「ベター・コール・ソウル」シーズン6、エピソード11(後半4話目)のあらすじ&感想

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エピソード10で、封印していたソウル(ジミー)時代のスキルを活用し、“ゲーム” を成し遂げたシナボン店長ジーン。なぜ1話すべてを、あのストーリーに費やしたのかと思っていましたが、エピソード11を観たら、その疑問が解けました。

そして「ブレイキング・バッド」のタイトル通り、「ブレイキング・バッド(ソウルとして生きているジミー)」と「ベター・コール・ソウル(ジーンになっているジミー)」が交錯し、ときに両者を同時に体験し、これまでのジーン(シナボン店長)を捨てる行動につながる内容となっています。

エピソード11(ブレイキング・バッド)

ジーンは、ある人物(不動産管理か何かの仕事をしている)と連絡を取り、かつての約束を果たします。シーズン4のエピソード5(危ない橋)の冒頭シーンで、ソウルは「11月12日午後3時は頼むぞ」と言い、彼女は「ちゃんと行くけれど、電話が鳴らなければ帰るから」と答えています。「大丈夫、電話は3時に鳴る」と請け負い、掃除機屋(“人消し屋”)のところへ行くジーン。

エピソード11において、その日、確かに午後3時に電話は鳴るのですが、果たして「11月12日」なのでしょうか。「11月12日」だったと仮定して、ソウルが姿を消して以来、どれくらいの期間が経っているのでしょう。直近の「11月12日」だとしたら、ジーン(ソウル)が老け込み過ぎ。

電話で、かつて関わりのあった、自販機で上手くモノを買えない地区検事補ビル・オークリーが弁護士として独立開業したという話を、ジーン(ソウル)は聞きますが、それなりの月日が経っていないと “誰かのその後” の話が成立しないように感じます。

一方で、白黒映像で、ジーン(ソウル)がやけに老け込んでいるため、姿を消してから数年以上が経過しているように感じるだけで、ジーンとして生きるようになってから、せいぜい1年以内の話という線も捨て切れません。

「レーザータグ」という言葉が会話に出てきます。サバイバルゲームで用いる、赤外線レーザー光によって場所等を特定するツールのようです。アルバカーキで「それが失われた」と言っています。ソウルの節税会社が海外に持っていた隠し口座もFBIに特定され、財産を没収されたと知ります。

“ジミーの安否” を尋ねる電話が、キムからその人物にあったことも知ります。その後、ジーンは思い立ってキムの勤務先(フロリダの “パームコースト・スプリンクラー” )に電話しますが、上手く繋がらなかったのでしょうか、憤って電話ボックスを破壊。いきさつは分かりませんが、ジーンは彼女の勤め先を知っているんですね。かつては弁護士だったのですから、それくらいのことはラクラク調査してしまえたのかもしれません。

「ブレイキング・バッド」で、ジェシーに新天地としてフロリダを勧めていたのは、キムがそこにいたからかも(ジェシーはフロリダには関心がなかったようで、アラスカへ向かいます)。

そのような、ソウル・グッドマン失踪後の状況を聞いたことをきっかけに、ジーン(ジミーでありソウルでもある)は大金を稼ぐ決意をします。手持ちで多額の資金を持って逃げたようなのですが、シナボン店長としての給料だけでは、老後資金が不足するということでしょうか。「ムカつくぜ!FBI!今に見てろ」という気持ちあってのことかもしれません。

エピソード11では前回のメンツが再登場。一旦は「“一度切りのゲーム” だ。再び会わない」と言ったにも関わらず、ジーンはタクシー運転手ジェフとその友だちにコンタクトを取ります。そして “次のゲーム” に誘います。

恐らく、“最初のゲーム” と “二度目のゲーム” の間に「11月12日の出来事」があったのではないかと。調べると「オマハでは例年11月9日くらいから雪が降る」とありました。ということは、“最初のゲーム” と “二度目のゲーム” の間は、1年くらいは空いていたと考えるのが、自然ではないかというのが私の考えです。

さて、今までの人生で培ったスキルを駆使するジーン。バーで初めて会った人物(事前調査済)と意気投合、安心させて酔わせます。タクシー運転手ジェフが酔った客に睡眠薬入りの水を振る舞い、家に侵入できるよう手はずを整えます。その後、ジェフの友だちが犬を連れて家に入り、個人情報や金融資産の情報をコピーします。その個人情報を売ることで、ジーンら3人は荒稼ぎします。

ある日、すい臓ガンに侵された男が、バーのターゲット席に座ります。家に侵入して個人情報を盗み出す役割の男(タクシー運転手ジェフの友だち)は自分の父親と同じ病であることを知り、哀れみから任務を遂行しません。彼がガンであることはジーン(ジミーでありソウルでもある)も知っていましたが、個人情報を盗まなかったことに激怒します。

そして両者の板挟みになって困惑するジェフに車を運転させ、自ら現場に乗り込みます。これまでのシーズン、エピソードを観ても、ジミーはときに冷酷で、キム以外の人物に対する温かさに関しては、裏に何かがある感じがしました(恐らくキムにだけは心底温かった。死んだ兄チャックに対しては微妙)。

ガレージで深夜、計画通りにメンバーが行動しなかったことへ怒り心頭の大声を上げるジーンに、ジェフの母マリオンは、不穏でいつもと違う雰囲気を察知します。

「ブレイキング・バッド」のウォルター先生とジェシー・ピンクマンが過去シーンに登場。ウォルター先生が “ハイゼンベルク” であることを知った頃のソウル(「ブレイキング・バッド」シーズン2エピソード8の30分~34分過ぎ辺りと繋がる)と、窃盗の指南役としてベッドに横たわるジーンの姿が重なります。

ジーンは通販でフットマッサージャー(SWING MASTER)を購入。かつてソウルだった頃、事務所でもフットマッサージャーを使っていました(その回想シーンで、当時のマイクが登場。ガスについては「名前を言ってはいけないあの人」とソウルによって表現されている)。このときのマイクから得た情報を基に「ブレイキング・バッド」でソウルはウォルター先生の職場を訪問します(「ブレイキング・バッド」シーズン2エピソード8の最後へと繋がる)。

住む場所を変え、名前を変え、仕事を変えても、結局のところ、ジーン(ジミー)はソウルだった時代が忘れられないのでしょう。“できないこと” はできない、“似つかわしくないこと” はやる気がしない、“無理なく自然にできてしまって喜びが伴うこと” をする方向へと引き寄せられていく、そんな感じが伝わってくるエピソードでした。

この先のジーンは、さらに “ブレイキング・バッド” していくのでしょうか。

出演者メモ

街や、仕事ならば事務方でよく見かけるタイプ。「ブレイキング・バッド」ではソウルの弁護士事務所の受付、「ベター・コール・ソウル」ではジミー(ソウル)とキムに雇われる受付。よく知れば “いい人” なのかもしれないけれど、不機嫌で取っつきにくそうなフランチェスカを好演。

ティナ・パーカー(フランチェスカ・リディ役)

基本的には、キッチンドッグシアターの共同芸術監督兼管理ディレクター。1993年から同社に在籍し、俳優、監督、デザイナーとして50以上の作品に関わる。どちらかと言うと制作側の人みたい

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