休日イッキ見に向くサスペンス&ミステリー作品3作(4)

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ゴールデンウィークも終わり。タイミングとしてどうかとは思いますが、遺伝子捜査系の3作品の紹介。どれもエピソード数がコンパクトです。

遺伝子(DNA)が犯罪捜査に活用されるようになったのはアメリカやFBIによる捜査がさきがけで1987~8年頃。お若い方にとっては大昔でも、私の感覚では比較的最近のことです。

過去の未解決事件をDNAを基に解決するまでを描く「ウェールズ連続少女殺人事件-30年目の真実」はイギリスの作品、「ブレイクスルー」はスウェーデンの作品でどちらも実話ベース。「迷宮事件ファイル」はアメリカのドキュメンタリーで、シリーズ全体のボリュームは大きいのですが、うち2エピソードを取り上げます。

タイトル:「ウェールズ連続少女殺人事件-30年目の真実」(原題 “Steeltown Murders” )(4エピソード)

ストーリー:1973年、サンドラ・ニュートンがニースで殺害される。工場勤めを通じて知り合ったポーリン・フロイド&ジェラルディン・ヒューズもランダーシーの森で殺害される。後年、ランダーシーで起きた未解決事件の再捜査を知り、ポール・ベセル刑事は自分を担当にするようジャッキー・ロバーツ警視に直訴。しかし「再捜査といってもDNA鑑定を行っているだけ」と言われる。そのDNA鑑定でポーリン&ジェラルディン殺害とサンドラ殺害が同一犯である可能性が高いことが判明。ポールはかつての相棒フィル・“バッハ”・リース刑事、新顔のゲラント・ベール刑事と捜査班を結成。容疑者は何人も浮かび上がるが捜査は難航。苦難を強いられる

キャスト:フィリップ・グレニスター/スコット・アーサー(ポール・ベセル役)、ステファン・ロドリ/シオン・アラン・デイヴィス(フィル・“バッハ”・リース役)、ギャレス・ジョン・ベール(ゲラント・ベール役)、リチャード・ハリントン(コリン・ダーク役)、プリヤンガ・バーフォード/ナターシャ・ヴァサンダニ(シータ・アンワル役)、カレン・パウラダ(ジャッキー・ロバーツ警視役)ほか。※ゲラント・ベール刑事役は甥のギャレス・ジョン・ベール(ウェールズの俳優)が演じている

物語の舞台:イギリス(サウスウェールズ)

ロケ地:サウスウェールズ(ポート・タルボット、ポンタルダウェ、ブリトン・フェリーほか)

感想:原題が “Steeltown Murders” なので労働者の街、経済的に豊かでないエリアが舞台と思われる(たぶんパブやクラブで飲んで歌って踊るくらいしか娯楽がない)。建築物やインテリア、風景も荒涼としていてやや陰鬱。俳優たちも日本で知られているような人たちは起用しておらず、渋さ/実直さ/愚直さが滲み出る作品。ストーリーにおいても、主人公ポール刑事の “飛び道具なしの堅実さ” が光る。根っからの刑事を支える妻のカリーナの献身と苦悩もほどよく描かれ、大人向けのサスペンスドラマ。実話に基づいていることもあって被害者たちの家族や友人、容疑者たちの家族、両者の心情も丁寧に描写されている。サブタイトル通り「30年目の真実」だとしたら、2003年当時のDNA捜査となる

タイトル:「ブレイクスルー」(原題 “Genombrottet” )(4エピソード)

ストーリー:2004年10月、スウェーデンのリンシェーピングの閑静な住宅街でふたつの殺人事件(被害者は少年アドナン・アッバス、女性グニラ・ペルソン)が起きる。刺殺された前者は移民の子、後者は移民にスウェーデン語を教えていた。無作為に被害者を選ぶ精神を病んだ者の犯行とプロファイリングされ、スウェーデン史上2番目に大きな犯罪捜査となった。ヨン捜査官が捜査班を指揮し、凶器から血痕(DNA)が採取されたものの事件は長く未解決のまま。16年後に遺伝子系譜学によって解決への道が開かれる。それはヨーロッパにおいて初めてのことであった。※元になっているのは「The Breakthrough: How the Genealogist Solved the Double Murder in Linköping」(アンナ・ボーディン、ピーター・ショールンド共著)であり、実在のヨン・シュターフ警察署長が主人公 “ヨン・スンディン捜査官”、系図学者ペーター・ショールンドが “パー・シュクーギスト” である

