風変りなティーンエイジャーの冒険-サスペンスドラマ「少年は世界をのみこむ」

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原題は “Boy Swallows Universe”。オーストラリアのドラマです。通常あり得ないことが散りばめられた物語ですが、その内容が面白くてどんどん引き込まれていきます。よくできたドラマです。

本作の特徴

オーストラリアの作家トレント・ダルトンによる同名の半自伝的小説が原作。これらが実際にあったことだとしたら強烈な内容です。時代設定は1980年代とのこと。後ろ髪の長い男の子と男性が散見されますが、その頃の流行りだったのかもしれません。

主人公はイーライ・ベル。彼の6歳から17歳までを、3人の子役や俳優が演じています。イーライの兄はガスという名でイーライとは2歳違いのようです。13歳のイーライと17歳のイーライは別の人が演じていて成長著しいにも関わらず、15歳のガスと19歳のガスは同じ俳優が演じているため、若干奇妙な感じを受けます。イーライだけがぐんぐんと成長し、見た目も変化します。

このドラマには、いろんな素材やテーマが盛り込まれています。それらのバランスとリズムの取り方が上手く、ひとつひとつのトピックを過度に引きずることがありません。

[ドラマの素材やテーマ]

メインの素材/テーマ

  • 家族問題:父親のアルコール依存症によって崩壊する家族、継父が行方不明になった後の母親の恋人はDV気質、崩壊した家庭のリユニオン
  • 麻薬問題:継父は麻薬の売人、母親は麻薬依存症、同じ学校に通う少年とその親は元締めで反社会組織の人間
  • 受刑者らとの交流:イーライに人生の先達として知恵を授ける子守り役が継父の友人である “25年服役した男”、イーライは子守りに勧められて服役中の囚人と文通、実母も逮捕されて服役

サブの素材/テーマ

  • 慈善活動:ガスは難病の友と伴走して寄付金集めに尽力
  • トラウマによる障害:ガスはドラマの途中まで話すことができない(8歳以降、声を失っている)
  • 未来予知能力:ガスには未来を言い当てる能力がある
  • 学校での問題:兄弟の通う学校には、いじめのグループのようなものがあり、イーライはしばしば餌食になる。ガスはスクールカウンセラーが手を焼く存在である
  • 就職活動:イーライは新聞記者の道を模索する
  • 青年の恋:イーライは新聞記者の女性に恋をする

ベル兄弟(イーライとガス)の成長、崩壊した家族の再構築、反社会勢力や権力と渡り合う少年たちの知恵と勇気、慈善家による驚きの研究内容…。いろんな切り口で楽しめます。

あらすじ(途中まで)

少年イーライ・ベルは、母のフランシス、兄のガス、継父のライル・オーリックとブリスベンで暮らしていました。継父ライルは義肢製造工場で働いていましたが、麻薬の売人でもありました。母フランシスは麻薬依存症(しばしば克服する)。兄のガスは声を出して話すことができません。継父ライルはムショ仲間のスリム・ハリデーを兄弟の子守り役にします。特にイーライはスリムの教育や指南の影響を大いに受け、彼をもうひとりの父親のように慕います。

一般的とは言えない家族でしたが、彼らは仲よく暮らしていました。ところが継父ライルは麻薬取引のいざこざで行方不明。母親のフランシスは逮捕されて服役。継父と実母がいなくなった兄弟は、アルコール依存症の実父ロバートと再び暮らすことになります。

イーライは女子刑務所にいる母親の助けになろうとします。裏社会が秘密にしたい情報を握っているイーライ。彼の無茶な冒険は反社会勢力や世の権力層の神経を逆なでし、何度も危険な目に遭います。賢明で未来予知の能力をもつ兄のガスは、危なっかしい弟イーライをサポート。彼らは家族思いであり、愛する家族のために行動します。

主な登場人物

たくさんの人物が登場します。きりがないので主要な人物のみピックアップすると以下の通りです。

主人公とその家族

イーライ・ベル:主人公の少年。おしゃべりな性格。母フランシスをこよなく愛し、子守りのスリムを慕っている。継父ライルに複雑な思いを抱きつつ愛着をもっている

ガス・ベル:イーライの兄。8歳から発話していない。未来を言い当てることができる。絵が上手い。弟思い

フランシス・ベル:イーライ、ガスの母。人生のところどころで麻薬依存症になる

ライル・オーリック:イーライ、ガスの継父。一時期、服役していた。表の仕事はアトラス義肢製造工場勤務。裏稼業で麻薬の売人をしている

ロバート・ベル:イーライ、ガスの実父。アルコール依存症で無職。読書が好きで広場恐怖症

主人公とよき交友関係にある大人たち

スリム・ハリデー:イーライ、ガスの子守り。彼らに型破りの教育を行う。人生への洞察も深い。殺人の罪で25年服役した。刑務所で継父ライルと知り合った

アレックス・バミューダ:服役中の囚人。イーライと文通している

ジーン・クリミンズ:イーライがライルらと暮らしていた家の隣人

学校の人たち

副校長:いじめられていたイーライを掴まえて罰する

ポピー・バークベック:スクールカウンセラー。ガスのカウンセリングを担当する

ダレン・ダン:ベトナム系の少年。母親は麻薬流通組織の重鎮

ボビー・リニエット:いじめグループのリーダー

シェリー・ハフマン:難病の少女。ガスがいろんな面でサポートする

麻薬流通組織の関係者

イヴァン・クロール:麻薬の売人で殺し屋

ビック・ダン:ダレルの母。ベトナム系無麻薬流通組織の重鎮。表向きの仕事はレストラン経営

ダスティン・ヴァング:シドニーで麻薬流通を牛耳っている人物

アトラス義肢製造工場関係者

テディ・カラス:イーライの継父ラウルと親しく麻薬取引にも関与。フランシスに想いを寄せる

タイタス・ブローシュ:工場の経営者。白いスーツを着ている

報道関係者

ケイトリン・スパイズ:「クーリエ・メール」犯罪報道部の記者。イーライは彼女のファンだった

ブライアン・ロバートソン:編集長でケイトリンの上司。研修生を希望するイーライの訪問を受ける

警察関係者

ティム・コットン:不思議な髪型の刑事。反社会勢力とつながっている。新聞記者ケイトリンとも旧知の仲

デイリー:女性巡査。愛想がない。児童保護局所属

その他

ブレナン医師:イーライを担当する女医

クリストファー:脳の腫瘍で入院している少年

レイモンド・リアリー:建設業者。アトラス義肢製造工場の経営者タイタス・ブローシュに恨みをもっている

ジョージ・マスー:女子刑務所に果物の配達をしている。スリムの知り合い

バーニー:イーライの女子刑務所潜入に協力する。ジョージの知り合い

デビー:女子刑務所でフランシスと同室の囚人

あの俳優たちが登場

(あくまでも私にとってですが)久しぶりの “あの俳優” が登場します。

トラヴィス・フィメル(ライル・オーリック役):彼を見るのは「ヴァイキング~海の覇者たち」のラグナル役以来。歳を取ったためか役作りのためか、干からびてチープな男になっていた

サイモン・ベイカー(ロバート・ベル役):「メンタリスト」のパトリック・ジェーンも初老のおじさんになっていた。“おじさん” というより “おじいさん” に見えた。老けメイクだったのかもしれない。アルコール依存症という役柄のためか、顔つきやふるまいが緩んでいる

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