シーズン1を視聴してはいたのですが、あえて書くまでの気持ちにはならなくてそのまま(面白いんですけれどね)。このたびシーズン2が公開されましたので、まとめて書いておきます。
原題は “Reina Roja”、フアン・ゴメス=フラドの同名小説(三部作)を基にしています。ざっくりとした枠組みは以下の通りで、それをベースに物語が進行していきます。
IQ242(世界で最も知能の高い女性)のアントニア・スコットは、ヨーロッパをベースにした極秘の実験的警察プロジェクト “レッド・クイーン” のメンバー。頭脳明晰ではあるが、他者の見解や気持ちを慮った立ち回りができない。過去に不幸な出来事があり、家族関係やメンタル面に問題を抱え、“レッド・クイーン” から退いていた彼女をバスク人の刑事ジョン・グティエレスが迎えに行く。気性は荒いものの、優しい心根をもつゲイの彼はアントニアのサポートをすることとなる
シーズン1(レイナ・ロハ)
導入部あらすじ
“ホステル・ウベダ” の一室では、世界一高い知能をもつアントニア・スコットが自殺企図を温めつつ瞑想をしていました。ホステルの大家(所有者)はアントニアであるようです。
そこへバスク人刑事ジョン・グティエレスがやってきます。
アントニアは、かつて警察の実験的な極秘プロジェクト “レッド・クイーン” に選ばれた人物でした。しかし不幸な出来事があり、現在は活動から退いています。刑事ジョンは “メンター” を名乗る警察関係者との間で、自身の不祥事を不問とすることを取引条件として、彼女を連れ戻すために “ホステル・ウベダ” を訪れたのでした。
約束通りアントニアを同伴することに成功したジョン・グティエレス警部は、“メンター” の待つ、名だたるVIPたちの居住エリアへと到着。そこは既に事件現場と化しており、アントニアの送迎を完了したら “お役御免” のつもりだったジョンも関わりが続くことになります。
豪邸のソファには頭部の上半分を切り取られたアルバロ・トルエバの遺体が腰掛けていました。傍らの容器には切り取られた部分が入れられており、それ以外にも特殊かつ残虐な殺し方、儀式性を感じさせる演出がなされていました。
アントニアは論理に基づく推論から発動する超常的な俯瞰能力(≒透視能力)を使って事件の枠組みを考察し、ほかから得た情報で肉付けすることで事件の全容を把握しようとしました(そういった一連のプロセスが常人離れしているので “レッド・クイーン” に呼び戻されることになったのでしょう)。
そしてアントニアの予測通り、メッセージ性のある事件が再び起こります。“レッド・クイーン” の2人組(アントニア&ジョン)は衝突しながらも、主にジョンの忍耐と寛容の甲斐あって共に捜査を続け、友情を育んでいきます。
登場人物
[“レッド・クイーン” 関係者]
アントニア・スコット:IQ242で “レッド・クイーン” のメンバー。知能が高い一方で、過去のトレーニングによって脳のリミッターに問題を抱えることになった(猿の幻に怯える等)。意識不明状態の夫マルコス・ロレンテは入院している。息子はホルヘ・ロレンテ・スコット。息子の親権をもつのはアントニアの父ピーター・メイヤー(英国大使)。母は既に他界。祖母のジョージナがいる
ジョン・グティエレス:マドリードへ異動してきたバスク人の刑事(警部)。ゲイである。母はマリチュ。職務上の不祥事の不問と引き換えにアントニアのサポート役を命じられる。演じているのは「ペーパー・ハウス」のボゴタ役だったホヴィク・ケウチケリアン
“メンター”:“レッド・クイーン” を指揮。アントニアを “レッド・クイーン” に連れ戻すことを条件に、ジョンの失態を不問とする。エピソード3で “メンター” の実験を操作しているのが原作者のフアン・ゴメス=フラド
アグアド: “レッド・クイーン” 専属の監察医
[警察関係者]
コミサリア・ラグナ:警察署長
ミゲル・サンフアン:警部(と訳されていたが捜査官?)。誘拐対策班としてカルラ失踪事件を担当
ホセ・ルイス・パラ:警部。誘拐対策班としてカルラ失踪事件を担当
[事件の関係者]
ラウラ・トルエバ:銀行の経営者。秘書はテレサ・ロブレス
アルバロ・トルエバ:ラウラの息子。ひとつめの事件の被害者
