜入捜査チームに採用されなかった。ケイト&ベイリーに直訴して “地元の協力者” として潜入捜査の一部を任される。妻リアと娘エラがいる

ロンドン(グリーン・レーンズ)のトルコ人コミュニティ関係者

  • ミロナス:服役していたギリシャ人。アンガス・ブレイクの情報源。キプロスの武装組織EOKAの元メンバー。妻のザーラはパシュトゥーン人
  • ハカン・ウルカヤ:トルコの組織を仕切っている人物。クルド人
  • ゼキ:ハカンの手下。下剋上を狙う。クルド人
  • アジズ・ウルカヤ:ハカンの息子
  • タネル:ハカンの手下
  • マフメト:トルコからの運び屋
  • アスラン:カジノのオーナー。キプロスの武装組織EOKAの元メンバー
  • ウッディ:運び屋。スコットランドのグラスゴーで射殺される
  • バラン:イスタンブールでハカンの仲間に仕えている男

リバプールの人たち

  • ジェド・ドルビー:デイブレーク・ベーカリーのオーナー
  • ディーン・ナレイ:ベーカリーのバンのドライバー。給付金詐欺で失職する
  • デクラン・カーター:麻薬組織のボス。用心棒、売人からのし上がった
  • エディ・マッキー:麻薬組織のメンバーではあるが、息子トミーがオーバードーズで死んでから態度に変化
  • ダニー&ジョ―・オコンネル:ジャージ姿が目印。ひょっとしたら兄弟。トルコ人コミュニティの運び屋ウッディをスコットランドで射殺(なので、ハカン・ウルカヤをはじめとしたトルコ人コミュニティからしたら明白な敵)。リバプールの組織のメンバーではあるが、ボスのカーターとも反目
  • アーサー・グッドウィン:カーターに協力している汚職警官
  • リーポール:カーターの手下
  • トミー・マッキー:軍人。休暇で一時的に実家へ戻ってくる。妹はベス、母はキャロル
  • ジェイド:トミーにヘロインを売る
  • ウェイン・ダフィ:麻薬撲滅運動のリーダー

その他

  • ハリエット・オグストン:MI5の責任者
  • ローレンス:MI5のメンバー
  • アユブ・アフリディ:ヘロイン流通におけるパキスタンのボス。軍事指導者としてドラッグ、武器密売、テロ支援と幅広く関与
  • ピート:検疫所で働いている。元特殊舟艇部隊。操船に詳しい
  • ジャン:カーターの母
  • ヤスミン:ハカンを匿う人

感想&メモ:実話に基づいているからかドキドキハラハラの連続

最初から最後まで、ほどよい上下を繰り返しながら緊張感が持続します。

静的イメージの強い税関職員たちのリスキー過ぎる任務

個人的な記憶と印象でいえば、税関職員とは陸海空からの到着客の進むルートのどこかにいて、申告すべき物品等があれば書類を差し出したり、荷物を開けたりすることになっている係員というポジション。いざとなれば怪しいトラベラーと格闘くらいするのかもしれませんが、基本的にもの静かで、文科系、事務官に近いイメージ。

マフィア、ギャング、場末の掃き溜めが似合わない職種という先入観があったため、ある日を境に麻薬捜査官として働く姿が意外であるとともに刺激的でした。

いかにもなガタイ&人相で、拷問に耐える/銃撃等の訓練を重ねてきたアメリカのDEA等とは一味も二味も違います。「“普通の生活を送っていた人が、ある日突然、麻薬捜査のために潜入捜査員となる” という物語によって、私は多大なる高揚感を得た」と、ご報告しておきます。

実際にあったことをベースにしているので臨場感が別格

このドラマは、詳細なインタビューをベースに製作されたそうです。つまり実際にイギリスであった出来事が盛り込まれています。

エンドロールには

この番組は実話に基づいていますが、登場人物や出来事はドラマチックな効果を狙って脚色されており、実在の人物との類似点は全くの偶然であり、意図的なものではありません。

と表示されるため、もちろん脚色も含まれているのでしょう。

日本でも税務調査のために税務関係職員等が潜入して捜査することはあるようです(参照:映画「マルサの女」)。しかし麻薬売買の実態を掴むために、ギャングやマフィアの組織に税関職員や税務署員が潜り込むことはないのでは?(税関職員も税務署員も日本では「警察職員ではない国家公務員」に該当。どちらも財務省が管轄)

このドラマで潜入捜査を行っている人たちは、あくまでも「昨日までは一般人/普通の人たち」であったため(どこかで “素人さん” と思っているんでしょうね)、視聴している自分自身の延長線上の物語にも見え、自分の身の上に起きている出来事のような臨場感がありました。

税関職員たちが本来業務とは言えない任務に四苦八苦、潜入捜査に割ける予算や人員が最低限ということもあって、常にギリギリのところで “レジェンド” として立ち回る姿には心打たれます。

1990年当時、ロンドンには既にトルコ人街というのがあったんだなあと思いながら視聴すると、それもまた趣があります。

ドラマの舞台のひとつとなるグリーン・レーンズ(トルコ人街)周辺にはキプロス、トルコなどからの移民が多数住んでおり、祖国の文化に基づくコミュニティが形成されているようです。

協力/断絶/内通者…いろんな要素が絡み合っての面白さ

麻薬組織間に生まれる協力関係、捜査官相互の情報断絶、警察組織内の内通者など、興味を引く展開が繰り広げられます。

トルコ人コミュニティに潜入したガイの妻ソフィーは、夫の重大な任務について(詳細は知らないものの)協力的で、彼を応援しています。しかし夫や自分たち家族に危険が及びそうなことを察知し、ときに心配を募らせます。

関税消費税庁捜査課の部長ブレイクや指揮官のドンは警察や軍隊顔負けのやる気を示し、“レジェンド” たちの危険を承知で大胆な采配を振るいます。

“レジェンド” を生き、任務完了後は “レジェンド” を捨てる、それもまた難しい道。

あのドラマに出演していた俳優たちも登場

私が視聴するカテゴリーは偏っています。ほかで活躍されている俳優さんも多数いるのでしょうが、私にとって馴染み深いところをピックアップしてみました。

「ナイト・マネージャー」出演者

  • ダグラス・ホッジ(アンガス・ブレイク役) ⇒ レックス・メイヒュー役だった人
  • ヘイリー・スクワイアーズ(ケイト役) ⇒ サリー・プライス・ジョーンズ役だった人

「YOU-君がすべて-」出演者

  • シャーロット・リッチー(ソフィー・スタントン役) ⇒ ケイト・ガルヴィン役だった人

「HOMELAND/ホームランド」出演者

  • ヌマン・アカル(ハカン・ウルカヤ役) ⇒ ハイサム・ハッカニ役だった人

[ロケ地]イギリス(ハンプシャー州ファーンボロー/サリー州キャンバリー/ロンドンのアクトン&マスウェルヒル)、モロッコなど

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