アメリカの青年がポーターとして同行した11日間の記録「ポーター:エベレストでの秘話」

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「すべてのポーターに捧げる」記録映画。1時間弱の内容なので迷うくらいだったら観ましょう(Amazonプライムビデオ)。原題は “The Porter: The Untold Story at Everest” で2020年の作品です。字幕のクオリティが大変低いのが残念ですが、それでも観る意味はあります。

はじめに “ポーター” の定義を載せておきます。

多くの道路がないため、地元の人は徒歩で物資を運ばねばならない。観光客やホテル、レストランのためにその仕事をする人たちを “ポーター” と呼ぶ

映画冒頭より

この映画を観ているうちに、かつてエベレスト方面でトレッキングをした懐かしい思い出がこみ上げてきました。私が出会ったポーターたちの記録はコチラ(↓)。同じような風景、光景が同作品にも出てきます。シェルパ族だけでなく、ほかの民族もポーターをします。

エベレスト街道の人たち―2003年
2003年ヒマラヤトレッキングの際、お世話になった/見かけたシェルパたちと子どもたち。

私たちのグループはトレッキングに不要な荷物をカトマンズに置いてきていたので、そうでないグループに比較して運ぶ荷物は軽かったはず。それでも大変な仕事です。お別れのときに私が使っていたスキー用の手袋を渡したら、えらく感謝されました。

この記録映画に出てくるポーターたちは一年の半分を農業に従事し、20歳を過ぎてからの出稼ぎ仕事としてポーターを務めています。私が訪れた2003年当時は子どもや少年も荷物を運んでいました。

アメリカの青年ナサニエル・J・メニンガー(愛称:ネイト)が現地の人たちに混じってエベレスト街道のポーターを務めるというチャレンジに対し、1社のみがOKを出し、それがこの映画の製作につながりました。彼はルクラとエベレストベースキャンプをポーターとして往復します。

SURAJ POKHREL 氏(トレッキングガイド)は「地元のポーターは100㎏以上を運ぶが、観光客に雇われたポーターには許されず、彼らは25㎏以上を運ぶ」と述べています。観光に携わるポーターは自分と荷物のことだけを考えているわけにはいかないから、荷物も軽めということでしょうか。とりあえず、そのように解釈しました。

ネイト自身も11日目に100㎏の荷物を運ぶ体験をします。距離は8㎞弱、腰に悪いですよね。

NAMARAJI GAULI 氏(Outfitter Nepal Founder)によれば「通常ポーターはルクラをベースにしている。トレッキングでの給料がおおよそ15ドル/日、それ以外にチップやお小遣いをもらう」とのこと。 現在のレートの1ドル147円で換算すると、重い荷物を運んで一日2200円くらい。ポーターたちも食事などの出費がありますので、最終日に観光客がどれだけチップをくれるかによって一家の家計が左右されるようです。

観光やトレッキングの客たちはシャワーのある宿に宿泊しますが、同行するポーターたちが寝起きするところにシャワーはありません。つまりトレッキングの間はシャワーを浴びることすらできません。24歳のアメリカ人であるネイトは、現地のポーターたちと同じ食事をとり、同じところに泊まります。かつてはポーターたちの待遇はさらに酷く、寝泊まりする場所の確保すらも困難であったとのことです。

手元に残るお金が非常に少ないにも関わらず、なぜポーターをするのか/しなくてはならないのか、といった話もネイトは聞きます。「彼らを雇う客たちが、もっとたくさん支払えばよい」と思いますが、ポーターをしたい貧しい人々は多数いるそうです。簡単に賃上げとはならないのです。

映画では、ときに歌が聞かれます。ふと思うのですが、普段の生活のなかで歌を歌うのは①自然などの環境との波長合わせ、②過酷な労働や生活からの精神的解放、どちらかが理由のことが多いのでは。

心洗われる大自然。それは多くの国の人々を魅了します。そのアクティビティを支えてきたエベレスト周辺の人々の歴史と現実を知ることのできるドキュメンタリー映画です。テーマ自体は重苦しいのですが、ポーターや現地の人たちは明るく、辛気臭い内容ではなく、むしろあっさりしています。

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