アメリカの諸問題を凝縮した群像ドラマ「THE WIRE」

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メリーランド州ボルチモアを舞台に、警察と麻薬取引、人種問題、港湾管理、教育、政治、犯罪など、アメリカの都市が抱える諸問題を描いたドラマです。以前は追加課金なしで、Amazonプライムで見ることができました。

ボルチモアは人口の60%が黒人で、労働者階級の多い地域です。

  • シーズン1:特別捜査班の結成とボルチモア西部の麻薬組織バークスデール・ファミリーとの戦い
  • シーズン2:ボルチモア港が舞台。国際的な犯罪組織のグリーク・ファミリーと港湾労働組合が事件に関与する。特別捜査班が捜査のために再結成される
  • シーズン3:常設となった特別捜査課はバークスデール・ファミリーや新興のスタンフィールド・ファミリーを追う。政治家たちの干渉が捜査や街の状況に影響を及ぼす
  • シーズン4:警察の動きに影響を与える市長選。スタンフィールド・ファミリーは力を増す。犯罪に手を染めるようになっていく地域の少年たちの姿を描く
  • シーズン5:市と州の政治、警察の人事、ギャングの抗争などが描かれる。麻薬組織の尻尾を捕まえるために警察は事件を捏造。それらに新聞社が関わっていく

「THE WIRE」とは「盗聴」という意味です。警察による、捜査を目的とした盗聴は好き勝手に行うわけにはいかず、しかるべき手続きが必要です。麻薬取引には暗号や隠語を使います。盗聴によって組織の動きを知り、取引現場や証拠を押さえます。

政治の影響を受ける警察内人事。特別捜査班内の人間関係やメンバーの個性的なバックグラウンド。手柄を挙げるために不正な手続きや無理な計画を採る警官。巻き込まれる同僚警官。いろんな要素が絡み合います。

バークスデール・ファミリーやスタンフィールド・ファミリーは黒人からなる組織ですが、シーズン2では東欧からの貧しい移民と、その層をターゲットとする別の犯罪組織が手を組みます。

どのシーズンも非常に面白いです。好き嫌いが分かれますが、学校や少年たちに焦点を当てたシーズン4も私は高く評価しています。貧しい黒人コミュニティが、繰り返し犯罪者を生み出す構造が可視化されています。

[配役についてのメモ]

  • ジミー・マクノルティ(下品なお騒がせ警官)役:ドミニク・ウェスト ⇒ リリー・ジェームズとの不倫報道がありました。「THE WIRE」では下品&お下劣な役どころでしたが、ドミニク自身は実はイギリスの高貴な家柄の生まれで、お城のようなところで暮らしています。
  • セドリック・ダニエルズ(警察の管理職)役:ランス・レディック ⇒ 「BOSCH/ボッシュ」にも警察の管理職役で出演しています。
  • トミー・カルケティ(政治家)役:エイダン・ギレン ⇒ 「ゲーム・オブ・スローンズ」でリトルフィンガー役、「シングストリート 未来へのうた」で主人公の父親役です。
  • ストリンガー・ベル(バクスデール・ファミリーのナンバー2)役:イドリス・エルバ ⇒ 押しも押されぬ有名人ですね。
  • オマール・リトル(一匹狼のギャング)役:マイケル・ケネス・ウィリアムズ ⇒ 「ボクらを見る目」で冤罪逮捕となる少年の父親役。「ザ・ソプラノズ~哀愁のマフィア」などにも出演しています。顔の傷が目印。
  • マルロ・スタンフィールド(スタンフィールド・ファミリーのボス)役:ジェイミー・ヘクター ⇒ 「BOSCH/ボッシュ」で主人公ハリー・ボッシュ刑事の相棒役を演じています。
  • スヌープ・ピアソン(マルロの手下)役:フェリシア・ピアソン ⇒ オマール役のマイケル・ケネス・ウィリアムズが、バーだかクラブだかでスカウトしてきた刑務所帰りの女子。すなわちホンモノ。
  • マイケル・リー(マルロの用心棒となる中学生)役:トリスタン・ワイルド ⇒ その後、ヒップホップシンガーとして大成功しています。
  • ウォレス(バクスデール・ファミリーの手下の少年):マイケル・B・ジョーダン ⇒ 当時は子役でしたが、現在は俳優として大成功しています。「フルートベール駅で」の主役などで高く評価されています。実話に基づく映画「黒い司法 0%からの奇跡」もよかったです。

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