バランスよくツボを押さえたスパイドラマ「ナイト・マネージャー」

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「ナイト・マネジャー」(原題:The Night Manager)は、イギリスの作家ジョン・ル・カレが1993年に発表したスパイ小説で、イギリスとアメリカでベストセラーとなりました。本作は、それを土台としたテレビドラマシリーズです。

諜報ものはテキトーに観ていても楽しめますが、細かなところまで把握して視聴を進めようとすると想像以上に込み入っている組織体制を理解しなければなりません。同じチームで活動していても所属や身分がバラバラだったりします。

スパイに生まれ変わった “ナイト・マネージャー” の物語

エジプト革命の最中の2011年、ムバラク大統領が辞任した辺りから物語がスタートします。

カイロのネフェルティティホテルのナイト・マネージャー(夜間支配人)だったジョナサン・パイン。仕事を通じて、その地の有力者フレディ・ハミドの愛人ソフィーと知り合います。彼女を通して掴んだ違法な武器取引の情報を、かつての軍隊仲間の在カイロ英国大使館員へ提供。その後のソフィの死に大きなショックを受けたジョナサンは、フレディ・ハミドと取引のあった武器商人リチャード・ローパーにスイスで偶然出会います。彼の悪行を明るみにすることを決意したジョナサンはスパイとなります。

出演俳優で知っていたのはトビアス・メンジーズとデヴィッド・ヘアウッドくらいで、大きな期待なく視聴したところ、展開に少々イージーな面もありますが、かなり面白かったのでした。シーズン2も制作が予定されているようです。

あらすじも絡めつつ登場人物の紹介

大きくは「武器商人ローパーと仲間たち」と「武器商人ローバーを追う人たち」に分けられます。

[武器商人ローパーと仲間たち]

  • リチャード・ローパー(ヒュー・ローリー)
    • 表向きは人道支援や慈善活動に熱心な実業家で大金持ち。アイロンラスト社CEO。裏の顔は国際的な武器商人
    • スペインのマヨルカ島に家がある
    • ドラマでは魅力あふれる男設定なのだが、どう見ても馬面でカッコよくない
  • アンドリュー・バーチ(トム・ヒドルストン)
    • 本名はジョナサン・パイン。英国の国際執行機関とつながっているスパイでイギリス人
    • “アンドリュー・バーチ” の名を得て、ニュージーランド人となる。表向きには農業機械を扱うトレードパス社をローパーから任される
    • ローパーのグループへの潜入に成功した後にトルコへ。その後、因縁のあるエジプトへ
  • ランス・コーコラン少佐(トム・ホランダー)
    • ローパーの右腕だったが、その座をアンドリュー(ジョナサンの別名)に奪われる。当初からアンドリューに強い疑いの目を向けている
    • もって回った物言いをする。酒癖が悪く周囲に不快感をもたらすのが上手な男。振る舞いからゲイと思われる
  • サンディ・ラングボーン(アリステア・ペトリー)
    • ローパーの仲間で金庫番
    • 子どもたちのシッターと浮気しているため、妻のキャロラインにつらく当たられている。妻のキャロラインは国生さゆり似
  • ジェド・マーシャル(エリザベス・デビッキ)
    • ローパーの愛人。離れて暮らす息子がいることを隠している
    • のちにアンドリュー(ジョナサンの別名)と関係をもつ。どこから見てもローパーよりアンドリューのほうが、はるかにカッコよいから不自然ではない
    • 演じるエリザベス・デビッキは191㎝の長身。アンドリュー(またの名をジョナサン)を演じるトム・ヒドルストンと並ぶと彼のほうが若干背が低く、風情がお友だち同士。しかしトムの身長は187㎝あり、彼は彼で高身長なのである
  • ジュアン・アポーストル(アントニオ・デ・ラ・トーレ)
    • ローパーの弁護士でスペイン人
    • 娘エレナが彼女のために開かれた盛大な誕生パーティーの最中に自殺。それについて思うところがあって警察へ武器取引に関する情報を提供。英国の国際執行機関に対しても情報提供者となる
  • フリスキー(マイケル・ナードン)タビー(ホビック・キューチケリアン)
    • ローパーの部下たち。用心棒的存在
    • タビー役のホビックはスペインドラマ「ペーパー・ハウス」でボゴタ役だった人
  • フレディ・ハミド(デヴィッド・エイブリー)
    • カイロの有力者。彼自身が優れているわけではなく大富豪ハミド家の子息だから大金持ち
    • ローパーと武器購入の取引をしようとする
  • ソフィー(サミラ)・アレカン(アウレ・アティカ:)
    • フレディ・ハミドの愛人。ジョナサンの勤務するネフェルティティホテルに滞在
    • フレディの暴力から彼女を守ろうとしたジョナサンと関係をもつが、間もなく何者かによって殺害される

[武器商人ローパーを追う人たち]

