味わい深さで魅了するイギリスのドラマ「埋もれる殺意」シリーズ

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その土地の風土、文化の魅力をじんわりと伝えつつ、コツコツと事件解決に向かうドラマや映画が好きです。派手じゃないけれど興味深くて心に残る作品に惹かれます。過去に書いたなかでは、ウェールズを舞台とした「ヒンターランド」、ヨークシャーを舞台とした「HAPPY VALLEY(ハッピー・バレー 復讐の町)」がその例。直近ではノッティンガムシャーを舞台とした「刑事シンクレア シャーウッドの事件」も該当します。

ウェールズの風景、建物、インテリアを楽しむなら「ヒンターランド」
"Hinterland" とは「奥地、内陸地域、後背地」という意味です。妻に追い出されトレイラーハウスで暮らす男性刑事、訳あって未婚シングルマザーの女性刑事が中心となって "過去の闇" から起きた事件を解決していきます。
海外ドラマから「認知の歪み」を考えてみる-「HAPPY VALLEY(ハッピー・バレー 復讐の町)」
出産後に自殺した娘をもつ巡査部長キャサリン。職務上のひょんなことから、亡き娘の子供の父親であるサイコパスを追うことになります。
炭鉱集落のダークサイドに迫る“いぶし銀”ドラマ「刑事シンクレア シャーウッドの事件」
実際に起きたふたつの殺人事件から着想を得た警察ドラマ。いろんな点でイギリスらしい作品です。

遺された “骨” を手掛かりに事件を追う「埋もれる殺意」シリーズは「39年目の真実」(シーズン1にあたる)が最も古く、「26年の沈黙」(シーズン2)、「18年後の慟哭」(シーズン3)と続きます。舞台はイギリスです。原題は “Unforgotten”。

Amazonプライムビデオで視聴できるのは現時点でこの3シーズンのみですが、少なくともシーズン5まではリリースされています。シーズン5にはニコラ・ウォーカー(キャシー・スチュアート警部役)は出ていないので、部下だった “サニー” が陣頭指揮を執る体制に変わったのかもしれません。

日本でのシーズン4以降の公開を願っています。中途半端な作品で持ちネタの数を増やすくらいだったら、こういう堅実で良質なシリーズを引き続き配信して欲しいと思います。

各シーズンのあらすじなど

イギリスは街の雑踏を見ても心躍りますが、郊外の緑地帯も同様です。それが、たそがれた風景だったとしても。このドラマシリーズもまずは映像に魅了されます。ストーリーもなかなかで、きちんと作り込まれています。

「39年目の真実」(6エピソード)

警察の動き

人骨が発見され、警部キャシー・スチュアート(ニコラ・ウォーカー)が部下の警部補サニル・“サニー”・カーン(サンジーブ・バスカー)とともに現場へ向かう。頭蓋骨に致命的な損傷が発見される。発見現場は何度も建物の建て替えが行われた場所で、建物の歴史を調査し、人骨がどの時期のものかを特定する。現場からは車のキーも発見される。捜査を経て、39年前にリバプールで姿を消した青年ジミー・サリバンが浮上する。彼が遺した手がかりから、捜査陣は39年前に何があったのかを探る。

その他の登場人物

  • スレーター家:老いたスレーター夫妻(元会計士のエリック、妻クレア)。息子レスは両親を施設に入れたい。もうひとりの息子マットは家で自由に過ごさせたい。ふたりは意見が対立する
  • ウィルトン家:サッカーチームのコーチをしているレイとその妻リジー。彼女は献身的にメンバーの面倒をみている。特にマイノリティの選手カーティス・サルガドを熱心にサポートしている
  • 政財界:よくない過去をもつフィリップ・クロス卿は政界への足掛かりを得る。妻シャーリー、弁護士の娘ベラ、ビジネスマンの息子ジョシュがいる
  • 教会:ロバート・グリーブス神父。妻グレース、結婚を控えたエリ―、キャロラインという娘がいる。ジェフ司教は会計上の問題で会計士とやりとりしている。シーラは庶務のような役割である
  • フェンリック家:麻薬密売等を稼業としていたマフィア。その後、一家は散り散りとなっている

メモ・感想

人種や同性愛の問題、聖職者の謎に満ちた行動、闇社会から成り上がろうという企て等で組み立てられたストーリー。そこそこ平穏な余生、上り調子の人生を送っていた人たちが、若かった頃の行ないや過ちによって人生を根底から揺さぶられる。