カルラ・オルティス:ファッションブランドの幹部。息子はマリオ。元夫はレストラン経営者のグスマン・サリナス。愛馬はマギー
ラモン・オルティス:カルラの父で富豪の経営者。ルイス・トレスは彼の弁護士
カルメロ・ノボア・イグレシアス:カルラの使用人で運転手
エゼキエル:カルラを拉致監禁するタクシードライバー。意味不明な信仰心に燃えている
サンドラ:監禁されているカルラと会話する女性
ニコラス・ファハルド:死んだとされる地下警察のメンバー。娘がいた
ルイス・トーレス(処刑人):レストランでアントニアに対し “ミスター・ホワイト”(宿敵)が命を狙っていることを伝える
セラドール:精神科でニコラス・ファハルドを担当
[その他]
アミーナ:“ホステル・ウベダ” の4階に住む女の子
デシ:DV被害を受けている娼婦
ブルーノ・レハレタ:ジョン・グティエレス警部が逮捕したことのある記者。オルティス家の周辺を嗅ぎまわる
イニャキ:神父
フラド・トマス:VIP居住区 “ラ・フィンカ” のセキュリティ(後に退職)。実はゲイである
ガブリエル・グアルダ・フラード:トマスとともにセキュリティを担当している
“てんとう虫” : タトゥーアーティストであるダニエル・パドレ・レディバグの娘で店の後継者
感想・メモ
- 冒頭の事件がグロくて薄気味悪い割に、あまり意味をなしていない設定だったと思う
- アンドレアの知能は卓越しているのだろうが、平均的な人間が考えてもわかるようなことも、それなりに含まれている(人間に訊くより、AIを使ったほうが時間を短縮できて効率がよい、といったレベルでの差異にも見える)
- そうなると彼女の持ち味は次元を超えたインスピレーション(直感と直観)になるのかもしれない
- 物語の展開はほどよい緊迫感。筋書きもまずまず
- “レッド・クイーン” の2人組(アントニア&ジョン)は “お友だちがいないボッチ同士” なのだが、ジョンの母マリチュを含めた関係性のケミストリーはなかなかよい
- “レッド・クイーン” の2人組(アントニア&ジョン)VS 誘拐対策班という図式もあるが、アントニア(+お助け要員のジョン) VS “ミスター・ホワイト” というIQ頂上対決へと物語は進行していく
- “メンター” は極秘プロジェクトとしての “レッド・クイーン” を仕切っているが、エラそうな態度のおっさんに過ぎず、実は保身優先の小心者なのではないか。アントニアやジョンに比較すると圧倒的に何もしていない
シーズン2(ブラックウルフ)
導入部あらすじ
川でモデルたちを使っての撮影中、水中から死体が浮かび上がります。ジョン・グティエレス警部はアグアド博士と実況見分、手がかりになるものを捜して川の捜索を行います。アントニアも仮説を検証するなどして博士をサポートします。
アントニアは、シーズン1で決着のつかなかったサンドラの幻を見ます。息子のホルヘとは定期的に面会できているようです。
“メンター” はサンドラと “ミスター・ホワイト” の件をこれ以上追うことはせず、完了した事案として扱うこと、アントニアは既に必要のなくなった駒であることをジョンに告げます。
マルベーリャのモールの高級店で買い物をしていたロラ・モレノは覆面の男に銃で狙われます。ボディーガードのトーレが応戦しますが凶弾に倒れます。その後、ロラは行方不明となります。
“メンター” はベルギーのブリュッセルで開かれた会合に参加。そこからジョンに「今夜、アントニアとマルベーリャへ行け」と指示します(「アントニアは不要になった駒」などと言っていたにも関わらず)。
具体的には、ロシアンマフィアであるオルロフ家の会計係ユーリ・ヴォロニンの妻ロラ(行方不明)をマフィアの手先より先に見つけるように、とのことでした。いっぽう夫のユーリは何者かによって殺害され、マルベーリャ警察が捜査を開始していました。
デュッセルドルフでは、ドイツの “レッド・クイーン” がビルから飛び降りて死亡。従者(ジョン・グティエレス警部的ポジジョンの人)は行方不明となります。それ以外にもリヨン(フランス)、トリエステ(イタリア)などで “レッド・クイーン” たちが死に至ります。スペインのアントニアだけでなく、“レッド・クイーン” がヨーロッパ各国に存在し、想定外の事態となっていることも描写されます。