  • ジョナサン・パイン(トム・ヒドルストン)
    • もとはエジプトの高級ホテルのナイトマネジャー。親しくなった女性が殺害された事件を機に英国の国際執行機関と関わりをもつようになる。元英国軍兵士
    • エジプト・カイロのホテルに勤務 ⇒ その1年半後にスイス・ツェルマットのホテルへ ⇒ さらにその2年半後にローパーが彼の勤務するスイスのホテルに偶然宿泊 ⇒ “ジャック・リンデン” と名乗ってイングランドで派手な前科を作る ⇒ “トマス・クインス” と名前を変えてスペインのマヨルカ島へ
    • ローパーの一味に加わって以降は “アンドリュー・バーチ” を名乗る
  • アンジェラ・バー(オリヴィア・コールマン)
    • 国際執行機関(International Enforcement Agency)の職員。国際執行機関とは何なのかがわからず、いろいろ総合して判断するに外務省の関係機関と推察される
    • スイスのジョナサンから連絡を受けた彼女は現地に出向いて彼をスカウト。MI6(秘密情報部)に知らせることなく、スパイとして活動させる
    • 既婚者で妊娠中
  • ジョエル・ステッドマン(デヴィッド・ヘアウッド)
    • アメリカ国務省の職員。武器商人を追っている
    • 限られたメンバーで「リンペット作戦」を展開。旧知の仲のアンジェラと協力する
    • デヴィッド・ヘアウッドは映画「ブラッド・ダイヤモンド」でポイズン大尉役だった人
  • レックス・メイヒュー(ダグラス・ホッジ)
    • 外務省の次官でIEAの監督職。アンジェラの上司にあたる
    • MI6が対応しきれない案件について執行機関が対応する取り決めを理由に、ジョエルとアンジェラの「リンペット作戦」をMI6から守ろうとして命を狙われる
  • ジョフリー・ドロムグール(トビアス・メンジーズ)
    • MI6の幹部
    • CIAと組んで、ジョエルとアンジェラの「リンペット作戦」を自分たちの支配下に置こうとする。外務省次官のレックスを意のままにしようと脅す
  • レイモンド・ガルト(ジョナサン・アリス)
    • MI6幹部ジョフリーの部下
    • ジョフリーの差し金としてモナコでローパーとサンディに接触し「リンペット作戦」が進行中であることをリークする
  • パメラ(キャサリン・ケリー)
    • 外務省の事務次官
    • レックスの上司にあたり、ときどき偉そうに登場して場を仕切る
    • アンジェラをIEAのトップから外そうとした際、彼女が “ヘイロー” と “フェリックス” に関する証拠を掴んでいることを知り、彼女を続投させる
  • ロブ・シンハル(アディール・アクタール)
    • 国際執行機関(IEA)の職員でアンジェラの忠実な部下
    • 真面目に仕事をしている
  • ハリー・パルフリー(ニール・モリッシー)
    • MI6の職員
    • アンジェラから “ヘイロー” と “フェリックス” についての情報提供を求められる
  • バーバラ・ヴァンドン(サラ・スチュワート)
    • 在英アメリカ大使館員でCIA工作員
    • MI6のジョフリーらと手を組んで、ジョエルとアンジェラの「リンペット作戦」を自分たちの支配下に置こうとする

[ジョナサン・パインの仲間]

  • ユセフ(アミール・エル・マスリー)
    • カイロにあるネフェルティティホテルの料理人。ジョナサンがアンドリュー・バーチとなってホテルを再訪した頃には料理長に昇進
    • 求めに応じて随所でジョナサンを助ける
    • アミール・エル・マスリーは実話に基づく映画「ある人質 生還までの398日」でISのメンバーを演じている
  • サイモン・オーグルビー(ラッセル・トーヴィー)
    • 在カイロ英国大使館の公使。ジョナサンとは軍隊時代の友人
    • 2004年当時はキエフで働いており、アンジェラの部下だった

本作の面白さとは

タイトルにも書いたとおり、このドラマシリーズはバランスよくツボを押さえています。

具体的には「舞台(ロケーションの分割)」「人間関係(利害の衝突、駆け引きと信頼)」「恋愛(美男美女のハプニング)」「復讐(勧善懲悪)」「大規模なスケール感・ダイナミックさ」がうまく配置されている、ということです。

まずは “ナイト・マネージャー” という設定もあって、異国情緒たっぷり、風光明媚な観光地がロケ地に選ばれています。

“強大な力をもつMI6 & CIA” vs “弱小組織IEAやアメリカ国務省職員” という「リンペット作戦」を巡る仲間内での抗争。ローパーのビジネスを陰でサポートしている組織内汚職のキーマンはいったい誰なのか(シリーズ後半で明らかになります)。

武器商人ローパーのビジネスに潜入する “ナイト・マネージャー” のジョナサン・パイン。いくつもの危険な橋を渡ります。いい男なので美女のほうから寄ってきます。ローパーの愛人ジェドもそのひとり。ジェドも単なるローパーの愛人なのか、何かの目的をもってローパーやジョナサンに近づいたのか、謎が残ります。

スパイであることを隠しつつ、ローパーの武器取引に関わる一方で、親しい間柄にあったソフィーの復讐を遂げようとするジョナサン。一方でローパーの愛人ジェドとの関係は本物なのでしょうか。

ジョナサンはアンドリューとなって以降、ビジネスマンとしての才覚が示されていきます。武器購入者に対する見事な対応や、トルコの砂漠での大プレゼンテーションでボスのローパーを唸らせます。

さらなるドキドキハラハラ要素としては、ジョナサンとジェドが親密な関係になったことにより、彼の命と「リンペット作戦」の遂行が危ぶまれる状況となったため、アンジェラはジョナサンに行方をくらますように指示します。しかし彼はそれを拒否し、ローパーの組織に居続けて尻尾を掴むことに執念を燃やします。

ジョナサン(またの名をアンドリュー)を演じるトム・ヒドルストン、好みの顔ではないのですが、スパイとして潜入して以降、どんどん引き締まってカッコよい面構えになっていきます。191㎝の身長をもつエリザベス・デビッキは透き通るような肌を含めて素晴らしく美しく、ジョナサンをスパイにスカウトして「リンペット作戦」を仕切るアンジェラ役オリヴィア・コールマンも見事な演技をみせています。

小さな山場、大きな山場も上手に配置されていて、お勧めできるスパイドラマです。

[ロケ地]イギリス、エジプト、モロッコ(マラケシュほか)、スイス、スペイン、トルコ

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