されることで、求めていたものがわかる-「クッド・ウィル・ハンティグ/旅立ち」と「最強のふたり」

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注意! この投稿は映画を通して考察する内容なので、ネタバレがあります。

「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち」という映画を見ました。

リアルで大変アタマのよい主演のマット・デイモンが、ハーバード大学在学中に書いた脚本をベースにしています。名作とされているようです。

特に名言とされているのが、今は亡きロビン・ウィリアムスの演ずる心理学者ショーンによる “It’s not your fault.”(君は悪くない)という言葉。「へえ、そうなんだ」という感じです。

心理学者ショーン(ロビン・ウィリアムス)が、保護観察付のワルである天才青年ウィル(マット・デイモン)に “It’s not your fault.”(君は悪くない)と繰り返し語りかけるシーン、ネット上のレビューを見る限りでは一番の感動ポイントであるようです。これも「へえ、そうなんだ」という感じです。

心理学者ショーンと保護観察下にあるウィルの共通点は、子どもの頃、父親からひどい虐待を受けていた、ということ。

肉体的/心理的に虐待されて育った人にみられるのが「親に自分が虐待されている/されていたのは、自分が悪い子どもだったからだ」という思い込み。

たとえ向こうがイカれた大人であったとしても「自分に対する愛が、どこかにあればこそ」と思うことで生きる拠り所をもち続けることができる、という面があります。小さな子どもの頃から、自分がずっと愛されてこなかったことを認めるのは、自分の存在が根底から否定されるようで非常に辛いことです。

自分の味方が欲しい。全肯定してくれる何かが欲しい。しかし虐待された子どもは、それらを親から得ることができません。虐待されていなくても、自分の都合に合わせて得られるとは限りません。

子どもの頃、親に求めていた関係性/役割の延長で、大人になってからも窮地に陥ったときには、誰かに自分の味方になってもらいたい、自分を肯定してくれる人が欲しいと心のどこかで思っているし、それらが得られない状況には多かれ少なかれ失望するものです。

ベースに罪悪感をもっていて、それゆえに自分を傷つけるようなこと(自傷や非行など)をするのだけれど「あなたは悪くない」と自分が自分に言うのだけでは不十分で(開き直っているみたいだし)、他者からそう言われることで、より深いところから自分を許すことができます。自分に対して、より正直な選択をすることができるようになっていきます。

そういうふうに見えた映画です。

心理学者ショーンと保護観察下にあるウィル は父と子みたいな年齢差であるし、ウィルにとっては心を少しずつ許していった父みたいな人に「君は悪くない」と言われることは、ひとつの大きな赦しにつながったのではなかろうかと思います。“It’s not your fault.”(君は悪くない)のシーンの最後、ウィルは泣き崩れ、ショーンと抱き合いながら「ごめんなさい」と言います。この「ごめんなさい」は多くのことを物語っていて深いと感じました。

話はズレますが、この映画を観ていて、アメリカの大学院に留学し、アメリカの企業で働いていた友人が「アメリカは一握りの天才と、それ以外の馬鹿からできている国だ」と言っていたことを思い出しました。

一握りの人々は日本に匹敵する人がいないほどの優秀さをもち、それ以外は日本の平均的な人達よりもレベルが低いそうです。日本は人々のあり方が中央値や最頻値に寄っていますが、アメリカって多分、幅が広くてバラけていて、全体の傾向としては両極端なんですよ。

一握りの超優秀な人達とそれ以外、一握りのずば抜けてお金持ちの人達とそれ以外、一握りの見目麗しい人達とそれ以外。したがって他者と何らかの共通点をとっかかりにつながっても、両者の大きな違いこそが互いに影響を与えることになり、それらが今までの自分を超えていくことを助けていく、という映画が多い気がします。

その後「最強のふたり」というフランス映画を観ました。タイトルが「???」ですけれど、爽快な映画です。

「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち 」のように人生の青い時代の共通点から関係が近く深くなっていくのではなく、期待された役割を演じる気のまったくない黒人男性(ドリス)が、まるで違うバックグラウンドをもつ身体に障害のある大富豪おじさん(フィリップ)の懐にポーンと入り、互いの人生を変えてしまったというお話です(実話に基づいています)。

ドリスは介護や看護の資格も経験もなく、失業保険をもらい続けるために「不合格」のサインを書類にもらおうと面接にきたのですが、偏屈なフィリップに採用されてしまいます。ドリスは友人としてオープンかつ率直にフィリップに接します。ふたりは介護する者と介護される者の関係ですが、徐々に親友になっていきます。

これも「他者からされることで、自分の求めていたものがわかる」という事例のひとつと思います。何かを求めているのは確かだけれど、それが何かであるかは確信を持てず、イライラした日々を送っていた「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち 」のウィルと「最強のふたり」のフィリップ。ある日、他者からされたことで自分の求めていたものがわかり人生が変わっていく、そんなふうに感じる映画でした。

感動ということで言えば、私の場合「最強のふたり」>「グッド・ウィル・ハンティング/旅立ち 」でした。

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