映画「ハイ・クライムズ」と「ベルファスト71」って似てないか?

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「まったく似ていません」という反応が即座に返ってきそうです。

「ハイ・クライムズ(原題:“High Crimes”)」は今から20年以上前のアメリカ作品。

[「ハイ・クライムズ(原題:“High Crimes”)」あらすじ]

1988年にエルサルバドルのラス・コリナスで一般市民9人を殺害した容疑により、海兵隊兵軍曹だったロン・チャップマン(逮捕時はトム・キュービックと名乗っていた)が逮捕される。気丈な弁護士で妻のクレア(アシュレイ・ジャッドが演じている。大変な美人で輝いている)は海兵隊法務部の敏腕弁護士だったチャーリー・グライムス(モーガン・フリーマンが演じている)の助けを得て夫の冤罪を晴らそうとする。背後にある陰謀を暴こうとすることで危険はクレアたちにも及ぶ。しかし彼女は諦めようとしない。前へ前へと進むうちに意外な方向に物語は展開、結末までテンポよく進行していく。

「ベルファスト71(原題:“’71”)」は2014年制作のイギリス映画。

【北アイルランド紛争が背景にある映画(3)】サバイバル・スリラー「ベルファスト71」
北アイルランド紛争をベースにした1971年の物語です。“観る者を紛争地帯へ放り込む、体感型サバイバル・スリラー” とのこと。

私には両者が似ているように感じられたので調べてみました。しかし監督等の製作者が被っているということはなく、製作時期にも隔たりがあり、起用俳優もまったく異なります。

私が感じる共通点とは、どちらかというと目に見えるところではなく①無駄を排除した流れ、②進行のテンポやリズムといった質的な面なのですが、両者をいくつかの視点から比較してみます。

【製作について】 

「ハイ・クライムズ」には原作になった小説がある。それを含めて製作に関わった人たちなど、もろもろが「ベルファスト71」被るところがまったくない

  • 「ハイ・クライムズ」⇒ 製作国:アメリカ 監督:カール・フランクリン 脚本:ユーリー・ゼルツァー/グレイス・ケイリー・ビックレイ 原作:”High Crimes” ジョセフ・フィンダー著
  • 「ベルファスト71」⇒ 製作国:イギリス 監督:ヤン・ドマンジユ 脚本:グレゴリー・バーク

【ストーリーの背景について】 

「ハイ・クライムズ」では海兵隊軍曹トム・キュービックはエルサルバドルへ送られる。「ベルファスト71」では英国軍新米兵士のゲイリー・フックがベルファストへ送られる。どちらも事態収拾や治安維持が目的。兵士としての到達度に違いはあれど、立ち位置に大きな違いはない

  • 「ハイ・クライムズ」⇒ 1988年当時、エルサルバドルは内戦状態。アメリカはかねてより事態収拾の支援を要請されていた。政府軍・ゲリラ双方による、弾圧・虐殺・暴行が横行。アメリカ政府はそれでも政府軍を支援する
  • 「ベルファスト71」⇒ 1971年、北アイルランドのベルファストでアイルランド統一を目指すカトリック系住民とイギリスとの連合維持を望むプロテスタント系住民による紛争が激しさを増していた。治安維持のために英国軍が派遣される

【ストーリー展開について】 

「ハイ・クライムズ」は米軍にまつわる話。「ベルファスト71」は英国軍にまつわる話。エルサルバドルや北アイルランド辺りが視聴者にとってイメージしやすい、敵と味方を判別しがたい状況を作り出すに最適な舞台設定だったのだろう。舞台が重要なようで、そうでもないところが共通している

  • 「ハイ・クライムズ」⇒ 1988年当時、トム・キュービックがエルサルバドルで何をしたのか/していないのかが裁判の焦点。エルサルバドルの内戦がどうこうという社会的テーマは軽く流されている。軍の統制下でベールに包まれてきた真実に辿り着くプロセスが疑似的なサバイバルゲームになっている
  • 「ベルファスト71」⇒ この映画においても重要なのは北アイルランド紛争そのものではない。地域が二手に分かれて戦っているためカトリック系とプロテスタント系を外見で見分けられないという状況が鍵である

【トーン&マナーについて】 

とにかく前に進む(物理的のみならずマインド面でも)。すると予期せぬ人物が不意に登場し、敵か味方かよく判らないなかでハプニングが起き、新たな選択肢が生まれる、というところがゲームっぽい。そこも似ている。視聴者も先を多少は予測する。しかし、しっかり考える猶予を与えられることなく次の展開がやってくる。

  • 「ハイ・クライムズ」⇒ 気丈な妻であり、夫トムの弁護士でもあるクレアは危険な目や障害に遭っても、とにかく前進する。
  • 「ベルファスト71」⇒ 新米兵士のゲイリーは、仲間からはぐれて独りきりになってしまう。したがって自分の命を他人任せにできない。ギリギリの精神状態で前進し、刻々と変化する状況に対峙していく。

違いがあるとすれば「ハイ・クライムズ」はモーガン・フリーマンが登場するがゆえ、彼がきっと何か重要な役割を果たすのだろうと予測できます。「ベルファスト71」には重鎮感を濃厚に漂わせる俳優が登場しません。したがって前者のほうが全体にエンタメ的な物語仕立てになっているといえます。

そういった理由や強い女性が主人公であることから「ハイ・クライムズ」は女性受けしそう、サバゲー的臨場感をより直接的に感じられる「ベルファスト71」は男性に好まれそうです。

新作でないどころか旧作の範疇に入りますが「ハイ・クライムズ」はとても面白い映画。オチを知ってから再度視聴することで自分なりの仮説の検証がしやすくなります。

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