登場人物(シーズン1に登場している人物を除く)
[警察関係者]
ロメロ:マルベーリャ警察の署長
カルロス・ベルグラーノ:マルベーリャ警察の警部。ロメロ署長に恋しているものの、あまり相手にされていない
[事件の関係者]
ユーリ・ヴォロニン:帰化した元ロシア人。表向きの仕事はロシアの菓子輸入だが、裏稼業はオルロフ家(ロシアンマフィア)の会計係
ロラ・モレノ:ユーリの妻で妊娠中。糖尿病でもある。母親はサロン経営者。愛犬はコット
トーレ(アナトリー・オレグ・パストゥシェンコ):ローラの運転手兼ボディーガード。元はトビリシ(ジョージア)の警官
ジェーニャ:ロラとユーリの使用人
グーセフ:質屋の主人
アスラン・オルロフ:ナイトクラブ “トゥルム” のオーナー
オズワルド:オルロフの執事
キリル・レボ:オルロフが連れて歩いている手下
ウラジミール・ソコロフ:オルロフの手下。ナイトクラブ “トゥルム” の責任者
ヤイザ:ナイトクラブ “トゥルム” で働く女性
ルーベン・ウスティアン:ユーリの仕事(レモンドロップ・マラガ)を手伝っていた男
イリヤ&ニコライ・フォーミン:オルロフの手下だった兄弟。ルーベンを襲う
オレナ・ジョヴォノヴィッチ:旧ソ連のノウハウによって育成された “ブラックウルフ” と呼ばれる人物。アスラン・オルロフから仕事の依頼を受ける
[その他]
アントニオ:撮影におけるメイク担当者
ナターシャ: 撮影に参加していたモデル
カルロス:救急看護師
感想・メモ
- このシリーズの原作小説は三部作であり、シーズン3は既に撮影を終えているとのこと(2027年中に公開されるらしい)
- シーズン2は「シーズン3に繋げるために用意された種まき&トラップ」みたいな内容。つなぎの役割なので、シーズン2としての結論らしきものは見当たらない
- よくよく考えてみると「整合性があるようでない」というか、回収不十分な点が目立つ。「そこはシーズン3を視聴して、自分で答え合わせをしてください」ということなのかもしれない
- スペインの “レッド・クイーン” たるアントニア&ジョン組は “メンター” からの指示でロナ・モレノの発見に注力(このふたりの行動には一貫性が認められる)
- ロシアンマフィアのボスであるアスラン・オルロフは、組織の大金をくすねた人物にしかるべき対処を施したい意向で “ブラックウルフ” を雇ったはずだが “ブラックウルフ” は標的をあえて逃す行動に出る( “ブラックウルフ” なりの考えがあるのだろうが、プロの殺し屋らしくないし、どう収まりをつけるつもりだったのだろう。アントニアを騙すことが目的だったとも考えられる)
- ロメロ署長とベルグラーノ警部はマフィアのオルロフたちとは敵対する間柄のはずだが、ロナ・モレノを追ううちに互いに利害の一致をみたのか、突如ナチュラルな感じで協力体制へと移行する(世の中ってそんなものですか?)
- 「ヨーロッパ各地で “レッド・クイーン” たちが死んでいる」という議題でブリュッセルの会議に “メンター” は出席していたわけだが、“レッド・クイーン” たちがどんどん死んでしまう件に関しては進展がない(「あの話はどうなった?」という気分になる/ “メンター” は相変わらず深刻な面構えで電話するだけの存在)
- 「“ブラックウルフ” の恋人がコンテナの中で死にそうになった」設定等が前提にあったからこそ、頭脳明晰なアントニアの脳内に “ブラックウルフ” 性善説みたいなものが生まれたようにもみえたが、名うてのプロの殺し屋 “ブラックウルフ” の恋人が、なぜ反社会的組織による人身売買を思わせるコンテナ内に拘束されたと思い込んだのかが不思議(そんな所にいるほうがおかしい)
- 私はジョン・グティエレス警部のジョークのセンスが好き。アントニアには「つまらない」扱いされているが、私のツボにはピッタリはまる
- 「シーズン1のサンドラはどうなった?」という疑問は引き続き残ったまま。シーズン1のサンドラ、シーズン2の “ブラックウルフ” の “ミスター・ホワイト” との関係はシーズン3で大々的に明らかにされるのかもしれない