人間は過去から現在に向かって物事が改善していると思いたい。波風などなかったように、これまでの人生をきれいに装うように奮闘する。でも掘り起こされた骨のように過去って変えられないのよね。それをどのように受け入れるかは家庭によりさまざま。

「26年の沈黙」(6エピソード)

警察の動き

ロンドン北東部の川でスーツケースに入った白骨遺体が発見される。26年前に死亡したと考えられた。遺留品の時計から被害者が “デビッド・ユアン・ウォーカー”であることが判明。ポケベルも見つかり、警部キャシー・スチュアートは息子の友人ネイサンに協力を依頼する。警部キャシーと警部補 “サニー” はデビッドの妻だったテッサに会うため、コッツウォルズに向かう。デビッドは生前、娯楽産業に携わっておりトーリー党を支援していた。また彼が大きなトラウマを抱えていたという証言を得る。

その他の登場人物

  • ニクソン家:警部補のテッサ・ニクソン(旧姓ウォーカー)、彼女の現夫のポール・ニクソン、前夫との息子ジェイソン・ウォーカーからなる。現夫のポールと彼の前妻の間にはベッカという娘がいる
  • コリン&サイモン:ゲイのカップル。コリン・オズボーンは弁護士。フローラを養女にするつもりでいる。彼女の生みの母と暮らす男タイラーにつきまとわれる
  • ケルシー家:妻マリオンは病院で看護師をしており、患者のゾーイを親身にサポートしている。夫はトニー。マリオンにはエリースという姉がいるが仲はよくない
  • マームード家:妻サラは教師。精力的な人物で校長のポジションを目指していた。夫はハッサン。息子が3人いる。イスラム教徒

メモ・感想

26年前の白骨死体の発見を機に、明かされてこなかった過去がいくつもの家族を揺るがすことになるストーリー。何人かの容疑者をつなぐ秘密は少しずつ明らかになっていくが捜査そのものは難航し、真犯人になかなか辿り着くことができない。エピソード6が最大の山場。iMDbのスコアも8.9と非常に高い。児童虐待と家族関係がテーマ。

「18年後の慟哭」(6エピソード)

警察の動き

ロンドンの高速道路の中央分離帯下から女性とみられる白骨遺体が発見される。警部キャシーと警部補 “サニー” のチームは捜査を開始。外科手術で骨にチタンのプレートを入れており、それがキプロスの会社のものであることが判明。捜査を経て被害者が1999年の大晦日に行方不明となったヘイリー・リードであることが判る。彼女の失踪前の行動をひとつひとつ洗い出していく。

その他の登場人物

  • ホリス家:夫のジェームズはテレビ司会者。離婚した妻メリッサとの間の息子エリオットが行方知れずになる。現在は後妻エイミーと暮らしている
  • フィンチ家:夫のティムは医師。先妻デランとの間に娘エマ、クレアがいる。後妻はキャロル。ティムは患者の娘アリソン・ピニオンに告発されている
  • カー家:夫のピートは金融商品のセールスマン。妻はマリア。ジョシュとウィルというふたりの息子がいる。経済的に困窮している
  • クリス・ロウ:元企業経営者。画家でアーティスト。犬のフランキーと車で暮らしている。別れた妻ローラ、彼女との間に娘マヤがいる。双極性障害を患っている

メモ・感想

シーズン1の39年から始まって、シーズン3では18年と遺骨が地中に眠っていた年数が短くなってきた(長さで勝負しているわけではないことを示すためか?)。

警部キャシーの捜査上の過失があり、容疑者が複数いてもなかなか真犯人を特定できなかったり、新たな失踪事件が浮上したり、驚きの告白があったりと最後まで事件の全貌が明らかにならないところがポイント。警部キャシー、警部補 “サニー” らと家族、容疑者とその家族の離散や崩壊、ときにリユニオンが描かれるのもこのシリーズの特徴と言えるだろう。このシーズンの最終エピソードもiMDbのスコア8.7と非常に高い。

本作のテーマソングが大好き

この作品の冒頭に流れる短く編集されたテーマソングが好きです。ダウナーで静謐な感じを気に入っていたのですが、歌詞の内容を知って驚きました。耳が痛いとはこのこと。

ともあれ、お願いです。シーズン4・5を早く配信してください。

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