「ベター・コール・ソウル」シーズン6、エピソード9(後半2話目)のあらすじ&感想

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タイトルは「楽しい駆け引き」ですが、文字通りの「楽しい駆け引き」には、まったく見えないエピソード9です。

まずはオープニング映像の構成と音楽の使い方に感心します。うっとり魅惑的なビジュアルを、不快でリアルなそれとリンク/循環させています。ちょっと夢見がちなテイストの音楽も、この世の楽園、そして裏腹な現実との環(わ)を上手くまとめ上げています。「ほう、こういう表現方法もあるのだな」という感じです。

ストーリー自体が割と淡々と、「えええっ!」と驚くようなこともなく進行するということもあって、私の場合、最もインパクトが強かったのがオープニングです。ぜひ楽しんでください!「ベター・コール・ソウル」はオープニングがいつも素晴らしいです。

エピソード9(楽しい駆け引き)

エピソード8までに起きたことをシンプルに言うならば、ソウルとキムはやり過ぎました。知り過ぎました。自分たちの思惑とは異なる方向へ転がっていきました。そして今や、重い十字架を背負っています。以前のように、お腹の底から笑ったり、心から幸福を感じたりすることなど、土台無理な状況。

弁護士ハワード・ハムリンが共同代表を務めていたHHMは、社名変更をして規模を縮小。社屋を移転するようです。ソウルとキムは今まで通り、変わるところなく振る舞います。

ガスはドン・エラディオらのカルテルに呼び出されます。ドン・エラディオはすっかり黄昏れた “おじいちゃん” ボスになっていまして「ブレイキング・バッド」の頃のピチピチ感がまるでなし。ストーリーの時系列で言うと「ベター・コール・ソウル」のドン・エラディオのほうが、「ブレイキング・バッド」の頃より若く溌剌としていなくてはなりません。前日譚「ベター・コール・ソウル」のほうを、「ブレイキング・バッド」の後に撮影しているので仕方ないのですが、組織を仕切る者として切れ味が悪くなっていそうなビジュアルが気になります。

ヘクター・サマランカは、内部に裏切り者がいて、ラロ殺害の手引きをしたナチョと通じていたことを訴えますが、ドン・エラディオは退けます。カルテルの幹部ボルサの証言もあって、誰かが裁かれることなく散会します。ガスは、ドン・エラディオの指示によりボルサの指揮下におかれます。

ソウル&キムは一緒にいると互いにとても幸せを感じられ、お互いに対して深い愛情をもっているのですが、ふたりで何かを企むことで人々に害悪をもたらします。ふたりとも職業が弁護士だったので外側には見えづらかったのですが、ふたりの関係性の致命的な課題を身に染みて知り、キムはいくつかの決意をします。

ふたりでいるときが幸せだったとしても、ふたりで実現してきたような人生を生きたかったわけではないでしょうから、当然の選択と言えます。たとえ愛していたとしても、相手に引きずられ合う人生より、トータルでの人生の質がどうであるかのほうが大切です(と私は考える)。

そしてソウル(ジミー・マッギル)は、いんちき臭くて詐欺師まがいで、犯罪者専門の弁護士ソウル・グッドマン像を演じ切ることでビジネスを拡大していきます。演じているわけではなく、あれが本質なのかもしれませんね。

キムの去就に関しては、この先に新たな展開があるのかどうかが気になるところです(これで完了だとしたら、あっさりし過ぎでは?)。

出演者メモ

見た目の老いの進行度合いが大きいドン・エラディオ役は御年65歳。出演作が多く、いろんな映画で見かけます。若い時は生命力と迫力が強く感じられて、存在感たっぷりだったのではないでしょうか。

スティーヴン・バウアー(ドン・エラディオ役)

キューバ生まれ。キューバ―革命までクバーナ航空のパイロットだった父と教師の母の元に生まれた。母がユダヤ系であり「バウアー」は母の旧姓。キューバの政情の不安定化により、3歳のときフロリダへ移住。青年期にミュージシャンを目指すが、後年マイアミ大学で演劇に転向。1980年代初頭にニューヨーク市へ移り、演技指導者ステラ・アドラーに師事、時折舞台にも登場。大味な外見であるが、基礎から積み上げてきた俳優であるようだ。4回結婚して4回離婚しているところがすごい。5回目はあるのだろうか。映画「スカーフェイス」のアル・パチーノ扮する主人公の弟分役で特に有名。ユーリズミックスのMTVにも出演

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