キャスト:ピーター・エッガース(ヨン・スンディン捜査官役)、バハドール・フォラディ(サアド・アッバス役)、ヘレン・アル・ジャナビ(エレナ・アッバス役)、ベル・ブレル(ケル・ペルソン役)、マックス・ニレン(マーテン役)、ユリウス・フライシャンデル(アンテ役)、アニカ・ハリン(カリン役)、ジュリア・スポレ(スティナ・エリクソン役)、マティアス・ノルドクヴィスト(パー・シュクーギスト役)、ヨナタン・ロドリゲス(ミラン役)ほか

舞台:スウェーデン

ロケ地:スウェーデン(リンシェーピング、セーデルテリエ)

感想:こちらのヨン捜査官も「ウェールズ連続少女殺人事件-30年目の真実」のポール刑事同様、家族そっちのけで捜査に没頭。刑事/捜査官の妻も大変と思うが、私自身も何かを始めるとほかのことが目に入らなくなる(食事やトイレに行くことすら面倒になる)ので、彼ら刑事/捜査官の気持ちがよくわかる。解決の糸口なしに16年、事件に向き合う警官の仕事は相当な重荷と推察する一方、パーのように学者として情報を精査し続ける生活は魅力的にみえる。「2004年+16年」で2020年のDNA捜査である

タイトル:「迷宮事件ファイル」(原題 “Cold Case Files- THE GRIM SLEEPER” )(2エピソード)

ストーリー:1980年代後半、サウスロサンゼルスでアフリカ系アメリカ人の女性を狙った連続殺人事件が発生。被害者はいずれも25口径の銃で射殺され、路上に遺棄されていた。2000年代に入ってから同様の事件が発生。捕まっていない殺人鬼は “グリム・スリーパー” と名付けられた。彼のDNAは重犯罪者のデータベースに登録されていなかったが、80年代の迷宮入り連続殺人事件のそれと一致した。警察はDNAに関する最新技術を使って捜査を行う

キャスト:ドキュメンタリーなので元刑事/サバイバー/記者/被害者家族など、当人が出演

舞台:アメリカ(ロサンゼルス)

感想:私は「迷宮事件ファイル」をひと通り観てきている。このシリーズが終了する気配は今のところなく、アメリカ(くくりが大き目)では際限なく凶悪犯罪が生まれていることが伝わってくる。犯罪が多発して治安が悪いからか、事件に対応する刑事や警官の数が不足しているためか、科学捜査や最先端のIT技術を活用した捜査は他国に比較して進取の気性に富んでいると感じている。この2エピソードは遺伝子捜査自体にウエイトを置いて触れていないが印象に残った。遺伝子家系図による捜査(犯人のDNAと似た型をもつ親族を探す手法)を司法長官が認めたのが2009年頃。“グリム・スリーパー” の最初の犯行から四半世紀が経過した2010年、データベースに登録されている親族のDNAから犯人に辿り着くことに成功。犯人には孫がおり、地域で信頼され、頼りにされていた人物だったという点も含めて非常に気味が悪い。人は外面ではわからない

【参考】「DNAの系譜」について

2019年1月1日以降、スウェーデンの法律では、犯行現場等の痕跡からの保有データベースと家系図データベースの両方でDNAプロファイルの家族検索を行なうことを警察に対して認めている。犯人と完全に一致しなくても容疑者を特定するために類似のDNAを持つ人々の系図調査を行うことが許可されている。ただし商用DNA系図データベースのユーザー契約に基づき、すべての人物のDNA検査結果(myheritage.com データベースなど)の活用が認められているわけではない。とはいえ、ユーザーは無料でDNA結果を商用 gedmatch.com のサードパーティデータベースにアップロードできる。警察も重大な犯罪を解決する目的で犯罪関連のDNAプロファイルをアップロードすることが可能。このデータベースを使用してアメリカでは多くの未解決犯罪が解決に至っている

Wikipedia(スウェーデン語版)を編集して引用

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