【北アイルランド紛争が背景にある映画(3)】サバイバル・スリラー「ベルファスト71」

スポンサーリンク

ベルファストが舞台の映画、3つ目は「ベルファスト71」(原題 “’71” )です。

作品説明から引用すれば “観る者を紛争地帯へ放り込む、体感型サバイバル・スリラー” とのこと。「ベルファスト」「グッド・バイブレーションズ」とはかなり趣が異なります。しかし、北アイルランド紛争がベースとなっています。1971年の物語です。

あらすじ

ゲイリー・フックは訓練を終えたばかりのイギリス軍の新兵。ドイツに向かうと聞いていたはずが、治安悪化の真っ只中にあるベルファストへ緊急作戦の一部として派遣される。

ベルファストにはイギリス軍に友好的なプロテスタント地区と敵対的なカトリック地区があり、どちらも武装組織をもっていた。共和軍(IRA)内部も穏健主流派と過激な闘争を行う暫定派に分裂していた。

イギリス軍の指揮を執るアーミテージ中尉はヒューマニストで、暴動に備えて武装していた部隊に対し、住民の警戒を解くため盾を持たず、ヘルメットを脱ぐよう指示する。しかし住民たちによる抗議、抵抗に遭い、混乱の中で仲間が負傷。彼が手放したライフル銃を盗んだ少年を追うゲイリーとトンプソン。彼らは住民たちから集団暴行を受け、トンプソンは射殺されてしまう。一方、事態を収束できないと判断した部隊はゲイリーたちを置いて一旦撤退する。

右も左も分からぬベルファストの街で、銃を手にゲイリーを追い続ける男たち。彼らを撒いて後、まずは反カトリック(ロイヤリスト)の少年に出会う。彼らはイギリス軍人に親和的なはず。しかしどこまで信用できるだろうか。彼らに言われて待っていたパブで爆発が起きる。誰が敵か味方か判別しがたい状況下、ゲイリーは危機を脱出しようと試みる。

アーミテージ中尉ら軍隊も、ゲイリー救出に向けて行動を開始する。

感想

アウェイなところにいるとき、しかも安全確保が急務なとき、自分で決めて行動しなくてはならないとき、情報が不足している/提供されないということが最大の恐怖となる。子どもの頃はいざ知らず、人間は自分がどのような状況にあるかを把握していないと落ち着かないものだ。見慣れぬ顔ばかりの海外旅行を思い起こすに、知らない土地では善人と悪人の見分けも難しい。

Googleマップで自分が今どこにいるかすぐに分かる、周辺地図を拡大して見られる、エリア情報をググれる環境にある私たち。実は脆弱な基盤のうえで暮らしており、当たり前に得られるはずだった情報を入手できなくなったとき、容易にパニックに陥ることが推測される。アタマ(脳)優位のあり方から、動物的な勘&身体性優位に自分を切り替えることができるだろうか。勘&身体性を主として脳(従)をシンクロさせられる人は土壇場に強い。

視聴者の意思で主人公の行動を選択できるわけではないのでゲームとは異なるが、想定が成り立たないところでの想定外の展開もあり、主人公の先行きに始終ドキドキできる映画。

ゲイリーの脳内を想像して報告風にまとめると「イングランドから出張して現地の手伝いを少しして帰るつもりが不慣れなベルファストの街に迷い込み、想定外の体験をしました。それでも脱出を試みていたのですが、事が大きくなってしまって非常に驚いています」となるのだが、高い評価を得た作品らしい。「ピーキー・ブラインダーズ」でアーサー・シェルビー役だったポール・アンダーソン(ルイス軍曹役)が俳優としての活動を本格的に開始したのは本作であるとのこと。彼は元ダフ屋という経歴が面白い。

[ロケ地]イングランド(マージサイド州/サウス・ヨークシャー/ウエスト・ヨークシャー/ランカシャー)

こちら(↓)でも「ベルファスト71」に触れています。

映画「ハイ・クライムズ」と「ベルファスト71」って似てないか?
サスペンス映画「ハイ・クライムズ」(アメリカ発)とアクションスリラー映画の「ベルファスト71」(イギリス発)の類似点を検証します。
旅行は人生の大きな喜び(^^)v
ランキングに参加しています。
応援をお願いいたします。
↓  ↓  ↓
にほんブログ村 旅行ブログへ
にほんブログ村